Netflixシリーズ『極悪女王』が話題だ。特に主要キャストを務めた ゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽(以下、敬称略)の演技には称賛が集まっており、プロレスファンならずとも要注目の作品になっている。


さて、ライオネス飛鳥を演じる剛力彩芽を見ていて思い出したのだが、そういえば私(あひるねこ)は小学生の頃、テレビに映るライオネス飛鳥が実は女子プロレスラーだということをまったく知らなかった。

こういう人、意外と多いんじゃないか。なぜなら……

・スーファミ全盛期

スーパーファミコン人気がピークを迎えていた1990年代中頃。私が小学校低学年~中学年くらいの時期だが、当時は地上波でテレビゲーム情報番組がいくつか放送されていた。


おそらく私の世代でもっとも有名なのが『スーパーマリオクラブ』だろう。任天堂による一社提供番組で司会は渡辺徹。クイズコーナーでもらえる商品が豪華で羨ましかった記憶がある。


そしてもう一つ。『スーパーマリオクラブ』と比べると少々地味ながら、同じくらいよく見ていたのが『ゲーム王国』だ。


これがけっこう渋い番組で、取り上げるのは任天堂のようなメジャーどころではなく、当時たくさんあったマイナーなゲームメーカーのタイトルばかり。ぶっちゃけ「これ、誰が買うんだ?」と思うソフトもたくさん紹介されていた。


各メーカーの広報担当者がスタジオまで来て、実際にプレイしながら新作を紹介するというコーナーは、今にして思えばかなりマニアックである。裏技を教えるみたいなコーナーもあったっけ。



司会は、動物の声帯模写などで知られる江戸家小猫(猫八)。そしてもう一人が……そう、あのライオネス飛鳥だったのだ。


・まさかのライオネス

どういう会議を経てこの人選になったのかまったくもって謎だが、私がライオネス飛鳥という女性の存在を生まれて初めて知ったのが『ゲーム王国』であったことは間違いない。


例えばアジャコングのような、いかにもプロレスラーチックな見た目だったら子供でも一発でレスラーと分かる。しかし、ライオネス飛鳥は常に地味なパンツスタイルで番組に出演しており、当時の小学生からすると正体不明以外の何ものでもなかった。


この人は、自分が知らないだけで有名なタレントなんだろうか? どうやら女優とかではなさそうである。言動から察するに芸人でもないようだ。やはりバラエティタレントか? いや、それにしても……ライオネスてあんた。どんな芸名だよ。



先述した広報担当者とのやり取りなどを見ていても、特にゲームが好きで詳しいというワケではないと思われる。謎だ。私にとってライオネス飛鳥は、ライオネスよりミステリアスな存在であった。


ゲームにも女子プロにも造詣が深い当サイトの編集長・GO羽鳥に聞いてみたところ、ライオネス飛鳥が『ゲーム王国』に出演していたことは当然の如く知っていたものの、なぜ起用されるに至ったか。そういった裏事情のような話は見聞きしたことがないという。


これはもしかすると、プロレス史に残る大いなる謎の一つ……かもしれない。詳しい人がいたらぜひ教えてください。



・伏線回収

さて、それから数年の月日が経ったある日。中学生になった私が何気なくテレビをつけると、懐かしの映像と共に1980年代の流行やアイドルを紹介するバラエティ番組が放送されていた。


私はそれを見るともなく眺めていたのだが……次の瞬間、驚きすぎて思わず立ち上がりそうになる。


そこに映し出されたのは、当時栄華を極めたクラッシュギャルズが歌って踊り、集まった女性ファンが悲鳴のような大歓声を送るという凄まじい映像だった。


『エド・サリヴァン・ショー』に出たビートルズか? というくらいの熱狂ぶりであるが、私が真に衝撃を受けたのは、長与千種と共にリングに降臨する若かりしライオネス飛鳥の姿。こ、この人……! 『ゲーム王国』のライオネス飛鳥じゃないか!!!!



その時、私はすべてを知ったのである。『ゲーム王国』に出ていたライオネス飛鳥というあの謎の女性が、実は伝説的なプロレスラーだったということ。そして、アイドル顔負けの人気を誇る大スターだったということを。


・いまだ謎

ずっと胸にくすぶり続けていた疑問がキレイさっぱり溶けて流れたような気分だったが、こうなると逆に気になって仕方がない。なぜゲーム番組で司会なんかしていたんだろう。


私同様、彼女との最初の出会いが『ゲーム王国』だったという人は、意外と多いんじゃないか。もし『極悪女王』の続編があるなら、ぜひとも『ゲーム王国』で奮闘する剛力彩芽のシーンを加えてほしいものである。

参考リンク:Netflixシリーズ「極悪女王」
執筆:あひるねこ
photo:Netflixシリーズ「極悪女王」9月19日より独占配信中、RocketNews24.