
2025年2月10日、森永乳業のケーキアイス「ビエネッタ」が同年3月に販売終了するとの報が流れた。チョコレートのパリパリとした食感が特徴的な同商品には根強いファンも多く、数々の悲嘆がSNS上に溢れた。一昨年に初実食してから虜になった筆者もまた、失意の底にいた。
この世はままならない。わかってはいたが、全ての物は不滅などではなく、「ビエネッタ」も例外ではなかった。もし現代に琵琶法師が存在していれば、「ビエネッタのパリパリ音、諸行無常の響きあり」と歌っていたことだろう。
などと少々奇怪な妄想をするくらいには消沈していた筆者は、他に心の穴を埋めてくれるアイスがないものかと探し始め、2つほど候補を見つけた。その名も「パリパリバー」と「パリパリサンド」──何を隠そう、「ビエネッタ」と同じ森永グループ、森永製菓の商品である。
あまりにもあまりなネーミングであるため、てっきり終売する「ビエネッタ」の後継として生まれたアイスたちかと思いきや、「パリパリバー」は1987年発売という古株具合であり、その派生商品である「パリパリサンド」の発売時期も2019年と、数年の時を遡ることになる。
つまり両者は今回の一件とは無関係であり、単純に森永がグループぐるみでパリパリしたアイスに傾倒している可能性が高い。恥ずかしながら筆者が両者を知らなかったのは灯台下暗しと言うべきか。あるいは両者がもはや灯台にめり込んでいて見えなかったと言うべきか。
何にせよ、2025年4月以降に到来する「ポスト・ビエネッタ時代」をサバイブするためには、「パリパリバー」と「パリパリサンド」をチェックしておくことが一丁目一番地であると考えた筆者は、祈るような気持ちとともに初実食することにした。
まずは「パリパリバー」から手をつける。名前が示す通り、そして「ビエネッタ」と同じく、本商品はバニラアイスと薄いチョコの層が重なり合って出来ている。ちなみに価格は1パック8本入りで333円だった。
見た目からは「ビエネッタの棒アイス版」のようなパリパリ感が窺えるが、重要なのは実際の食べ心地である。万が一裏切られた時のことを考えると予断は許されない。かつてないほど棒アイスに対して腰が引けているのを自覚しながらも、意を決してそれを頬張った。
その瞬間、筆者の杞憂は完膚なきまでに砕け散った。次いで入れ替わるように「ああ、この食感だ」という安堵が湧き上がった。滑らかに溶けるバニラアイスの奥で、歯が触れるやチョコが軽く割れる小気味良さは、「ビエネッタ」を食べた時に感じたものと極めて似ていた。
が、当然のことながら、全てが「ビエネッタ」と合致するわけではない。棒アイスゆえに「ビエネッタ」のような口一杯に広がる食べ応えには欠けるし、付け加えるなら、バニラアイスの味も「ビエネッタ」より若干淡白な気がする。
とはいえ、裏を返せば「ビエネッタ」にはない食べやすさを有していると表すこともできるわけで、「ビエネッタ」を引きずるあまり「パリパリバー」を低く評価することは慎みたい。「ビエネッタのファン」であっても、「ビエネッタ時代の亡霊」となってはならない。
ボリュームを求めるならもう片方の品が適任ではないかと、今度は「パリパリサンド」に目を向ける。前述したように、本商品は「パリパリバー」から派生したビスケットサンド型のアイスだ。こちらの価格は149円だった。
横から眺めると、ビスケットに挟まれたアイスとチョコの分厚い重層が見て取れる。今となっては不安など欠片もなく、むしろ期待とともに大口を開けた。
出迎えてくれたのは、期待通りのパリパリとした歯触りと、想像を超えてしっとりと上品なビスケットの柔らかさだった。薄いチョコとビスケットが織りなす食感のコントラストは胸がときめくほどに新鮮で、口を埋める量感も申し分ない。
ただ、これはこれでやはり「ビエネッタ」とは、そして「パリパリバー」とも別物である。食感においてはチョコとビスケットは対等ながら、味わいに占めるビスケットの甘さの割合が大きく、飲み込む時にはビスケットが主役であるような感覚さえ抱く。
というわけで総括すると、「パリパリバー」と「パリパリサンド」は、「ビエネッタ」を大いに想起させる食感を楽しませつつ、それぞれ独自の特徴も披露してくれた。
両者を通じて、筆者は心の穴がゆっくり埋まっていくのと同時に、「ビエネッタ」と決別するための準備も整いつつあるのを感じた。ゆくゆくはこれら2つのアイス以外にも、「パリパリ」を宿した商品が現れてくれれば嬉しい限りだ。
などと少々調子の良い妄想をするくらいには快方に向かっているが、無論「ビエネッタ」のことを忘れはしない。ありがとう、「ビエネッタ」。さようなら、「ビエネッタ」。あなたという思い出の上に、また新たな思い出の層を積み重ねていこうと思う。
参考リンク:森永製菓「パリパリバー」商品ページ、「パリパリサンド」ニュースリリース
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.
西本大紀










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