野菜が高い。特にキャベツはめっちゃ高い。今やキャベツ1玉500円はあたり前で、気が付けば高級食材と化している。数年前に「キャベツが高級食材である世界線」を誰が想像しただろうか? だがしかし……。

昔から何かの野菜が高ければ「逆に安い野菜」が出てくるもの。そう、無理してキャベツを買わなくても安い野菜で凌げばいいんや! というわけで「逆に安い野菜」を業界関係者に聞いてみることにした。

・自然の法則

古(いにしえ)の時代から野菜の価格を大きく左右するのは「気候」である。例えば「冷夏の年は米やジャガイモが不作になる」といった話はあたり前であり、特に目新しいことではない。

要するに、例えば何かの野菜が高い場合、逆に安い野菜も出てくるもの。Aにとっては劣悪な環境でも、Bにとっては良質な環境といった具合に、自然はどこかで帳尻を合わせてくる。ホント、上手く出来てるよな!

つまりキャベツが高い高いと言われているならば「逆に安い野菜」もきっとあるハズ。しばらくはその安い野菜で凌げばいいじゃない! みんなちょっと慌てすぎ!!

・調べてもらった

というわけで、話を聞いたのは私の知り合いで青果類の卸の仕事をされている「ベジ太郎さん(仮)」だ。「いま逆に安い野菜って無いんですか?」と質問したところ、1日かけて野菜の価格を調査してくれた。


──面倒なお願いしちゃってすみません!


「いえいえ」


──で、例年よりも安い野菜はありましたか?


「それがですね……昨年と今年の売値を確認したところ、安くなっている野菜は1つもありませんでした


──え?


「念のため、一昨年の価格も確認したんですが、やはり1つも無かったんです。野菜だけではなくキノコなどの菌類も含みます」



──それで1つもないんですか……?


「はい。ただ理由は明白で、サンジュンさんの仰る気候条件だけではないんですね」


──はい。


「値上がりの理由は電気代の高騰、人件費の高騰、そして資材の高騰が挙げられます。資材は包材・肥料・農薬等も含みます。大きく分ければ輸送費もここに入れていいでしょう」


──なる……ほど。



「もう1つ、市場価格の高騰も挙げられます。これは他社との兼ね合いも含まれており、例えばAという会社だけがキャベツを激安で販売し続けることは実質的に不可能なんです」


──つまり、天候以外の要素が加味されて野菜が高くなっていると?


「おっしゃる通りです。キャベツは顕著ですが、例年並みの収穫がある野菜も電気代や人件費が高騰しているため、その分が価格にはね返っていると考えていただければわかりやすいでしょうか?」


──そうなんですね。一昔前みたいに「逆に安い野菜」はないんですね。


「そうですね。例えばキャベツで話をしましょう。キャベツが高いと今度は安く買える白菜にバイヤーが目を付け始めます。それに伴い白菜の高騰が市場では始まっています」



──なんと。


「昨年からこのような感じで、余剰がある野菜も売り場を空けない目的として買い付けたりすることで、野菜全般が高騰しているのが現状です」


──理解しました。結局、世の中のもの全般が値上がりしていて野菜も例に漏れないってことですね。


「そうですね。ちなみに果物も同様でした」



・まさかの「無し」

前段でエラそうなことを言って申し訳なかったが、昨今の野菜の高騰は天候のみならず「電気代」「人件費」「資材」等々、複数の要因が絡み合い値上がりしているとのことであった。

この流れが続く以上「逆に安い野菜」もそうそう現れる気配が無いため、何とか財布と知恵を絞りつつ地道に暮らしていくしかないのだろう。いや~、世知辛い時代になりましたね。

とにもかくにもベジ太郎さんによれば、いま「逆に安い野菜」も「逆に安いキノコ」も「逆に安い果物」も一切無いとのことであった。気が滅入るような結果で申し訳ないが、これが現実である。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.