初心者向け最安でも2万円くらいはするエレキギター。むしろ、相場を考えたら2万円のものでも「大丈夫か?」と思う人は多いだろう。だが、Amazonでは1万円でギターが売られている。それが中華ギター「Bullfighter」だ

2025年1月にこれを購入した私(中澤)。音が意外と良かったことは以前の記事でお伝えした通りだが、こういうのって家やリハスタで良くても、ガチ現場になるとボロが出るっていうのが定説である。そこでプロデューサーもいるレコーディング現場で使ってみたらヤバイことになった。

・どこまで戦えるのか

2025年11月11日現在は最安モデルで9999円となっているBullfighter。いずれもストラトシェイプで、オーソドックスな形は普通に使えそうな雰囲気が出ている。なお、サクラチェッカーは「合格」だった。ショップ評価や評価者などのサクラ度は0%である。

星4.2の評価はガチ評価によるもののようだ。で、私も1万円ということを前提にすると同感。届いた時はオクターブピッチがグダグダだったけど、調整して弾いてみたら思ったより全然よくできている。むしろ、できすぎててこのギターの限界を知りたくなるくらいに。実際、Bullfighterはどこまで戦えるのか?

・音楽プロデューサーとのレコーディング現場

そんなわけで、ガチのレコーディング現場でこっそりBullfighterを弾いてみることにした。現場はバンド『si,irene(シー・アイリーン)』の新曲レコーディング。プロデューサーは石田ショーキチさん。Wikipediaによると、プロデュースワークにスピッツとかCoccoとかデトロイト・メタル・シティが並んでいる。

石田ショーキチさんが手掛けたスピッツの「ホタル」は私がスピッツで最も好きな曲の1曲だ。正直、リスペクトしすぎてブルってしまう。Bullfighterだけに

・コソコソ

そこで石田ショーキチさんが各種チェックなどをしている間に、30万円のギブソンレスポールカスタムと1万円のBullfighterをこっそり入れ替えた。ブルってようと戦わねばならない。なにせBullfighterだからな!

さらに、ミキシングルームにこっそりスマホもセット。レコーディング中はミキシングルームはショーキチさん1人になるため、バンドに対するものではないガチの反応が分かるはずだ。ブルってようと画は撮り逃さない。それがBullfighterだ!! イッケェェェエエエ!!!!

・レコーディング中に考えること

ついにスタートしたBullfighterレコーディング。演奏中は邪念を捨てる。私がレコーディング中に考えることは、リズムキープしながらドラムを見て頭を合わせること。

その上でコードのポジションとかを雑に間違えたりしないように気を付けるんだけど、丁寧にピッキングしすぎるとこじんまりしてグルーヴが出ないのでワイルドに。あと、構成も間違わないように

要するに、同時進行でやることが多いので邪念まで入るとミスが出るのだ。それをレコーディングルームに漂う聖域オーラの中でやるという緊張もある。ゆえに、自分的に明らかなミスが分かるのは、レコーディング後にミキシングルームで行われるプレイバック時になる。

・ヤバイことになった

今回ももちろん、弾いてる途中は戦えてるのかよく分からなかった。とにかく一旦録りは終わったので、石田ショーキチさんに1万円ということは隠したまま感想を聞いてみた。ギターの音、細すぎるとか何か問題あったりしますか?


石田ショーキチ「ええ……どこが細いねん」

──どうやら音的には戦えていたようだ。信じていいのか? Bullfighterよ。リリース音源イケんのか!? さっそくプレイバックに耳を傾けてみたところ……おお、予想以上に良い感じ!


と思いきや曲が進むと……


後半で3弦のチューニングが狂いすぎて変則チューニングみたいになってる……!!

・限界

なぜ3弦と分かったかと言うと、実はこの曲はイントロ以降3分くらい3弦が出てこない。で、後半の3弦含むコード登場でズバーンと狂っていたのである。

おそらく、原因はイントロラストの1音半チョーキング。そう言えば、演奏中にグッと詰まるような指ごたえがあった気がする。

前述の通り、レコーディングは集中が必須。これはその集中を乱すチューニング不安なので、個人的な結論を言うとレコーディングは厳しい。さすがに1万円ギターには荷が重すぎたかもしれない。まあ、初心者向けギターだしな。

・使えるシーン

逆に言うと、1音半チョーキングをしないとかコード弾きであれば普通に使えると思う。上を見始めるとキリがない世界ではあるけど、それこそ初心者の練習用としては十分良いギターなんじゃないだろうか。

なにせ、私が高校生だった20数年前は、安価のギターはもっとどうにもならん音してた記憶がある。素材的に上が古いものになることは変わらないだろうが、技術の進歩が下のレベルの平均値を上げていてもおかしくない。中華ギターに育てられたプロというのもそのうち出てくるのかもしれないなあ。

参考リンク:Amazon
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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