
福岡県のとんこつラーメンにも博多や長浜などいろいろあるが、本場中の本場といえば久留米だ。なんてったって、九州とんこつラーメンのルーツは久留米市。創業昭和12年の「南京千両」という店名は、ラーメン好きなら聞いたことがあるのではないだろうか。
その久留米ラーメン、製法や時代の流れもあってか県外に出ると食べるのがなかなか難しいのだが、このまえ同じ都内に住む高校の同級生から興奮気味に連絡が来た。本格的な久留米ラーメンを味わえる店が都内にあったばい──と。そんなん行くしかなかろうもん! どこね!?
・久留米っ子が興奮する一杯
連絡をくれたのはTKくんで、時間さえあれば都内のラーメン屋を巡るラーメン好きだ。彼はバリバリの久留米っ子であるがゆえに好みの味は昔ながらのシンプルな久留米ラーメン。これまで都内でビビッとくる一杯を味わえず、どこか悶々としたラーメンライフを過ごしてきた。
ところが先日、小平市にあるお店へ行ったところ念願叶って欲していた とんこつラーメンに巡り合う。しかも、味が完全に久留米だったから居ても立っても居られなくなったらしい。私も福岡の南部出身で久留米の高校で3年を過ごした身、あんたが言うなら期待するけんね……!!
ということで後日、車を走らせ……
西武線の小川駅から徒歩で5分ほど。落ち着いた街並の中に溶け込む「九州ラーメンいし」にやってきた。
・これぞ本場の味
店内に入ると、カウンター席には常連と思われるお客さんが多い印象だ。年季の入ったメニュー表から私はラーメン(700円)、それと餃子(500円)を注文した。そして待つこと数分──。
出てきたのがこちら。チャーシュー、たまご、ネギ、そして紅生姜というシンプルな見た目でありながら完全に久留米イズムが溢れている。まずは一口、スープを飲んだらアッサリした中にとんこつの旨味を感じられ、そこに縮れ麺が絡めば……あぁ、これはまさしく自分が幼い頃に食べていた味だ!
久留米にもいろんなラーメンがあるも「懐かしさ」を感じる一杯といえばいいだろうか。あるいは脳が即座に久留米を連想する味──と感動したのだが、同時に疑問を持った自分もいた。なぜ小平市にここまで本格的な久留米ラーメンがあるのだろう?
・店主に話を聞いた
不思議に思っていたら、久留米市出身の店主・石橋和明さんに話を聞くことができた。どうやら小平市にお店があるのは、久留米市発祥のメーカー「ブリヂストン(BS)」が関係するらしい。というのも、1960年に小平で東京工場が創業を開始。それに伴い、久留米から従業員が移ってきたのだ。
それから時は流れて10年ほど。石橋さんは大学を卒業して東京でサラリーマンをやっていたところ、BS生協で働いていた高校の後輩から「従業員がとんこつラーメンを食べたがっているので、お店をやりませんか」と頼まれたそうだ。
その背景にあったのは、石橋さんの妻の実家が久留米の老舗ラーメン店だったこと。そして学生時代、石橋さんがそこでアルバイトしていたことに加え、商売への興味もあったことで東京工場の近くでお店を開いたのだという。
その後、お店は商業施設「ブリヂストンマーケット(現在は閉店)」へ場所を移し、今のところに移転したそうな。以下、気になったことを石橋さんに聞いてみた内容である。
──それにしても、本格的な久留米ラーメンでビックリしました! ここまでの “THE久留米” は都内じゃまず味わえないと思っていました。
石橋さん「もう50年くらいやってて、久留米にいたときと同じように作ってるからね。変にアレンジしてないんだよ。唯一、とんこつの臭いだけは変えたかな」
──お店の近くでとんこつラーメンの臭いがしなかったのは真っ先に気になりました。何か秘訣はあるんですか?
石橋さん「あまり詳しく言えないんだけどな(笑)。臭いがする部位を外すんだよ、2時間くらいかかるかなぁ。そうするとキレイに臭みがとれるんだ。でも味は変わらないのよ」
──久留米のとんこつラーメンは強烈なところも多いですもんね。
石橋さん「街の真ん中でアレは出せないのよ。服に染み込むからさ。昔の店だと、うちでラーメンを食べて帰った人はバレバレなくらい臭いがついていたかな」
──臭いはいつくらいから意識したんですか?
石橋さん「前から分かってたんだけど、ブリヂストンの工場で300〜500食くらいラーメンを作っていたときはそんな暇なかったからね。11時から朝の4時くらいまでラーメンを作っていたもんだ」
──数がスゴすぎます。そして休まるときがないですね……!!
石橋さん「昼は顔を上げるのがイヤになるくらいお客さんが並んでたよ(笑)。流れが切れないから、あれは疲れたな〜。麺屋さんも1日に2回来ていたよ、間に合わないからね。そんな時代もありました。社食みたいなものだったからなぁ」
──ひえぇ……! そ、それにしても久留米を思い出す味で、個人的には紅生姜に懐かしさを覚えました。
石橋さん「久留米で作ってた通りでしか作らないからドーンと乗っけるんだよね。元祖の味をそのままって感じかな」
──元祖。まさにそうですね。あと、全体的に量は多めかなと感じたんですがいかがでしょう?
石橋さん「もともとブリヂストン工場の人たちの食事で、それに合わせて作ってるから量は多めなのよ。でも、今のお客さんたちはみんな平気で食べていくところもあるな(笑)」
──カタメン、バリカタ、ハリガネとかはなく、麺の硬さは統一されている感じですかね? ていうか、昔は硬さのオプション的なものはなかったような……。
石橋さん「そうなんだよね。あれはお店によって特徴を出した形なんだろうね。言っちゃアレだけど、硬いのはモソモソした感じがして食べた気がせんのよ。ちょっと硬いくらいならいいよ。硬すぎるとお腹壊すんじゃないかと、こっちが心配してしまう(笑)」
──今じゃ麺の硬さを選べるのが当たり前みたいになって、味もお客さんにあわせて変化させていくスタイルの店が増えましたよね。
石橋さん「まぁね。特に福岡はラーメン屋ばっかあるけんなぁ。お客さんが来ると他みんながマネする。久留米も代替わりが進んで最近はよく分からなくなったなぁ。だから俺はあっちに帰っても うどん ばかり。福岡のうどんはうまいからなぁ!」
……と久留米の方言が時おり混ざりつつ最終的には うどんの話になってしまったが、歴史を感じる至高の一杯は間違いなく小平市にある。久留米っ子が興奮していたのも納得。紛れもなく、これぞ久留米ラーメンといった一杯だった。
今の時代、とんこつラーメンを食べられる店は数え切れないほどあるものの、ここまでの久留米ラーメンを都内……いや、県外で味わえるところはないだろう。もし都内で本物のとんこつラーメンを求めるなら「九州ラーメンいし」に行くべし。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 九州ラーメンいし
住所 東京都小平市小川西町3−18−10
時間 11:00〜14:00 / 17:00〜23:00
休日 月曜、第2日曜
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.
▼餃子(500円)。福岡の一口サイズ! お酒と一緒にいただきたい!!
原田たかし










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