何でもメシが美味い九州地方。その玄関口となるのが福岡であり、博多といえばラーメンだ! お店も屋台もたくさんあるが、どこが美味いのか東京人には分からない。

ということで、複数の九州出身者にオススメのラーメン店を聞いてみたところ、かなりの確率で「長浜屋が有名やね」との返事が。みんながオススメする長浜屋とは何ぞや? そんなに美味いのか? タクシー飛ばして行ってみた!

……のだが、タクシーの運転手さんから逆に質問されたのである。「どこの長浜屋ですか?」と。一体どういうことだろうか。「えっ?」と反応すると、運転手さんは嬉しそうに語りはじめたのだった。

「もともと長浜屋はひとつだったんです。すっごい昔からありました。ラーメン一杯100円以下。替え玉なんて数十円でした。ところが! 2~3年くらい前でしょうか。何らかの事情でお店を一回閉じたんです。すると、その長浜屋があったブロックに、数軒の “ナガハマヤ” が出来ちゃったワケでして」

――つまるところ、あまり円満でないかたちで長浜屋の味が分裂してしまったということらしい。お店の場所も近いし、名前も完全に同じじゃないけど一文字違いとかでソックリ。ただし、

「お客さんの好みもありますし、ソックリ店が不味いってわけじゃありませんよ。もちろん私は全部のお店を食べ歩きました。お店によって、味はちょっと違います。薄かったり、元祖とは全然違う味がしたり。どこもそれなりに美味しいです。けどね、今回は私が “これが昔からの長浜屋の味だ” と思うお店に連れていきますよ」

――と運転手さん。そしてタクシーが停まったのは、『元祖長浜屋』なるお店だった。入店する前に、あたりをグルリと偵察してみる。すると……確かに “ナガハマヤ” チックなお店がいくつかある。強烈なのは、道端に「『元祖長浜屋』はこちらです」と書かれたデカイ看板があったこと。「本物はウチだ!」と言わんばかりの、静かにピリピリしたムードである。

『元祖長浜屋』は、お店の前に食券機がある。ラーメン一杯400円。替え玉は100円。入店するやいなや、店員さんが麺の硬さを聞いてくる。タクシー運転手さんが教えてくれた通り、「生(なま)」と注文。すると、マッハの勢いで湯気立つラーメンがテーブルの上に運ばれてきた。ズズズッと一口食べてみる。……すると!

いわゆる「とんこつラーメン」だと思ってたのに、そうじゃない! とんこつよりもサッパリ。しっかりと味の付いたチャーシュー! 麺とチャーシューを一緒に食べると激うまい! このまま食べ進めても美味しいが、他のお客さんのマネをして、紅しょうがとゴマを入れてみたらさらに美味い!

これは……くせになる味でござる。時間が経っても「ああ、『元祖長浜屋』のラーメン美味かったな……。また食べたいなぁ……」と思ってしまう、味がハッキリと記憶に残るラーメンであった。文句なし!

ちなみに博多滞在中、何台かのタクシーに乗車し、数名のタクシー運転手にも「長浜屋」についての話を聞いた。すると、みな『元祖長浜屋』の分裂騒動は熟知しており、まるで持ちネタのように長浜屋ストーリーを語ってくれたのである。

何人かの運転手さんは、心配そうに「どこの長浜屋に行かれたんですか?」と聞いてきた。私(記者)のiPhoneに入っている『元祖長浜屋』の写真を見せると、なぜかみなニコリと頷き、安心した表情をしていたのだった。

Report:GO

▼思い出に残る味。また食べたい!!!!

▼こちらがタクシー運転手オススメの『元祖長浜屋』

▼『元祖長浜屋』の近くにはこんな看板も……

▼看板拡大図

▼さらにアップ! よく見てみると……す、すげえ……!

▼なんだかピリピリとしたムードだ。長浜らーめん激戦区だ!