
2024年11月15日から上映が開始された映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(以下Ⅱ)』。前作は2000年に公開されたラッセル・クロウ主演の超名作だ。
演技も美術もストーリーも素晴らしく、最も優れた映画のうちの1本と言って差し支えないだろう。あれから24年経っての続編。
私は予告編も何もない頃に試写会で視聴させて頂いたのだが、当初はぶっちゃけ、続編と言えど前作とのつながりは希薄な、全く別のグラディエーターの物語だろう……と思っていた。いやいや、本作は完璧に地続きで、テーマも宿すソウルも同じ、ガチな続編だ!!
・24年前
さて、いくら名作で、地上波でも何度かやったとはいえ……前作『グラディエーター(以下Ⅰ)』は24年も前の映画である。見ていても、細部が曖昧になっている方は多いと思われる。
詳細は伏せるが、Ⅰにおけるわりと細部に該当しそうな部分が、Ⅱにおけるめちゃくちゃ重要なポイントになっている……!
残念ながら私はⅠを見返さずⅡを見たため「あっ……あー、そういえば、そういう感じだったかも……?」みたいな、だいぶ曖昧な驚き方になってしまい、少し損をした。
皆さんに我が二の轍を踏ませるのは実に心苦しい。ゆえに、これから見に行こうという方は、是が非でもⅠを見直して頂きたい。今ならアマプラで視聴可能だ。
ただぼんやりと見直すだけでは駄目だ。Ⅱへは、「えっ、そこから繋がってくるのか……!!!」という感じで、なかなかに死角から突いてくる。
Ⅰの主人公のマキシマスが最後に死亡して退場するのは皆さんご存じだと思うが、できれば全員の名前と、その関係性を完全に暗記した上で、見に行っていただきたい。
すぐ死んでいく端役についてはその限りでないが、名のある生存した者については全員だ!
・フィクション
本作も歴史映画ということで、昨今では史実との整合性の高さを重視する層も多いと感じる。しかし今作はあくまでⅠからの『グラディエーター』時空なローマが舞台ゆえ、史実との整合性についてはエンタメとしてみるべきだろう。
Ⅰは賢帝と名高いマルクス・アウレリウス帝から、その子のコンモドゥス帝へと変わった時代が舞台であった。そしてそのコンモドゥス帝をマキシマスが闘技場で倒し、自らも倒れて終わるのが前作『グラディエーター』。
史実のコンモドゥス帝も暗殺され、倒したのは刺客として差し向けられた剣闘士だとされているが、闘技場で戦って散るような華のあるものではなかった。
Ⅱはそこからやや未来。アウレリウス帝とコンモドゥス帝に仕えたセプティミウス・セウェルスが皇帝になり創始したセウェルス朝に入っている。
外征に明け暮れたセウェルス帝はすでに亡く、彼の二人の息子、兄のカラカラ(ルキウス・セプティミウス・バッシアヌス)と弟のゲタ(プブリウス・セプティミウス・ゲタ)が皇帝として君臨している。
カラカラは遺跡のカラカラ浴場が日本でも有名だろう。彼は暴君としても知られ、ゲタとの関係性も良くなかったとされている。そして史実では、カラカラがゲタを殺害する。
映画でもカラカラとゲタは明らかな暴君・暗君として描かれるし、彼らの統治するローマはだいぶ住みづらそうだ。しかし多くの点で、映画は史実と異なった展開を見せる。具体的にはデンゼル・ワシントンが凄まじく暗躍する。
フィクション展開多めゆえ歴史とは分けて見るべきエンタメなのは明かだ。しかしそれでも建築や甲冑、衣装などはものすごく気合が入っている。
Ⅰはアカデミー賞をいくつも取ったが、今作も衣装デザインや視覚効果の部門での受賞もあるのではないかと思わせるクオリティだ!
映像表現については、剣闘士たちが再現させられる海戦(ナウマキア)のシーンが特に素晴らしかった。まさに映画館の巨大なスクリーンで見るべきものだ。
剣闘士たちの戦闘の仕方も実に巧みで、立ち回りや見せる暴力性にそれぞれのバックグラウンドを感じさせる違いが見て取れたのが印象的だった。もしかしたら、端役にも細かい裏設定があるのかもしれない。
そして重要なストーリーについてだが、最も重要な部分が最大のサプライズ要素ゆえに、きわめて漠然とした話しかできないのだが、とにかく、前作がそうであったように、今作もまた家族の、そして父と子の物語という側面が、1本の大きな柱として通っている。
ただ前作ほどわかりやすいかというと、そうではないとも感じる。年配者ほど共感できるような、やや枯れた成分が強めな気がしないでもないのだ。それでもこの冬に最も見るべき映画の1つであることは揺るがないだろう。
やはりⅠをよく見直し、闘技場の土に散ったマキシマスたちの血と魂と共に、映画館に足を運んでほしい。気持ちのいい映画だった。
参考リンク:グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
江川資具
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