静岡県の沼津港周辺を観光していたら『深海魚バーガー』『サメバーガー』など、いかにも沼津っぽい商品を扱うハンバーガー屋を見つけた。突然の申し出にも関わらず快く取材許可をいただいたので、私はさっそく行列に並んだ。

日曜日のランチタイムということもあり、店内には空席がなかった。外で母と妹を待たせていた私は、商品をテイクアウトし、近くの土手で撮影&実食することにした。我ながら完璧な流れだと思った。

それがまさか、アイツに見られていたなんて……!

・1400円のハンバーガー

今回ご紹介するのは『沼津バーガー』というお店。ときおり都内のイベントにも出店するなど、全国的に名の知れた名店である。

『まぐろバーガー』『沼津サバメンチバーガー』『あじフライバーガー』といった魚にちなんだメニューが豊富でありつつ、普通に『ハンバーガー』や『てりやきバーガー』もある。まだ何も食べてないけど、この店、近所にあったら絶対通うなぁ。

お店の一番人気は『深海魚バーガー』(870円)らしいが、上位版の『和風プレミアム深海魚バーガー』なるメニューも最近登場したっぽい。価格は驚愕の1400円!!! せっかく沼津へ来たんだもの、ここはやっとくしかねぇ!

お店から少し歩くと、土手とも防波堤ともつかない開けた場所に出る。海を見ながらハンバーガーパーティー……素敵!

この日購入したのは『和風プレミアム深海魚バーガー』(1400円)、『サメバーガー』(870円)、『アンコウナゲット』(600円)、『イカたらナゲット』(480円)。どれも出来立て、おいしそう。



・嘘みたいな話

メインはお楽しみにとっておいて、まずサメバーガーから。

調べたところサメ肉はフライ、煮付け、刺身にしてもおいしいらしい。

へぇ〜! これがサメかぁ! クセがなくて食感に特徴があり、白身魚LOVERとしては普通に常食したいレベルの実力派。なぜサメに対して「フカヒレを取ったら練り物にしかならない魚」みたいな印象を持っていたのだろう? 調理技術の問題?

味付けはオーロラソース、マスタードにチーズ。バンズがフワフワでサメ肉の食感を際立たせている。おいしい。吹き付ける潮風が “サメ食ってる感” をよりドラマチックに演出。


で!!!!!!!!!



お待ちかねの『和風プレミアム深海魚バーガー』である!!!!


1400円もするハンバーガー、私はじめて! いただきま〜…………


シャッ!!!!


誰かの「あぶないっ」という声が聞こえたのと、果たしてどちらが先だっただろうか。今となっては確認のしようもないが、バーガーを口に入れようとした次の瞬間。

私の手に握られていたはずのバーガーは、なぜか忽然と姿を消していた。魔法のように。


・決定的瞬間ご覧ください

冷静になってよく目を凝らすと “かつてプレミアム深海魚バーガーだったもの” は無惨にも防波堤に散らばっていた。

周囲の人の証言によれば、私がプレミアム深海魚バーガーを口に入れようとした瞬間、大きなトンビが背後から私に襲いかかったらしい。「ケガはない!?」と大勢の人が駆け寄ってくれたが、幸いかすり傷ひとつなかった。敵ながら見事な狙撃スキルである。

なおプレミアム深海魚バーガーに使用されているのは深海200〜600メートルに生息するという『アブラボウズ』。滅多にはお目にかかれない珍魚がすぐそこに落ちているのに、食べられる未来が1ミリも見えない。


そして……






海底200メートル超の珍魚アブラボウズフライは、多くのオーディエンスに見守られながらトンビに持ち去られたのでありました。



・沼津バーガーさん、申し訳ない

その後、下っ端トンビたちも続々と登場。

レタスやトマトに至るまで、プレミアム深海魚バーガー(1400円)はものの1分ほどで綺麗サッパリ消え失せた。

「先にプレミアムを食べておくべきだった」「指ごと持っていかれなかったことは不幸中の幸いだった」など様々思いが渦巻くなか……沼津バーガーさんに対して本当に申し訳のないことをあえて正直に書かせていただくと、このとき「とんでもねぇ体験をした」という感情に心が震えていたこともまた、紛れのない事実であった。

後から聞いた話によると、この周辺には市場の魚や観光客のオヤツを狙った鳥が大量に生息しており、むやみに食べ物をチラつかせる行為は控えるよう呼びかけられているようだ。知らなかったとはいえ申し訳ないし、ヘタすると危なかった。皆さん決してマネしないように!

チンピラトンビたちがどんどん集合してきたので、身の危険を感じた私はナゲットを抱え車内に避難。

こちらがアンコウナゲット。女子力の低いアングルですみません。

アンコウといえば鍋でしか食べたことがない気がするが、こんなに歯ごたえがしっかりした魚だとは知らなんだ。硬さを例えると “鶏肉と白身魚の中間” くらい。カレー風味が斬新。

こっちがイカたらナゲット。

ナゲットというより完全に練り物であるが、ピリ辛具合とハードタイプの衣が個人的に非常に好みだった。どっちも冷めてもおいしかったです!


「普通に食レポしただけで確実に撮れ高があったはずの『和風プレミアム深海魚バーガー』(1400円)を購入したら1口も食べることができなかった」という、持ってんだか持ってないんだかよく分からない体験をした沼津の旅。次回は必ず実食することを、ここに誓いたいと思います。

みんな、港のトンビには気をつけろよ!!!

参考リンク:X @numazu_burger(沼津バーガー公式X)
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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