この記事をお読みいただくみなさんは、これから “見たことが無い中華そば” をご覧いただくことになる。「中華そば = ラーメン」という概念があっさりと覆されることになるだろう。

かくいう私(サンジュン)もその1人で、食事中も食後も「中華そばとは……?」と何度も頭によぎった。さあ、日本よ……これが「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」が送る唯一無二の中華そばである。

・中華そばとは?

はい、これ。これです、これ。パッと見は「え、全然中華そばというかラーメンじゃん?」と思いますよね? チャーシュー・メンマ・ナルトあたりが入っていれば、とりあえず「ラーメン」の要件を満たしていますから。


ところがどっこい、麺を引っくり返すとはい、ドーーーン!


この中華そばで使用されているのはいわゆる中華麺ではなく「日本蕎麦」なんです。「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」の蕎麦を王道の日本蕎麦と呼んでいいのか? そんな疑問はありますが、少なくとも中華麺で無いことは確かです。

さらに言うとスープも鶏ガラやトンコツを使用した中華スープではなく、日本蕎麦で食べるスープでした。ただしこちらも「お出汁」と言っていいのかは微妙なところで、日本蕎麦愛好家の中には「認められねえ!」とブチギレる方もいらっしゃることでしょう。

・冬季メニュー

ここでいったん整理しておくと、いまご紹介している『中華そば』は、都内に15店舗を展開する「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」で発見したメニューです。

「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」は「カレーは飲み物。」と同じ系列の飲食店で、名物はゴリゴリの蕎麦をラー油入りのつけ汁でいただく「肉そば」。その中毒性は凄まじく、昼どきは満席があたり前の人気店です。少なくとも秋葉原店は!

ところがどっこい「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」には弱点があるんですね。それは冬場に弱いこと。なにせ名物の肉そばは「冷たい麺 + 冷たいつけ汁」がデフォルトなので、どうしても冬場はなかなか足が進まないのです。

おそらくそんな冬の低迷期を脱しようと投入されたのが『中華そば』なのでしょう。ビジュアルや具材は上述した通りで、価格は1人前890円。なお、私は行きつけの秋葉原1号店で発見しました。

・悔しいがウマい

で、まずは麺ですが、当然ながら肉そばほどゴリゴリした食感ではありません。冷たいとアゴが疲れるほどゴリゴリ食感のそばですが、中華そばの場合はもっちり感が印象的な食感でした。ただし一般的な日本蕎麦よりは遥かに主張が強いです。

スープは「甘めのそばの出汁」だと思ってください。そこの魚粉や天かすが入っているのでスープはかなり甘く感じますし、ラー油もテラテラと浮いています。「ジャンクに振り切った出汁」といえば伝わるでしょうか?

そしてこれがなぜかウマい! なぜかというと失礼かもしれませんが、とにかく中毒性がハンパないんです。日本蕎麦のような上品さは1ミリもありませんが、いま思い出してもヨダレが出てくるような謎の中毒性がありました。

またどのあたりが “中華” なのかは最後までわかりませんでしたが、チャーシューなどの具材が入っているので良しとしましょう。ただ食べ終える頃にはそんなことがどうでもよくなるほど、満足度の高い一杯でした。

先ほども申し上げた通り、日本蕎麦愛好家の方が召し上がったら「ふざけんな!」とブチギレる可能性も少なくないハズ。ただ実際のところ妙にウマいんです。少なくともジャンク好きな方には自信を持って「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」の『中華そば』をオススメしたいと思います。

参考リンク:なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.