いまや世界的な映画監督として知られる北野武さん。1月18日に誕生日を迎え65歳になった現在も、テレビに出演し精力的な活動を続けている。その彼が、若い頃から愛用していた洋食店が新宿にある。そのお店とは「アカシア」だ。1963年に開業して約50年、看板料理のロールキャベツの味をかたくなに守り続けている。若き日の武さんにとってご馳走だったというロールキャベツ、実際にどんなものなのか味わいに行ってみた。

お店は比較的繁華な場所にある。新宿駅の東口、アルタの真裏だ。一見古めかしい建物に見えるのだが、決して汚れているわけではない。創業から50年の歴史を感じさせる風合いがあり、上品なたたずまいをしている。

このお店を知る人は足繁く通っており、忙しいときには行列のできることもある。メニューはロールキャベツシチューのほか、ビーフシチュー、ハンバーグ、カレーライスなど、洋食店らしい品揃え。客にとって嬉しいのは、これらを組み合わせてオーダーできるところではないだろうか。

武さんが「びざーる」というジャズ喫茶でアルバイトしていた頃、ここのロールキャベツをオーダーし大盛りご飯と一緒に食べていたという。シチューをご飯にかけて食べるのがご馳走だったのだとか。その当時、ご飯とシチューが別々だったかどうかは定かではないのだが、現在は定食としてこの2つがセットになっている。

記者(私)は、「シチューと言えばパンじゃないのかな?」と思ったのだが、実際に食べてみると「こりゃご飯だ」と思う味だった。しかし和風に味付けされている訳ではない。家庭で作るものよりもずっと滑らかで、さらさらとしている。相応しい例えかどうかは分からないが、スープカレーに近い感覚。

このシチューのなかにご自慢のロールキャベツが二貫(お店の表記)入っている。じっくり時間をかけて煮込んだに違いない、そう思わせるほどロールキャベツは柔らかだ。スプーンでもすっと割ることができる。旨みをしっかりと閉じ込めたキャベツから、肉汁がジュワッと出てくる。慌てて食べると口のなかをヤケドしてしまうので注意が必要だ。

世界の北野も愛したロールキャベツ、是非1度ご賞味頂きたい。記者はロールキャベツもさることながら、カレーやハンバーグなどクリームコロッケなども大変気になっている。これを機に通うことになりそうだ。

写真:Rocketnews24

▼ ご飯とロールキャベツ、シンプルな組み合わせ
▼ 50年守られている味
▼ ナイフ要らず、スプーンで割れる柔らかさ
▼ 「独特料理」という表現が面白い