JRや東京メトロでは「お得な乗車券」が定期的に販売されているのだが、駅のポスターで見かけた「東京まちめぐりクーポン」は思わず2度見するほどお得だった。


・東京メトロ 24 時間券(600 円)
・丸の内エリアの約 600 店舗で利用できる 1000円OFF クーポン
・丸の内ポイントアプリ500円OFFクーポン
・三菱地所グループの 26 施設約 100 店舗で使える店舗特典クーポン


という4点セットで800円なのである。単純計算すると2100円分+α。下手な福袋よりよっぽどすごいじゃないか……。

よっしゃ、これで丸の内でうまいもんでも食ったるで〜! と速攻で購入したのだが……。

・丸の内でお得に買い物できる「東京まちめぐりクーポン」

「東京まちめぐりクーポン」ざっくり説明すると、東京メトロ乗り放題券に、丸の内・有楽町・大手町エリアで使える1000円分の割引券をつけた丸の内ホイホイクーポンである。

使える駅ビルは三菱地所系列の

・丸ビル
・新丸ビル
・丸の内オアゾ
・東京ビルTOKIA
・二重橋スクエア
・iiyo
・丸の内ブリックスクエア
・大手町フィナンシャルシティ

などなど。2024年1月15日から3月10日まで2万セット限定でなくなり次第終了。


販売場所は東京メトロの定期券売り場など22ヶ所。公式サイトで各駅の在庫状況が確認できるのだが、1月26日の時点で残りわずか。


ちなみに買ったその日に使わなければいけない……というルールもないので、メトロの24時間乗車券と丸の内1000円クーポンを別の日に使ってもいいと思う。

また「丸の内ポイントアプリ」をDLすると、500円分のポイントがもらえる



・丸の内砂漠でさまよう

丸ビル、新丸ビルなどは上場企業などが集まっているので、高級店が多い。

「1000円引きで普段は食べられないうまいもん食ったるで……!」 と、がめつさ全開で丸の内へ向かったはいいが……。


新宿の雑居ビルで働くロケットニュースのライターにとって、オフィス街の丸の内は慣れない場所。


「大手町〇〇ビル」とか「丸の内〇〇ビル」が多すぎて、どこが対象のビルなのか全然分からない……! しかもどのビルも全部同じに見える。


さらにビル同士が地下街でつながっていて境界が分かりづらく、コソコソとパンフレットを出して対象のビルか確認するというダサい行動を繰り返す羽目になった。



・絶対に得したいという強い気持ち

結局、どこがどこか分からないので、店がたくさん入っていて全店でクーポンが使える丸ビルか新丸ビルでクーポンを使うことにした。

ちなみに、ここで使うお金は自腹。お得度を実感するためには身銭を切るほうがいいからである。


イルミネーションのきらめく丸ビルの下で私は1000円オフクーポンを握りしめ「ここで絶対に得してやる」と固く誓った……。


ちなみに、1000円オフクーポンが使えるのは2000円以上の会計から。

しかし、高級店が立ち並ぶ丸ビルで服やアクセサリーは軒並み3万近くする。そんな店で1000円オフクーポンを使ったって、焼け石に水だろう。グルメ系が妥当な線か。


「1000円オフのクーポンを使う目線」でテナントを見る。


スタバとかカフェで会計2000円以上使ってもなあ……。


クアアイナのハンバーガーって2000円くらいするけど、チェーン店だしなあ……。


寿司かステーキ食べたいけど、丸の内のステーキは5000円くらいするんだな……。


得したい気持ちのせめぎあいで、店が全然決まらない。脚も疲れてきた。



・なぜか高級なフォーを食べることに

あーでもないこーでもないと、さまよっていて目についたのは「1杯2000円近いフォーを出す高級タイ料理店」だった。

こんな高いフォー、普段なら絶対に食べない。これだ、これが一番得な気がする!


勇んで入店したのだが……タイ料理屋とは思えない雰囲気の高級レストランである。まるで老舗のバーのような……。


通されたのは、ライトアップされた東京駅が正面に見える席。ロケーションから察するに完全に高級店である。


メニューを改めて見ると、炭酸水が1杯800円もするではないか。


これ、2000円のフォーを食べて、1000円のクーポン出してウッシッシ……みたいなセコい真似をすると恥をかく店や!

実際、周囲はお金持ちそうな人ばかりである。

さすがにフォー1杯だけ頼む勇気はなく、ジャスミンティーとデザートのチェーまで頼むことに……。


それはそれは高級な味のするフォーであった。チェーもびっくりするほどフルーツが多いし、信じられないくらいココナッツミルクが濃厚だった。

こんな高級なタイ料理はもう食べられなさそうである。しかし、見栄を張ったせいで会計は3500円に……。



・クーポンの罠にハマった

さらに、ダウンロードした「丸の内ポイントアプリ」の500ポイントを使うために地下で高級パンを購入


閉店間際で品数も少ない中、無理やり1000円分のパンを選んで買った。


腹も満たされ、ポイントもクーポンも使い切って、ふと我にかえる。


私は果たして本当にフォーが食べたかったのだろうか、パンが食べたかったのだろうか……。


寿司かステーキを食べるぞ〜と勇んで来たのに、結局、お得さに目がくらみ余計なお金を使ったような気がする。


冷静になって丸ビルを歩くと、グリーンレーベルの50%オフセールや、ジェラピケの店が目に入る。

半額になった服をさらにクーポン使って1000円引きで買う方がよかったのでは……?


いつもは買えないジェラピケを1000円引きで買ったほうが良かったのでは……?


1000円得するための買い物、それでは本末転倒なのだ。本当に欲しい物を1000円引きで買うのが正しいクーポンの使い方だったのではないか……。

私はつい元を取らねばと必死になってしまい、かえって散財してしまった気がする。

「東京まちめぐりクーポン」はお得なことに間違いはない。だが、元を取ろうと私のように必死になっては意味がない、どうか反面教師にしてほしい。


参考リンク:東京まちめぐりクーポン
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.

▼東京メトロ24時間券は乗車から24時間使えるので、日をまたいで使えるぞ!

▼クーポンのために大して使わないアプリをダウンロードするときの敗北感……

▼しかし「丸の内ポイントアプリ」は100円につき1ポイントなので、ガンガン貯まる。丸の内の人は入れてて損なさそう