断言するが、皆さんの家の冷凍庫にはハンバーガーが足りていない。

冷凍食品やアイスなどの定番の商品群は充実していることだろうが、そこにハンバーガーは含まれていないはずだ。筆者は遠隔から他人の冷凍庫の中身を観測できるという、冷凍庫に特化した千里眼と透視能力を有しているので全てお見通しである。

「そんなことを言われても冷凍ハンバーガーなど何処で売っているのか」「ハンバーガーを買ってきて冷凍しろというのか」といった声が聞こえてきそうだが、以下よりレビューする「とあるブランドの商品」を知れば、皆さんはきっと驚くに違いない。

そのブランドの名は「Tenderbuns(テンダーバンズ)」という。公式サイトには、兵庫県でサンドイッチ店を営んでいたパン職人が、フードロス問題への憂慮から発足させた冷凍ハンバーガー専門ブランドと書かれている。

冷凍ハンバーガー自体、国内ではかなり珍しい。ごくたまに冷凍自販機にひっそりと並んでいるのを見かけるくらいである。それが公式オンラインショップで手軽に手に入るのだ。

ラインナップとしてはチーズバーガーや月見バーガー、ガーリック&ジンジャーバーガーなどが売られており、最小6個入りから最大18個入りまでのセットを選べる。18個入りを選んだとしても、冷凍庫で約10ヶ月の長期保存が可能なので問題なく消費しきれるはずだ。

とはいえ、そこで重要になってくるのは「結局美味しいのかどうか」だろう。今回は筆者が初実食時に選んだ、チーズバーガーの6個入りセットをレビューしていくことにする。ちなみに価格は3100円(送料1000円)であった。

実物のパッケージと相対すると、まず見慣れぬ「Frozen Burger」の英字が目に飛び込んでくる。願わくは「FB」と言えば「Facebook」ではなく「Frozen Burger」を連想するのが当たり前の世の中になってほしいものである。



さておき、調理方法はいたって簡単で、そのパッケージの右上端にある点線に切れ目を入れ、電子レンジで加熱するだけだ。より美味しく食べるためには、調理の半日前に冷蔵に移して解凍しておくのがお勧めとのことである。

冷凍状態の場合は600Wで1分半、解凍状態の場合は1分ほど温めたのちにパッケージを開けると、中からシートにくるまれたハンバーガーが出てくる。どうやらこの「パッケージとシートの二重構造」がキモのようだ。

公式サイトによれば、バンズに水分がついてふやけないように保護しながらも、レンジアップ時にはハンバーガーの周りを蒸気が循環し、みずみずしさは維持されるような構造になっているという。

つまりはスチーム効果によってハンバーガーが美味しく出来上がるという仕組みらしい。筆者は千里眼と透視能力を有しているが難しいことはよくわからないので、伝聞形が多いのはそのためである。



とにもかくにも、重要なのは実際の味である。そんな意気込みでハンバーガーを頬張ったところ、それはもう、大変な衝撃に貫かれた。

ただ美味しいだけならばここまで大げさな書き方はしない。正直、夢中になるくらいに美味しかった

バンズが変に硬かったりパサパサしたりもしていないどころか、上記の説明通りに、いや、その説明を上回るかのように柔らかでふんわりとした食感をしている。一切違和感がないというか、有名チェーン店のハンバーガーと遜色ない。

ビーフ100%のパティも味気なさとは全く無縁なジューシーぶりで、噛むほどにホロホロと崩れ、ほぐれる。さらにはそれを取り巻くチェダーチーズも十二分に濃厚で味わい深く、とろける。

極めつけに、具材の合間に差し込まれたワインソースと辛子マヨネーズソースが良い仕事をしている。旨味と酸味でハンバーガー全体を整えつつ、前面には出てこずに引き下がる。その「素材の味をごまかさない振る舞い」が何とも憎らしい。


半分ほどを食べ終わった頃には、「冷凍」であることなどすっかり忘れていた。「冷凍」云々以前に、シンプルにハンバーガーとしての魅力がすさまじい。このハンバーガーを扱っているチェーン店があったら、目に入るなり入店するであろうくらいには心をつかまれた。

クオリティは完璧である。いまだに仕組みが腑に落ちていない身としては、いっそ不思議なまでのハイレベル具合である。あえてケチをつけるとするなら、手軽に購入はできても、やや気軽ではない価格面だろうか。しかしそれも致し方ない気はする。

何にせよ、当記事を読んで興味の湧いた方は是非すぐにでも入手してみてほしい。筆者は千里眼と透視能力を有しているが、予知能力は有していない。あなたの家の冷凍庫が、「テンダーバンズ」で埋まることを望んでいる。

参考リンク:テンダーバンズ 公式サイト
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.