大宮駅を歩いていたら、JR改札外でなにやら催事が行われているのに行き当たった。横目で見ながら通り過ぎようとしたのだが、ちょっと素通りできない商品が目に入ってしまった。

「至宝の鰻ぷりん」

……鰻ぷりん?

隣で出店していた「うなぎパイ」の仲間かと思いきや、どうやら無関係のようだ。なお、何故「鰻」同士で隣り合っていたのか、狙ったのか偶然なのかは今に至るまで謎である。

一旦は通り過ぎたものの、「鰻ぷりん」とは一体全体どんなもんなのかという好奇心、および「ネタになるんじゃね……?」と囁く内なる声を無視できなくなってしまった。取り急ぎ引き返して購入し、持ち帰ってきたのがこちら。


・至宝の鰻ぷりん(税込540円)

筆者の手に収まるサイズの、可愛らしい丸っこい瓶入り。多分コンビニのプリンよりも容量は少なめだと思われる。


解体してみたところ、プリン本体とカラメルに加え「山椒」が付属していた。かなり鰻に寄せてきている。


店頭にあったPOPによれば、東京・麻布十番の鰻料理の老舗「麻布しき」のタレカラメル部分に使用しているとのこと。540円という価格をどう取るか。


同じく店頭のPOPに食べ方も記載されていた。曰く、

其の一、まずはそのままで、
其の二、次にうなタレカラメルをかけて、
其の三、最後に付属の山椒をお好みで

――とのこと。あいわかった、さっそくいただいてみよう!


・其の一、まずはそのままで

甘さ控えめ、風味も控えめ、食感も柔らかめ。喫茶店にあるような「卵しっかり固め濃厚!」みたいなやつではなく、上品で繊細なプリンだ。「体に優しいぷりんです」と書いてあったが、まさにそんな感じ。


・其の二、次にうなタレカラメルをかけて

よし、問題のカラメルを試してみよう。

匂いはみたらし団子みたいな感じだが……似て非なるものだ。和風の甘じょっぱさはみたらしと近いが、思ったよりカラメルの香ばしさが強い。鰻のタレといわれると近いけど、それもちょっと違うような……もっと身近な、どこか懐かしいような……


あっ


カンロ飴だこれ!


焦げたような香ばしさといい、砂糖醤油みたいな甘じょっぱさといい、見事なまでにカンロ飴。気付いた瞬間、鰻のタレ要素はどこかに吹っ飛んでしまった。カンロ飴以外の何者でもない。なお、カンロ飴の味が圧倒的過ぎてプリン本体の主張はゼロ。タレの乗り物と化している。


・其の三、最後に付属の山椒をお好みで

……なんか「龍角散」的な ガチ目の喉飴みたいな風味になった。

山椒のハーブ感とカラメルのカンロ飴風味の為せる技だろうか。美味しいのだが、上級者向けというか、あくまで味変として楽しむのが程よい感じ。瓶にドバっとあけるのではなく、スプーンでプリンをすくったところにパッパッと振りかける感じがいいかもしれない。

なお、この最終形態でもプリン本体の味の主張はない。トゥルンとした乗り物である。


・カンロ飴でした

というわけで、「至宝の鰻ぷりん」は「カンロ飴」であった。正直「うなぎ感」は無きに等しい。カンロ飴だから。逆に言うと、あの味が好きな人は気に入ると思う。筆者は大好きだ。

ただ一つだけ、プリン本体の味があまりにもおとなしかったのが個人的にはちょっと物足りなかった。でも考えてみれば、カラメルがあれだけ強い味でプリンも主張強めだと喧嘩してしまうのかもしれない。

ちなみに、ちょこっと調べてみたところ、催事出店以外にも ふるさと納税の返礼品として「麻布しき」のお食事券と一緒についてくるようだ。機会があれば、手に取ってみても面白いかも。


執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.