「今の自分を見たらどう思うかな」と一度くらいは思ったことはあるだろう。なかには「無邪気だった頃の自分に今の自分を励ましてほしい」と人さえいるくらいである。だが、現実的にはタイムマシンにでも乗らない限り無理だ。

だが、それを実現させた男がいる。少年時代にタイムカプセルの要領でビデオを用意。そして20年後、見事にビデオ会談を行ってしまったのだ。会話もバッチリかみ合っており、そのアイディアが素晴らしいと絶賛中だ。だがそれ以上に、20年前の少年時代からのメッセージが深いと話題になっている。

夢の会談を実現させたのはアーティストのJeremiah McDonaldさんだ。対話の様子はYoutubeの「A Conversation With My 12 Year Old Self: 20th Anniversary Edition」で確認することができる。

ビデオテープを再生すると、画面に20年前のJeremiah少年が現れた。軽くあいさつを交わし、対話はスタートだ。「未来の僕。今はどんな感じ?」「まぁまぁだね」、そして2人はペットの話などたわいもないことを話す。

現在のJeremiahさん:「ところで俺も聞きたいことがあるんだけど」
20年前のJeremiahさん:「君が僕に? そんなの全部知ってるだろ」
現在:「いや、そうなんだけど。インターネットができる前のことをよく覚えていないんだ」
20年前:「え、何?」
現在:「インターネットっていうのはだな……数年経ったらわかるよ。とにかくネットは君の生活の全てを支配する。毎日、何時間も家にこもってモニタを眺め続けることになるだろう」

現在:「よく覚えていないんだけど……君はいつも何をしている?」
20年前:「君が一番よく知っているだろう!? 君は僕だ。自分をよく見てみろよ」
現在:「君がビデオテープを残したんだろ? そんな風に言うなよ!」
20年前:「君は僕だ」

20年前:「なんで僕を責めるのさ?」
現在:「今日の俺を作ったのは(過去の)君だ」
20年前:「自分自身だよ!」

現在:「このビデオを撮る前は何をしていた?」
20年前:「ほら! これ!」
とアニメキャラの絵を見せるJeremiah少年。

20年前:「このキャラクター、まだ描いてる?」
現在:「……描いていない」
ハッとした表情をするJeremiahさん。

「なんで描かなくなったんだろう。前はキャラクターはみんな描いたし、パラパラ漫画もよく作った。アニメーターになりたかったんだ。でも結局は映画製作に走った」

20年前:「ドラマの『ドクター・フー』はまだ好き?」
現在:「いいや……」

だが、大人になった彼の傍らにあるのは『ドクター・フー』グッズだ。そして彼は少年時代の自分に向かって「ひとつだけ言っておく “まばたきするな、すれば死ぬぞ(Don’t Blink,blink and you’re dead)”」と劇中のの有名なセリフを言い残しモニタを切った。

まっすぐな子どもの視点と少し素直になれない大人の視点の交差、そしてまるで別人格なのに、時折同一人物であることをを思い出させる描写が秀逸だ。面白いアイディアもさながら、内容にハッとさせられた人も多く、動画の再生回数は公開より4日ですでに500万回に届く勢いである。

人は成長し変わる。その一方で変わらない部分も変わりたくない部分もある。あなたはこの動画を見て何をお感じになっただろうか。

参照元:Youtube weepingprophet