我々人類は様々な困難を抱えているが、いまだに解決の兆し見えないのが「ビールを飲んでいると途中でぬるくなってしまう問題」だ。しかし、だからと言って氷を入れるのはナシだろう。ビールが薄くなってしまうからな。

では一体どうすれば……はっ! そうか。普通の氷がダメなら、ビールで作った氷を入れればいいじゃない。というワケで入れてみることにした。

・大いなる挑戦

きっかけは、アホで上司でお馴染みの男・Yoshioだった。なんでも「ビールすぐぬるくなる問題」の画期的な解決策を編み出したという。その方法というのが……


ウイスキーや『ビアボール』(炭酸で割る高アルコールのビール)を製氷皿に入れ……


冷凍庫で凍らせるというもの。


できた氷をビールに入れれば、最後までキンキン状態が持続するどころか、なんなら濃くなるだろうとYoshioは語る。ところがその数日後……! 冷凍庫を開けたYoshioは言葉を失った。


全然凍ってない……!



・失敗

薄い氷の膜すら張っていないではないか。そう、そこにあったのは、ただただ冷えたウイスキーと『ビアボール』であった。サボってんのか冷凍庫コラァァァァアアア!


しかし、これは当然の結果と言える。なぜなら水と違って、アルコール(エタノール)の融点はマイナス114℃。つまり、アルコール度数の高い酒ほど凍りにくいのだ!


Yoshio vs 義務教育……


Yoshio、完全敗北……!!


が、実はYoshioはこの時、義務教育に一矢報いることに成功していた。同時に製氷皿に入れていたビールを見てみると……


マジかよ、凍ってる!



・成功か?

カチカチではないけども、8割くらい凍ってますよYoshioさん! これはイケる!! これはイケるでェェェェエエエエ! すぐさま私(あひるねこ)は氷を近くにあった小鍋に移した。その結果……


おでんかよ!!


いや、もはや大根だろこれ! 氷が熱々になってんじゃねェェェェェエエエエエ!! とはいえ実験は成功である。あとはこいつをグラスに入れて、そこにビールを注げば薄まらずキンキン状態が続くに違いない!


急げ急げーーーー!


おお、いい感じ!


これぞビール革命だ!!


よっしゃ乾杯ィィィィイイイ!!!


にっが!!!!


・秒速で失敗

な、何だこれは……。冷たいことは冷たいのだが、まるでビールの苦みを極限まで煮つめたような味である。そこには旨みも爽快さも何もない。あるのは気の抜けた虚無のみ。ただ苦みだけが実体を伴って横たわっているかのような……現代社会を映す鏡か。



私とYoshoは無言でビールを飲み干し、後片付けをして、各々の席へと戻った。

ビールが途中でぬるくなるから何だというのだ。その醜い欲深さ、傲慢さが、あのおぞましい虚無氷を生み出したのだ。

悪いことは言わない。ビールはそのまま飲んだ方がいい。世界には触れぬ方が幸せなこともあると、今回の経験を通して改めて学んだのだった。

執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.