「かつや」とは何の店か? と問われたら、あなたなら一体どう答えるだろう。幸せ? まごころ? それとも生きる希望? いや……普通にとんかつ屋だろ。頭沸いてんのか。そう、とんかつ&カツ丼を中心とした揚げ物のワンダーランド、それが俺たちの「かつや」だ。ところが……。

昨日2021年8月27日、そうとも言い切れないんじゃないかと思わせる衝撃の新メニューが期間限定で発売されてしまった。『塩カツ丼』というシンプルな名前の商品なのだが、もしかしたら……もしかしたらだが「かつや」とは、もしかしたら……大根屋なのかもしれない。

・かつや新商品

冒頭から暑さで頭をやられたような感じになっているが、常識を疑ってこそ我ら “かつや者”。そもそも常識なんてものが通用しないのが「かつや」という魔境ではなかったか。さて、新商品『塩カツ丼』は税抜590円でロースカツ80グラム。

また、定食は税抜790円、単品は税抜590円でそれぞれロースカツ120グラムとなっている。今回、私(あひるねこ)は丼を注文させてもらった。思い切りロースカツと書いてあるのだから、やはり「かつや」は問答無用でとんかつ屋に決まって……


ねぇなコレ。

・とんかつ屋ではない

一瞬とんかつ屋かと思ったけど、やっぱとんかつ屋じゃねぇわ。そこには新手の二郎インスパイア系を思わせる野菜の塔がズガンとそびえ立っていた。そう、新商品『塩カツ丼』の正体、それは山盛り野菜の塩だれロースカツ丼だったのだ。野菜は水菜と、これは……白髪ねぎか?

と思いきや、よく見たらまさかの大根ッッ! 天高く盛り付けられた、大根のつまであるッッ!! いや大根のつまて! こっちは刺身じゃねーんだぞ! 勝手に海の幸にすんなコラ!!

・メガ大根

まずいことに大根の下ではロースカツがそろそろ圧死しかけており、早く救出しなければ手遅れというところまで来ていた。急いで助けてやらねば……。

そのためにはまず野菜の量をある程度まで減らしてやる必要があるだろう。下手に触るとジェンガの如く崩れ落ちそうなので、慎重に慎重に、そーっとそーっと、ゆっくりゆっくり大根のつまを……


ロ、ロースカツーーーーーー!!!!

・ロースカツ死す

食べやすくしようと大根を平らにならそうとしたら、なんか大根丼みたいになったぞ。俺どんだけ大根好きやねん! ただ実際に食べてみると、カツの熱でややしんなりした大根とガーリック香る塩だれの相性はすこぶる良く、これがなかなかどうしてウマい。単体で食べても十分にウマいのだ。

そんでもって、逝去したと思われたロースカツは意外なほどにピンピンというかサクサクしており、それがまた塩だれとよく合う。私はとんかつは完全ソース一択党に所属しているため塩だれなど眼中になかったが、ソースよりあっさりしているのに物足りなさは感じない塩だれもまた良きかなである。

もちろん大根とロースカツを一緒に食べてもウマい。新鮮な組み合わせだが、何と言うか口の中が静と動に満たされるかのような感覚だ。これもまた『塩カツ丼』の真骨頂だろう。ただ……


それにしても大根が多すぎる。

・想定以上に大根

かつて大根のつまをこんなにも大量に食べたことがあっただろうか? 圧倒的な大根ポゼッション率。少し気分転換をしたくなるレベルである。何かいいものは……あ、そうだ! 「かつや」にはコレがあるじゃないか。


卓上に設置された無料の漬物……


つーかコイツも大根かよ!!

・お前もか

大根のつまの合間に挟む割干大根の漬物。まさに大根のオンパレード。一応、つまと漬物を一緒に食べてみたところ、まったくタイプの違う大根が織りなす大根ハーモニーが口の中いっぱいに広がるが、大根がハーモニーを奏でるんじゃないよ「かつや」で。ここは大根屋か。


──以上、結論としてはやはり「かつや」はとんかつ屋ではなく、大根屋ということになるだろう。“かつや者” 諸君は今後、そういった認識でよろしく頼むぞ。ちなみに、個人的にこの『塩カツ丼』は、歴代の「かつや」限定メニューの中でも『タレカツ丼』と同じくらい気に入っている。ではまた。

参考リンク:かつや
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

★「かつや」関連の記事はこちら → シリーズ「かつや激闘集」

▼二郎かと思ったぞ。