私は何らかの原因で……って加齢しかないんだけど、上方を見にくくなった。


自宅でPCの画面と向き合う際、無意識に眉間ら辺を指でクイっと持ち上げる仕草が増えたことに気付いたのだ。


そう、無意識にハンマーカンマーをやっていた。


目の疲れから来る頭痛の頻度も増した。その状態ですでにだいぶ過ごしてきたのだが、機会があって医者に相談してみた。


すると、こういうことだった。


人は加齢でまばたきに使う筋力が衰え、まぶたが垂れ下がってくる。代わりにおでこの筋肉を使ってまぶたを持ち上げようとするらしい。ハンマーカンマーをやっちゃうのは、それを助けようとするためだ。


おでこの筋肉を使ってまばたきをするようになると、おでこのシワがどんどん増えるという。シワは前髪で隠せるが、何より私には目の周辺が疲れるのが辛かった。


そこで勧められたのが眼瞼下垂(がんけんかすい)の手術。眉毛の下のラインを切って、たるんだまぶたを引き上げるもので、オメメをパッチリさせる美容目的で受ける人が多い手術と聞く。

まぶたの上を切除し、眉毛の下のラインに合わせ引き上げて縫い付ける。


発端は異なれどオメメがパッチリするのは悪い気はしない。保険は効かないが、勤め先を辞め時間もある時期だったので、やるなら今しかねぇと速攻で手術を受けることにした。


手術を申し込んだのは眼瞼下垂専門の都内某クリニック。手術費用は、麻酔代や薬代込みで約45万円だった(クリニックによって異なる)。


手術当日からオメメパッチリ ミラクルリボーンまでの経緯を記す。



・手術当日 あれ? ってなるほど痛みナシ

午前10時クリニック着。かかる時間は、術後院内での休憩も入れ2時間少々。


早速、手術台へ通される。静脈麻酔をした次の瞬間、もう手術は終わっていた。


私は以前にも全身麻酔の経験があり、こういうものだと知っていたが、このまったく時の経過を感じない、少し未来へワープする感じは実に不思議なものだ。


当然、術中の痛みはまったく感じない。感じようがない。麻酔から覚めた後どうかというと、局部麻酔も効いており、ちょっと瞬きがしにくいと感じる程度だった。


抗生剤と痛み止め、あと胃薬をもらって帰路へ。次の来院は1週間後の抜糸となる。ちなみにコンタクトレンズをしている人は、抜糸まで使用できないそう。


手術前の6時間ほど食事禁止だったため、私は空腹に耐えられず、のんきにレストランへ立ち寄ってランチを食べて帰った。

その時の写真。目の上がちょっと腫れているが、糸も眉毛で隠れてて、さほど違和感はない。この先、痛い目に遭うことを想像できず、余裕ぶっこいている。


なお、手術当日は首から下のシャワーのみオーケーで飲酒はNG(私は飲めないので関係ないが)、翌日から洗髪、飲酒も可能となる。



・術後2日目〜10日目 ダウンタイムの記録

翌日からのダウンタイムの経過はこうだ。


①<術後2日目> まぶたがぷっくり腫れる。痛みはさほどでもない。
②<術後3日目> 腫れのピークが到来。ほぼ目が開かない。痛む。
③<術後4日目> ボコボコのボクサー期。周囲がだんだん黄色くなる。
④<術後5日目> さらに黄色味が増すも、見え方は徐々に戻る。
⑤<術後6日目> 患部がかゆくなってきた。
⑥<術後7日目> 画面越しなら人にバレない程度に?
⑦<術後8日目> クリニックへ行き、抜糸を行う。
⑧<術後9日目> 右目は、だいぶ普通になてくる。
⑨<術後10日目> ちょっと訳ありの人くらいに。

<補足>
左目(写真向かって右)のほうが腫れが大きいのは、吊り上げる幅が少し長かったためだ。私は左目のまぶたのほうが、より下がっていたため左右で差が生じている。


3日目くらいまでは、横になって患部を冷やして過ごす時間が多かった。


3〜4日目は腫れ・痛み共に酷く、目が開かないため視野が異様に狭くなる。腫れが眼球を押すせいで、ピントも合わずスマホも見られない。ずっと音楽を聴いて過ごしていた。


4日目。ボコボコにされたボクサーのようだ。


5日目くらいから黄色味が増して、痛みがかゆみに変わってくる。


7日目に、実はオンラインの面談があった。初対面の相手だったので、カメラはオンにしないとならない。先方に事情は伝えていなかった。

メガネで誤魔化す。


目の周囲が黄色味がかっているせいで、カラーレンズのように見える。ちなみに色メガネを買ったことはない。


よ〜く見ると何か変だけど、そんな高画質・大画面で見てるわけないし、特に怪しまれる様子もなかった……と思う。


8日目、抜糸は一瞬だった。


9日目になると、右目はだいぶ普通になった。


10日目の写真。仮に人と会っても、ちょっと何か事情あって右フックお見舞いされちゃったのかな〜くらいで済みそう? 親父にもぶたれたことないのに!



・術後12日目 友人と会う

前髪を垂らせば、もうわからない? 実はこの日、術後、初めて知人に会った。まぁまぁ頻繁に会う友人夫妻だ。


そこそこ長く一緒にいた。


向かい合って食事をして、話し込んだ。


思ったことは、何でも話せる間柄だ。


────何も言われなかった。



・術後2週間 抜糸跡がアートメイクに?

抜糸の跡は、徐々に薄れるが数ヵ月ほど残る。眉毛がよりくっきりするので、個人的にはむしろ消えないでほしいと思った。


・術後3週間 オメメパッチリ?

すっかりハンマーカンマーをやらなくなった私。


上方もラクに見られるようになったし、おでこにシワもできない!



・結論 自己満足

眼瞼下垂の手術を受け、すでに4ヵ月となるが、QoLは爆上がりだ。本当にやってよかったと思う。

やる前(上)と4ヵ月後の私。


ついでに見た目的にも、いいオトコ感ちょい増しと自分では思うのだが……。


当然、この間に家族も含め、いろんな人と会っている。しかし、気付いた人は本当にゼロだ。マジ皆無。


そもそも私は生まれつき目が細いので、まぶたのたるみを治したところでオメメパッチリ ミラクルリボーンになるわけなかったし、冷静に考えて50のオジサンの目がちょっぴり大きくなったことを気に留める人なんて、いるわけないよね……。


それでもいい。QoLは上がったし、このまま還暦に向け、上を向いて歩こう。


執筆:矢崎飛鳥(ACCN)
Photo:RocketNews24