まずは謝罪せねばならない。「かつや」が2024年6月7日に期間限定の新商品『まぐろカツとささみカツの合い盛り』を発売すると聞いた私(あひるねこ)は、心のどこかでこの新メニューのことを舐めていた。いや、舐めきっていた。

まぐろ? ささみ? 猫缶かよ。ロースカツなどレギュラー陣と比べると、やや小物のような印象を受ける。いつもは注文を終えるとクラウチングスタートの姿勢で待機しているのだが(気持ち的に)、今日はスタンディングスタートで軽く流すか……。

・かつや新商品

今にして思えば、今回は「かつや」の公式Xアカウントに書かれていた文章からすでに謎だった。


「肉も魚も食べたいし
爽やかにがっつりしたいよね


爽やかにがっつりしたいよね──。私もかれこれ40年近く生きているが、初めて耳にする日本語である。まったくもって意味が分からなかった。そう、この時までは。



『まぐろカツとささみカツの合い盛り』は、いつも通り丼と定食の二刀流態勢。価格は丼が税込869円、定食が税込979円で、私が注文したのは丼である。


正直に言うと、まぐろカツと聞いてもさほどテンションは上がらなかった。何だか地味な感じがした。どうせお行儀のいい優等生たちが、お行儀よく席についているんだろう。そう思っていた。ところが……!


マ、マジかよ、こいつら……


全員プリズンブレイクしとる……!

・思ったより爆盛り

それは模範生徒というより、マッドマックス怒りのマグロードであった。誰一人として器の中に収まる気がない爆盛り揚げもの無法地帯。脱獄し放題やないか!

いつから『まぐろカツとささみカツの合い盛り丼』が品行方正な優等生だと錯覚していた? そうだ、すっかり忘れていた。これは「かつや」の新商品なのだ。まともに話が通じる相手ではないのである。



・かつてない仕様

飛び出す絵本……ならぬ飛び出すカツにばかり目を奪われがちだが、その上に盛られた大量の大根おろしにも注目したいところ。


これ、いつもの「かつや」ならタルタルソースあたりをチョイスしていただろう。それを、レモンも添えてサッパリさせようなんて、今回の「かつや」はちょっと大人じゃないか。


カツの上にかかっているのは、特製の醤油ダレを絡めたおろし生姜と刻み生姜、青ねぎ、玉ねぎである。しょっぱそうだな……と思いきや、意外にもサッパリ甘めの仕上がりで美味。またしても大人! 一体どうしちゃったんだ「かつや」は!?


と思ったら……



・安心の大サイズ

カツの1個1個がバカみたいにデカくて笑った。よかった、全然大人じゃなかった。いつも通りやや頭の悪い男子だった。とは言え、揚げたてのキハダマグロのハラモカツは、食べ応えはあるのにサッパリしていて、非常にヘルシーな味わい。


しっとりした肉質が魅力の鶏ささみカツも、相変わらずウマいが脂っぽさは皆無である。こんなに罪悪感のない「かつや」は生まれて初めてかもしれない。おいおい、勝手に大人の階段上るんじゃねーよ! 置いて行かないでくれよォォォオオ!!


と思ったら……


・再び安心

下からさらにデカいまぐろカツが出てきて笑った。いくらヘルシーだからって、こんなに爆盛りにしたらプラマイゼロだろ。ところてんを1トン食べるような無邪気なアホさというか……やっぱり「かつや」はどこまで行っても「かつや」なんだなって。



結果、いつも以上に満腹になって店を出たのだった。今なら「かつや」が提唱した、あの謎の概念が私にも理解できる。


「肉も魚も食べたいし
爽やかにがっつりしたいよね


たしかに「爽やかにがっつり」としか言いようがないメニューであった。相反する二つの事象を自らのルールによって強引に結び付け、新たな価値観を創造する……。なるほど、つまりこういうことか!


今日の結論:俺たちの「かつや」は神

・まさかの着地

本日発売の期間限定メニューを食べに行った結果、「かつや」は神であり、『まぐろカツとささみカツの合い盛り丼』は神話であることが分かった。こんなゴールに辿り着くとは私も思わなかったが、これもまた「かつや」の醍醐味であろう。

皆さんは、上記のことはあまり気にせずお楽しみくださいね。それではまた来月の記事でお会いしましょう。さようなら。

参考リンク:かつや、X @katsuya__corp
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:X(iOS)

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