ラーメンの聖地北海道。札幌は味噌ラーメン、函館は塩ラーメン、旭川は醤油ラーメンと言われている。そう考えると、首都圏で旭川発祥として名を馳せる『らーめん山頭火』は旭川ラーメンの源流とは少し違うわけだ。とんこつ塩ラーメンだしね。
ただ、この度らーめん山頭火の渋谷店を通りかかったところ、店頭にラーメン屋としては一風変わったご飯メニューのポスターが。こ、これは……! その時、脳裏に旭川の風が吹いた。
・ラーメン屋にしては珍しいご飯もの
レギュラーのご飯メニューは「ねぎめし定食」「半玉チャーシューご飯定食」「チャーシューご飯定食」「高菜明太ご飯定食」と全てセット販売(ラーメン価格+350円)である山頭火。
だが、渋谷店の店頭にポスターが貼られていたのはそんなセットにはないご飯メニューだった。その名も……
「いくらごはん」「にくらごはん」(各750円)
にくらごはんとは、肉といくらが半々になっているものだ。ちなみに、セットでの記載ではないとは言え、店員さんによると、ラーメンとセットでの注文になるらしい。というわけで、「特選とろ肉塩らーめん(税込1500円)」と「いくらごはん」を注文してみた。
・素朴さ
ご飯は酢飯ではなく普通のご飯。席の調味料に醤油はないため、いくらのナチュラルな塩辛さで食べる素朴な味である。ただ、その素朴さがラーメンの濃さにはちょうど良い塩梅。珍しい組み合わせだが、さっぱりとした後味が心地いい。
そう、ラーメン屋のご飯ものがいくらごはんというのは珍しいはず。ゆえに、この素朴な味を食べていると思い出さずにはいられなかった。大雪の旭川を。
・脳裏に浮かぶ光景
あれは2年前のこと。小樽に取材に行った私は道行くおじさんにオススメの店を聞いたところ、なぜか旭川のラーメン屋をオススメされた。そこで旭川に行ってみたところ、そのラーメン屋のご飯メニューが素朴ないくらごはんだったのである。
よく考えると、醤油とかタレとかがかかってないところまでそっくりだ。あの時のラーメン屋『らーめんや天金』のいくらごはんに。
肌を刺すような風と雪景色が脳裏に浮かんだ。そして、同時に、素朴でほっこりした温かさも。渋谷でこんなに旭川を思い出すことがあろうとは。
というわけで、店が押しだすラーメンの味が旭川ラーメンの源流とは少し違うと前述した山頭火だが、確かに旭川っぽさが感じられたのであった。ラーメン屋の券売機に眠るメシ、略して「ラーメシ」。ラーメンじゃないからこそ、DNAが垣間見える瞬間もあるのかもしれない。
・今回紹介した店舗の情報
店名 らーめん山頭火 渋谷店
住所 東京都渋谷区渋谷3-13-7
営業時間 月~土11:00~23:00 / 日11:00~21:00
定休日 無休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.