つい先日、エイプリルフールのネタのような衝撃のニュースがギャグ漫画ファンを驚かせた。なんとあの漫☆画太郎先生が、「ガタロー☆マン」という名義で本気で子ども向けの笑本(えほん)を刊行するというのだ。いや……さすがに嘘だろ。

と思ったら2020年12月14日、ホントに発売されていたから さあ大変! そこでさっそく購入して、生後3カ月になる私(あひるねこ)の子供、あひるねこジュニアに読み聞かせてみることに。レジェンド・画太郎先生 vs 画太郎ワールド初体験の赤ちゃん、夢の対決が今ここに始まる……!!

・漫☆画太郎が描く絵本

笑本シリーズの第1弾として画太郎先生が選んだ題材が『ももたろう』である(税抜1200円)。一般的には「ばばあ」の絵柄のイメージが強い画太郎先生だが、実は可愛らしい女の子を描いたりすることもあるので、もしかしたら『ももたろう』もそういう路線だったりするのでは? と一瞬思ったものの、届いた笑本は……


やはりいつもの画太郎ワールドだった。


・安定の画太郎節

主要キャラクターが全員よだれと鼻水にまみれている『ももたろう』がかつてあっただろうか。そもそも、この笑本は子供に見せて大丈夫なヤツなのか? 階段から落ちたりトラックにひかれたり、最後に爆発したりしない?

初版限定特典として、『銀魂』の銀さん役で知られる声優・杉田智和さんによる読み聞かせ音声のQRコードが付いてきたのでさっそくアクセス。ぶっちゃけ私には荷が重いと感じたため、ジュニアの画太郎初体験はプロに任せてみようと思う。



こうして、画太郎先生による空前絶後の『ももたろう』ワールドがついに幕を開けた。とはいえ、出だしはよくある普通の『ももたろう』だ。ジュニアよ、これから『ももたろう』が始まるぞ! ところが……



むかし むかし あるところに

おじいさんと おばあさんが すんで い……


ました!!!


やはりいつもの画太郎ワールドだった。


・知ってた

おじいさんとおばあさんというより、これではどちらかというと「じじい」と「ばばあ」である。しかも怒涛の見開き。フルカラー絵本サイズで見る画太郎先生の見開き絵の迫力は異常だが、ここでふとジュニアの方に目をやると……


まさかの無表情ガン見!


泣くでもなく笑うでもなく、限りなく “無” に近い表情で画太郎イラストを見つめているではないか。え、どういう感情? そんなフラットな顔で画太郎作品に触れることってある? 最近は絵本を見ながら笑顔を浮かべたりもするのだが、今のジュニアからは喜怒哀楽の一切が読み取れない。やはりまだ早かったのだろうか?



・ジュニア vs 画太郎

ここから先はネタバレになるため(『ももたろう』にネタバレもクソもないとは思うが)詳しい内容についてはお伝えできないが、おそらく今後の展開は、帯に書かれたスチャダラパーBoseさんの推薦文にある……


「音楽で言うところの『ループ』
お笑いで言うなら『天丼』
繰り返されるパターンが生み出すグルーヴ」


というフレーズからも容易に想像できるはず。よって以降は、イメージ画像とジュニアの表情を交互に見せていくことで、現場の異様な空気を感じ取っていただきたい。それでは次ページ。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行き……


ました!!!


中から元気な赤ん坊が出てき……


ました!!!


桃太郎は猿にきびだんごをあげ……


ました!!!


仲間と力を合わせて鬼をやっつけ……


ました!!!


そして最終的に……


まさかの就寝である。


・嘘やろ

杉田さんによる様々なパターンの「ました!!!」が心地よかったのか、初めて見たド迫力の画太郎イラストを前にスヤスヤ寝落ちするという前代未聞のリアクションを繰り出したジュニア。私が子供だったらたぶん爆笑していると思うのだが……もしかしたらこの乳飲み子、大器かもしれぬ。

ちなみに大の画太郎ファンである妻によれば、この作品は「いつもの狂った画太郎ワールドを維持しつつ、それでいて子供にも寄り添っていて素晴らしいと思う」とのこと。たしかにヌルさ皆無で100%ヤバイけど、子供には見せられない系の作品にはなっていない気がする。

さらに言うと、1ページ1ページの描き込みが本当に凄まじく、画集として機能しそうなほどのクオリティーという印象を持った。子供だけでなく、大人の画太郎ファンもマストでチェックすべき作品ではなかろうか。



・何年かしたら会おう

ただ、やはり赤ちゃんにはちょっと早かったようである。どうやら英才教育が過ぎたらしいな。この面白さが分かるのは、おそらくあと何年か先のことになるだろう。なのでそれまで この『ももたろう』には、本棚の中でジュニアの成長を見守ってもらおうと思う。

参考リンク:誠文堂新光社
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.