大阪のソウルフードである「たこ焼き」。たこ焼きの由来はハッキリとしており、誕生したのは昭和10年(1935年)。発祥の店は現在、大阪の西成に店を構える『会津屋』だ。
しかし、たこ焼きはゼロから突然生まれたものではない。たこ焼きの原型となったメニューが今も販売されているという。その名は『ラヂオ焼き』。ラヂオって音楽を聞けるあのラジオのことでっか? どういうことやねん! ということで『ラヂオ焼き』を食べてみたぞ!
・会津屋の「ラヂオ焼き」
たこ焼きのプロトタイプとなった「ラヂオ焼き」は、会津屋で販売されている。12個入りで600円だ。丸いフォルムにカリっとしていそうなきつね色の皮。見た目はたこ焼きにソックリである。
・具は「牛すじ」と「コンニャク」の煮込み
何がちゃうんやろ~と、ひとつ食べてみると……ダシのきいた生地、爽やかなネギの香りと共に口の中にまったりとした懐かしい味わい! ラヂオ焼きの具は味噌風味のコンニャクと牛すじだったのだ。
牛すじの味噌煮込みは言わずと知れた大阪名物だ。そこにコンニャクが加わった「すじコン」も大阪や兵庫の下町で昔から愛されている一品である。粉もんとすじコン、そして青ネギ。たこ焼き誕生前から、すでに大阪ソウルにあふれていたのか!?
・生地はたこ焼きと同じもの
「ラヂオ焼き」の生地は、会津屋特製のたこ焼き生地と同じものを使用しているそうだ。しかし出来上がったものは、たこ焼きに比べ甘みがありまったりとコクのある味わいである。お店の方によると「やっぱり牛すじとコンニャクに味がついてるから、味の雰囲気も変わるんかもしれませんねぇ」とのことである。
・ところで、なんで「ラヂオ」なん?
ちなみに「ラヂオ焼き」のラヂオは、あの「ラジオ」からきていると言われている。明治~大正時代に高価でハイカラの象徴だったラジオから名づけられたとのことである。変わっていて、それでいてなんだか懐かしい。ラヂオ焼きの本質は今も昔も変わらないのかもしれない。
▼西成の会津屋本店
▼これが『ラヂオ焼き』やで!
▼たこ焼き(右)と並べてみた、ネギのせいか青々としている
▼具はこれまた関西の下町の味「すじコン」や
▼こちらは会津屋名物「ソースなしたこ焼き」
▼会津屋は『美味しんぼ』にも取り上げられたことがある老舗たこ焼き屋なのだ