映像チャットなどをするときに、とても便利なwebカメラ。今やたいていのノートPCの画面上部に搭載されている。デスクトップPCでも、別途webカメラを用意して使っている人も多いだろう。

だがしかし。そんなwebカメラを通して、まったく知らない誰かがあなたの顔を見続けているとしたら……。鼻クソほじくりながらPC作業をしているシーンを、誰かがじーっと見ていたとしたら……どうするんだっ!?

現在、そんな悪夢を実現させるウイルス(バックドア)の存在が、世界中のネットユーザーを恐怖のドン底におとしいれている。その名も「BackDoor.Webcam.9」。知らず知らずのうちに悪さをする、「トロイの木馬」タイプのソフトである。

ロシア「Dr.Web」発表した情報を至極簡単に、あえて人間世界に例えて説明すると……「BackDoor.Webcam.9」を起動すると、PCの心臓部に「スパイ専用の司令室」ができあがる。外部のスパイが何もしなければ何も起きないが、スパイが様々な指令を出すと、その通りに動いてしまう。その指令のひとつに、「WEBCAMSTART」、つまり、webカメラの起動というものがあるのである!

密かにwebカメラが動いてしまったら、もう一巻の終わりである。生放送で見られているのかも知れないし、どこか知らない場所に、膨大な量の録画ファイルが保存され、知らず知らずのうちにどこかに送信されているかも知れない。史上最強クラスのハッカーだったら、あなたが鼻クソをほじくってポテチ食べながらネットサーフィンしている姿を、ハッキングによって乗っ取り済みの通信衛星の電波にのせて、全世界のお茶の間に届けることも不可能ではないだろう。

それはさすがに映画レベルの妄想だが、真面目に仕事をしているあなたの顔面を、ストーカーが画面上部のカメラから、じーっと凝視する……なんてことは、おそらくお茶の子さいさいだ。ムフフな画像なり映像なりを閲覧し、だらしないムフフ表情をしているあなたのことを、全世界のハッカー数十万人がネット上で一同に鑑賞している可能性もゼロではない。ある意味、史上最強、史上最悪のトロイの木馬、それが「BackDoor.Webcam.9」である。

ちょうど1年ほど前、本誌では「PCをシャットダウンしてもWebカメラが作動する盗撮スパイウェアの恐怖」というインドで発生したニュースをお伝えしたが、それに近いのが「BackDoor.Webcam.9」だ。恐れていたことがついに実現してしまった。これは本当に恐ろしい。いま目の前にあるwebカメラが、誰かの瞳に見えてくる。できることなら今すぐに、webカメラをテープでふさげ! 誰かが見ているのかもしれないのだから!

参照元:Dr.Web(英語)