日本で最も有名な昔話といえば、ご存じ「桃太郎」である。桃から生まれた桃太郎が鬼ヶ島へ鬼退治をしに行く話だが、もっとも有名な一小節が「おじいいさんは山へしばかりに」のくだりであろう。
娘が生まれてから幾度となく「桃太郎」を読み聞かせ、現在では逆に娘が桃太郎を読んでくれるが、娘からの一言で私(サンジュン)はハッとしてしまった。ところで「しばかり」って何なの? 漢字だと「芝刈り」だよね……?
・しばかり?
桃太郎の出だしでおじいいさんは山へ「しばかり」に、おばあさんは川へ「洗濯」へ出かける。洗濯はもちろんわかるのだが、よくよく考えたら「しばかり」とは何のことなのだろう?
生れてからの45年間、私の脳内で「しばかり」は「芝刈り」へと変換されており、要約すると「芝刈り = 雑草取り」というイメージを持っていた。つまり、おじいさんは山にある畑の世話をしに出掛けたのだと。ところが……。
娘から「なんで芝を刈るの?」「雑草のことを芝って呼ぶの?」と質問攻めにあった結果、ネットに助けを求めることに。するとそこには私の想像していなかった「真実のしばかり」が存在したのだ。
・芝刈りではなく…
同志社女子大学の日本語日本文学科特任教授・吉海直人氏によると「しばかり」は「柴刈り」であり「芝刈り」ではないという。柴とは雑木の小枝を意味する言葉で、柴刈りは「落ちている枯れ枝を拾い集めること」とのことである。
マジかよ……! 45年も「芝刈り」だと思ってた俺、超恥ずかしい!! あぶねえ、娘にウソを教えるところだったぜ! ただみんなも「しばかり」は「芝刈り」だと思ってたよね? 絶対にそうだよね?
・抜き打ちテスト
というわけで、当サイトのメンバーたちに抜き打ちテストを実施することに。おじいさんが山へ「しばかり」にって、具体的に何をしてるのかわかってますかーーーー!
佐藤 ◎「しばかりは小枝とか、いろりで燃やすものを集めに行くことだろ? 俺は紙芝居を通じて絵でも覚えてるからそんなもんはあたり前よ。ナメるな若造」
Yoshio 〇「ええと、枝とかを集めること? でも漢字は芝刈りだと思ってた! 結果オーライでしょ!!」
あひるねこ 〇「うーーーん、いざ言われると難しいですねぇ。でもおじいさんは何か背負ってるから木を集めてるんじゃないですか? 芝だとは思わなかったですね」
原田 〇「なんでしょう……? しば……。でも木ですかね? おじいさんが背中になにか背負ってるイメージがあるんですよね。正直、柴の字は全然知りませんでした」
和才 △「しばかり……。なんか竹藪が出て来たけどかぐや姫とゴッチャになってるんですかね? でも農作業的なことですか? 竹を伐採する的な?」
砂子間 ×「しばかりだけはわからないんですよね。まあでも漢字だったら人工芝の “芝” だと思います。つまりおじいさんは山に芝を刈りに行っていたのでしょう。思ったよりも暇なんですね」
中澤 ×「しばかりがわからないんですか? おじいさんは山に芝生を刈りに行ってるんですよ。今さら何を言ってるんですか」
・正しくは「柴刈り」
即答で「しば」を「小枝」と答えたのは佐藤とYoshioの2名で、特に佐藤パイセンは年長者のプライドを見せた格好だ。その他にも正解したメンバーはいたが、確信を持って答えてはいなかった。
また砂子間と中澤は清々しいほど迷わず「芝刈り」と回答していたことをお伝えしておく。知らなかったことは恥ずかしいことじゃない。そう、今日この瞬間から「柴刈り」だと覚えればそれでいいのさ。
というわけで、桃太郎のおじいさんは「芝刈り」はしていない! おじいさんがしていたのは「柴刈り」である!! 娘よ、父を賢くしてくれてどうもありがとう。
参照元:同志社女子大学
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.