デイリーヤマザキの店頭に「ヤマザキのクリスマス」なる看板が飾ってあった。年を取るほど時間の流れを早く感じるとは言われているが、もうそんな時期か……と、とくに深い意味もなく店内へと足を踏み入れた。

せっかくなので、何かクリスマスっぽいものでも買おうか。ケーキとかチキンとか、そういう季節感のあるやつを……と思ったその瞬間である。信じられないアイテムが目に飛び込んできた。いやいや真夏じゃねえか!

・クリスマス気分で入店した結果

完全にクリスマス気分で入店したはずだった。赤と白の看板、年末感のある空気。店内BGMは覚えていないが、クリスマスソングが流れていたに違いない。目を閉じればサンタクロースがトナカイと共に夜空を舞っている……そんな雰囲気だった。

ところがである。冷凍ケースやお菓子コーナーをゆっくりと眺めていたら、視界の端に明らかに季節を裏切っているヤツが飛び込んできた。強烈な存在感を放っているためスルーできそうにない。何かというと……


スイカだ。


・完全に真夏

ズラリと並んでいたのは、夏のレジャー商品としておなじみのスイカボール。海やプールへ行く前に買っておきたい定番アイテムである。クリスマス仕様の店内においては完全に場違い……おかげで最も存在感を放っていた。マジかよ買うしかねえじゃねえか。

値札を確認すると572円。まったく値下げしていない。ノリで買うにはちょっと高いという絶望的な価格設定。にも関わらず、その佇まいには貫禄があった。どう見ても2025年夏に入荷したスイカボールではない。数年前の夏からずっとここにいるオーラを感じる。

クリスマス気分で入店したはずなのに、気づけば私はスイカボールの前で立ち尽くしていた。買うべきか、立ち去るべきか、いや、こいつを見捨てるわけにはいかない。ケーキでもチキンでもなくスイカを買うべきなのだ。というわけで……

買った。


まさか12月にスイカボールを買うことになるとは……クリスマス看板を眺めながら入店した時には1ミリも予想できなかった。店を出た直後に「え、やっぱり全然いらないかも」と思ったことも一応記述しておきたい。おかげで今年のクリスマスは一味違う。


・会社へ

その後、家で膨らませるのは違うという結論に達した私は、編集部にスイカボールを持っていった。当然ながら「なぜ?」という空気にはなったものの、いちいち説明するのも面倒なので無言で空気を入れることに


フーフーフー


フーフーフー


地味にツラい。プールに行く予定もなければ海の予定もない。クリスマス直前の編集部で何をしているのだろうか。


・気づいてしまった

そんなこんなでスイカボールがやっとそれっぽい形になった。意外と達成感がある。そして、ここで気づいた


体が……

温かい。


・メリークリスマス

思った以上にポカポカしているようだ。どうやら冬にスイカボールを膨らませると、体温が上がるらしい……なるほどそういうことだったのか! とは全然ならなかったが、まさかのホッカイロ効果。ありがとうスイカボール、ありがとうデイリーヤマザキ。

今年のクリスマスはサンタでもトナカイでもなく、スイカ。こんな締めくくりになるとは思わなかったが、忘れられないクリスマスになりました。現場からは以上です!


執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.