オランダを旅すると、駅や街中でよく目にするのが「コロッケ」の自動販売機。日本でメジャーなコロッケでも、コロッケそのものの自動販売機はほとんど見かけないだろう。

オランダのコロッケは「クロケット(Kroket)」といい、オランダの名物料理でもある。その形や名前からも日本でのコロッケの元祖といわれている。確かに、クロケットとコロッケ、なんとなく言い方も似ているが、クロケットには形が2種類あり、1つが細長い形で、もう1つが丸くて一口大の形をしている。前者がクロケット、そして後者はビタボーレンという。日本のコロッケが楕円形でやや平べったいのとは少々異なる。

このクロケットの中身はノーマルなイモだけのものや、クリームコロッケ、バミ・ゴレンと焼きそば入りなど、何種類もある。私が食べたのはイモのみが入ったおそらく一番シンプルな味で、日本のあっさり味とは少し違い、香辛料がとても効いていたのが印象的だった。

このクロケットをいったいどこで買うのかというと、自動販売機。この自動販売機には、クロケットだけでなくフライドポテト、ハンバーガーなども入っていることも。値段分の硬貨を入れると商品が入っているケースの扉が開き、中から取り出せる仕組み。しかし、取り出すのに失敗して閉めてしまうと二度と開かないので要注意。

人によっては「自動販売機に入れっぱなしで商品は大丈夫なのか?」と思うかもしれない。だがこの自動販売機、恐るべき回転率でオランダ人がおやつ代わりに次々と買っていく。一方、商品の向こう側では、必死に商品を入れていく店員の姿が見えた。自動販売機の中に人がいるという都市伝説(?)は、オランダで現実のものとなっている。

記者:飾磨亜紀(Aki Shikama)

▼オランダのコロッケ自動販売機