震災で被害の大きかった宮城、岩手、福島などの地域から、他の都道府県へ一時疎開する人が増えている。各自治体は公営住宅などを提供し、6カ月から1年の支援を発表。全国で支援体制の輪が広がったいる。

北海道札幌にも被災者が移住しているのだが、あるリサイクル業者が一時疎開の支援に乗り出した。社長の湊源道さんはブログで被災者の状況や支援体制について公開している。4月3日の投稿によると、被災された皆さんは生活の不便だけでなく、避難先で思わぬ冷遇を受けることさえあるというのだ。

湊さんのブログ「札幌市の便利屋源さん(青森&横浜&タイ)」によると、札幌市の避難者は約300名に上るという。多くの家族が生活の不便を強いられている。最近も会社に1通のメールが届き、中古の布団を安く購入できないかとの問い合わせを受け取った。湊さんはすぐに家財一式の提供を約束し、勤務時間外のスタッフとともに、入居された住宅を訪れたのだ。避難された家族は6名だったのだが、団地の管理人から借りてきた極小の電気ストーブがあるだけで、ほかには何もなかった。

どこから避難して来たのかと尋ねると、一家は沈黙。実は北海道に来るまでの間に、さまざまな場所で冷遇を受けたのである。

「私達いわきの人間は恐れてるんです。東京ではいわきの住所を書いたらホテルの宿泊も断れました。電車に乗ってたら福島の人間は放射能まき散らすから福島ってゼッケンつけてほしいよねっと隣の若者が会話してました。私達はここに来るまでいわきの人間だってのを隠してきました。」(ブログより引用)

これに対して湊さんは、

「札幌は絶対に大丈夫です。良い事か悪い事か平和ムードですし、元々札幌の人間は暖かい。いろんな方が集まって生まれ今でも各地から色々な人が集まってきているアメリカに近いような人を受け入れる街です。」(ブログより引用)

この言葉に、家族は安堵したに違いない。この後に、スタッフとともに家財道具を設置し、住むのに差し支えない環境を整えたそうだ。実は彼らの支援は、湊さん自らが思い立ったことではなく、会社の従業員から持ち上がった意見だったそうだ。「何か協力できないか」と申し出があり、支援を始めたとのことだ。

作業を終えた帰り際に、娘さんがホッカイロを差し出したそうだ。娘さんは北海道は寒いところだからと、自らが大事に岩手から携えたホッカイロを、感謝の気持ちとしてもらってくれるようにと訴えた。湊さんは一度は断わったものの、お礼の気持ちを拒むのは申し訳ないと思い、受け取ったとのことだ。

彼らはごく普通の民間企業だ。政府の要請を受けたわけではなく、あくまでも善意で避難者の支援を行っている。行政と一体となって、支援の道を模索しようとしていた彼は、支援に先立ち震災後に数人の政治関係者に協力要請をしていたという。ところが、皆が口を揃えて「選挙が終わったら」と答えたというのだ。

「これを読んでる方はまだ選挙へ協力しますか? 私の友人のメディア関係者たち。いつもブログを読んでくれてありがとうございます。もっともっと、目線を変えてください。もっともっと真実を放送してください。この避難された方の住宅問題や学校問題を問題にして下さい。」(ブログより引用)

今後は北海道に1万人の被災者が訪れる見込みとのことだ。それを迎えるに当たって、「今すぐ僕と一緒に準備しませんか?」と協力を呼びかけている。北海道で協力できる方は、株式会社ルーツ・オブ・ジャパンに連絡されてみてはいかがだろうか。

また4月9日には、札幌市白石区で避難者向けのワンストップサービス「ようこそあったかい道」を開催予定だ。求職情報や企業からの物資の提供も受け付けているとのことである。

参照元:札幌市の便利屋源さん(青森&横浜&タイ),Twitter/gendojapan