パスタって料理として軽視されすぎだと思う。一皿料理だからか、なんとなく「今日パスタでいいね?」みたいな扱いをされがち……だが、その実けっこう面倒な部類に入ると思うのは筆者だけだろうか。

麺を茹でて、その間に具材を切ったりソースを作ったりして、合わせて乳化させて……と、手間もかかるし地味に難易度も高い。大きな鍋やソースのこびりついたフライパンを洗うのも面倒だ。大人数分を一気に作るならまだしも、1人分なんて作る気がしない。

……が、そんな不満を一挙に解決してくれる商品を見つけたかもしれない。

永谷園の「パキット」である。なんでも、レンジでチンするだけで1人分のスパゲティが完成するらしい。

どういうこと? ということで、試してみることにした。


商品の公式ページによればラインナップは5種類あるようだが、今回試すのはそのうち3つ。「たらこ」「カルボナーラ」「ボロネーゼ」(各税込300円)だ。なお、このチョイスは「個人的に作るのめんどくさいor市販のソースが信用ならない3選」である。


全種に共通する工程が、

「パキッ」(パスタを半分に折って水160mlを加える)→「チン」(レンジでチンしてそのまま庫内で蒸らす)→「ぐるぐる」(袋の中でかき混ぜる)

3ステップだそう。パスタソースが入った袋の中で麺ごと かき混ぜることで、ソースを乳化させることができるようだ。まあ、やってみようではないか。



・たらこ


まず最初に作ってみるのは「たらこ」。



指定されているのは1.6mmのスパゲティ麺。さすがになんでもOKというわけにはいかないっぽい。家に1.55mmしかなかったのだが、0.05mmくらい大目に見てほしい。


これを半分に折って、袋の中へ。


で、600W4分30秒→蒸らし8分30秒か。蒸らしの時間を含めると特に時短というわけではない……が、圧倒的に楽であることは確か。


4分30秒経過。えっと、次の工程なんだっけ……と取り出してみると、



「レンジの扉は開けず、そのままレンジ庫内で蒸らす」そう。マジかよ。慌てて閉め直して放置。何も起きなかったことにしよう。


……で、8分30秒おいたのがこれ。

えっ

大丈夫……?


ちょっと心配になる見た目である。パッと見けっこう水っぽく、ソース感があまりない。

指示通り頑張って「ぐるぐる」するも、いまひとつその印象は拭えず。


でもお皿にあけてみると……おお! 意外にも……!

大丈夫だ。ちゃんとたらこスパゲッティの味になっている。

絶品! というほどではないものの、けっこう お高めなタイプのレトルトパスタソースの味。心配していた水っぽさは皆無で、味のムラもほぼ感じない。麺が固すぎるとか柔らかすぎるとかいうこともない。さっきのミスは無事なかったことになったようだ。美味しい。



・カルボナーラ


続いてはカルボナーラ。普通に作ると地味に面倒なヤツである。


手順はさっきとほぼ変わらない。パスタを折って袋にブチ込み、


水を入れて、


加熱と蒸らしの時間だけ異なるようだ。こちらは600Wで5分。そして……

同じ過ちは繰り返さない! このまま開けずに8分!!


で、ぐるぐるして……


出来上がったのがこちら。

あ、美味しい! ちゃんとアルデンテだ。


これも「お高い方のレトルト」の味。レトルトのカルボナーラソースって何故かめちゃくちゃ味気ないことが多いのだが、これはしっかり濃厚で美味しい。

ただその濃厚さが諸刃の剣で、終盤はちょっとクドいかな? という瞬間があった。一口目が美味しいタイプの味付けだな。



・ボロネーゼ


最後はボロネーゼ。工程はほぼ一緒なのでちょっと省略。例によって加熱(600Wで6分30秒)と蒸らし(同じく6分30秒)の時間が違うだけだ。



チンして、蒸らして、ぐるぐるして、出来上がり。



トマトっぽい酸味が本格的。三つの中で一番高級志向かも。多くはないものの、ひき肉っぽいものもちゃんと入っている。


ただ……これは完全に筆者が悪いのだが、横着して水を適当に入れたせいで少々アルデンテが過ぎる感じになっていた。ごめんなさい、今度から真面目に量ります。



・楽しかった


なかなか面白い商品だ。

まず、やはり この商品のメインの恩恵は「火を使わない」ことと「洗い物が出ない」ことなのだろう。この2点がメチャクチャありがたい。

ただし期待したよりは手間がかかる。パスタ100gや水160mlの計量には思ったより気を使うし、蒸らしたり混ぜたりの工程もあって「電子レンジに放り込んで終了!」とは行かなかった。……が、普段パスタを作る時は絶対にやらない作業なので、エンタメ性があってちょっとテンションが上がる。

味も決して悪くなく、値段も含めて「ちょい高級なレトルトソース」レベル。特に「ボロネーゼ」は更に一歩上をいく仕上がりでオススメだ。

お1人でのランチ時なんかに試してみてはいかがだろうか。ちょっとテンション上がるぞ!


参考リンク:永谷園「パキット」
執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.