子供の頃、運動会やリレー大会など “本気を出さなければならない時” は裸足で走っていた。重い運動靴を脱ぎ捨てることでスピードが格段にアップすると信じていたからだ。
実際、靴を脱ぐことで無敵になれた気がした。同じようにフルパワーで走る時は裸足と決めていた方は多いだろう。
しかし今考えてみると……普通に運動靴の方が走りやすくないだろうか。「裸足で走る」というのは、ライバルたちをビビらすためのパフォーマンスだった気がしなくもない。そんな長年の疑問に答えを出すべく、あらためて走り比べてみたので報告したい。
・裸足で走った思い出
裸足で走った方が速い……誰が最初に言ったのか不明だが、はじめて校庭で靴下を脱ぎ、地面のヒンヤリとした感触を足裏で味わった時、大地と一体化したような感覚を覚えた。
校庭には粒の大きい土も混ざっている。しかし短距離走なら痛みを感じる前に完走できるだろう。靴という “重り” から解き放たれた今なら、間違いなく自分史上最高のスピードを出せるはずだ……!
ただ思い出すと、裸足のせいでスタート時に転倒してしまう生徒も少なくなかった。短距離走の命とも言える「スタートダッシュ」で転んだ時の絶望感は異常。泣き出す子もいたほどだった。まあ泣いてしまう気持ちも分かる。
気づけば、クラス内には “靴下派” まで誕生していた。洗濯する親の気持ちを一切考えていない邪道スタイル。裸足と同じく身軽にはなったものの、やはりスタート時に転ぶ者が続出……結局、何が正解か分からないまま、私は大人になってしまった。
・裸足派がいない学校も
ちなみに当サイトのあひるねこ記者が通っていた学校には “裸足派” がいなかったそうだ。そういった方は、以下でただオッサンが裸足で走っている姿を楽しんでいただければ幸いである。
・高機能シューズの存在
そういえば最近は「走り」に特化したキッズ用シューズも人気。もしかすると今の小学生は靴のまま走るのが当たり前なのかも……ただ個人的には、高機能シューズよりも裸足の方がスピードが出ると信じている。陸上用のスパイクとなると話は別だが。
・走ってみた
前置きが長くなってしまった。それでは実際に走り比べてみたい。とりあえずランニングシューズでウォーミングアップ。
最近のシューズは反発力に優れていて、よりスムーズで推進力のある走りを生み出している。グングン前に進む感覚だ。体が温まったところでダッシュをしてみると……
オリャーーーーー!
自分でも驚くほどの速さ……というのは嘘で、ひさしぶりに走ったせいで筋肉がぷるぷる震えている。クソッ、死にそうだ。
・いよいよ裸足
続いて裸足。靴を脱いでグラウンドに立つと……やはり地面に吸い付くような感覚。最高に気持ちいい。「裸足をなめんじゃねえよ」と言われているような気分である。ふたたびウォーミングアップ。
な、なんという軽さだ。靴は裸足のパワーを抑えるための鎧だったのかもしれない。マジかよ……今なら地面との会話も楽しむことができるぞ。大地からのパワーを受け取って力強く前へ、前へ。
ウオオオオオオオオーー!
圧倒的スピード感!
・結果発表
ランニングシューズと裸足で同じ距離をダッシュしてみたが、結果的にどちらが速かったのかと言うと……
ランニングシューズの勝利。
ただしコンディションにもよるので「裸足で走るのは意味がない」と言っているわけではない。今回はたまたまこういう結果が出たというだけの話だ。
・ビビっていなければ……
見返してみると、ランニングシューズの方が飛び跳ねるように前へ進んでいることが分かる。
一方で裸足はややビビりながら走っているせいか、ストライド(1歩の歩幅)が狭かったようだ。
・どちらを選ぶかは……
とはいえ、裸足で走っている時の方が爽快感はあった。また子供の頃を思い出して「やっぱり裸足の方がいいな」とも思ったぞ。速さではない。地面の感触がとても気持ちよかったのだ。
とりあえず「靴下派だけはない」と言える。あんなもん靴下を汚すだけだ。裸足派・運動靴派、どちらにも良さがある。どちらを選ぶかは……好みだ。それではまた。
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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