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アメリカ・マサチューセッツ州にある「セーラム」という街をご存知だろうか?

セーラムは海沿いの街で、17世紀頃からアメリカと世界とを結ぶ重要な貿易スポットになっていた。そしてここでは、少し変わったものが名物として町おこしに一役かっている。その変わったものとはズバリ “魔女” である。この街はアメリカで唯一、魔女裁判の舞台になった場所なのだ。ヨーロッパから渡ってきた魔女裁判はアメリカの歴史至上、最も暗い事件のひとつ。魔女と呼ばれた無実の20人が死刑、5人が獄中死、投獄された者は数多いたと伝えられる。

魔女裁判の歴史の発端は、街の子供の間で流行った奇病を持ち込んだ犯人探しとされている。そして主に奇病にかかった子供が住む屋敷の使用人をしていた女性が拷問にかけられ、魔女であると無理矢理自白をさせられたのだ。魔女裁判は頻繁に行われ、幾人の罪の無い女性たちが無惨な最期をとげたこととなる。

そんな悲しい歴史をもつセーラムに今回筆者は訪れた。ボストンから列車で30分弱、こじんまりした木造の駅に到着。単線、無人改札、海沿い、その寂れ具合がミステリアスさを盛り上げているように感じる。

さて、街を散策してみよう。この街はとても小さいので全ての観光スポットが徒歩圏内にある。ダウンタウンについてみると早速「奥様は魔女」で有名なサマンサの銅像がお出迎え。この銅像の立っている地点から先の道はウィッチストリートと呼ばれ、現役魔女やサイキッカー(超能力者)たちがこぞって店を出している通りである。ウィッチストリートにある店先に並ぶアイテムをよくよく見てみると、以下のモノが目に入った。

・「占い$20〜!」の張り紙
・悪魔の置物
あたまの複数ある不気味な妖怪の置物
・いろいろな生き物のホルマリン漬け
・コウモリの剥製
・ほうき、帽子、ローブ
・水晶玉
・魔女専用食材
・癒しの石
・タロットカード、オラクルカード
・今も使える呪文5000!の本
・「魔女になって記念写真をとろう!コスチューム貸し出し」の張り紙

ほうき、帽子、ローブ、タロットカードなどは主にアイルランドはケルト地方から直輸入してるものが多く、店にいる魔女たちもケルトの影響を強く受けているようであった。

そして、ウィッチストリートにあるほとんどの店に設けられていたのが占いブース。この街においてその数は尋常じゃなく、ブースはほぼ店ごとにあるので、あまり店に長く滞在していると魔女に勧誘をされてしまう。お色気で勧誘、目力で勧誘、たまにしつこい人もいるので注意が必要だ。商売っ気を全面にがっついてくる魔法使いをみていると、今まで感じていた神秘性や憧れが若干霞むときもあったが、次回訪れた際はせっかくなので水晶玉で自分の未来を覗いてもらいたい思う。

魔女裁判の暗い歴史を逆手にとって、今や魔女はこの街の観光業において一番の稼ぎ頭。たくさんの魔女、そして、たくさんの魔法…。すこし非現実な休日を楽しみたいのなら、セーラムに行ってみるといいかもしれない。

(文=写真 eriko)

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