デュッセルドルフ……気合いを入れて発音しないと、けっこう言いづらい地名だ。 “聞いたことあるけど、どこにあるのかはよく分かんない都市” としても知られる。
デュッセルドルフ……いつか来ることになるとはあまり思っていなかったが、なぜ私はここへ来たんだっけ? あ、そうだ。ケルン大聖堂へ行ったんで、ついでにデュッセルドルフにも寄っとこか、ってなったんだ。近いから。
そんなドイツのデュッセルドルフに、なんとヨーロッパ最大規模の日本人街があるらしい。全く予想してなかったが、ノープランだったのでありがたい。
・インマーマン通りへ
デュッセルドルフの日本人街は『インマーマン通り』を中心としたエリア。
あまりにも閑静すぎるため、通過しただけで日本人街と気づく人はあまり多くないかもしれない。以前パリで日本人街と呼ばれるエリアを訪れたことがあるが、店舗や通行人の数のみで比較すると、ここの10倍くらいはありそうな規模感だった。
ただし、日本食材店をのぞいてみると……
圧巻の品揃えである!
現在ドイツに在住する日本人約4万人のうち、5分の1ほどがここデュッセルドルフに住んでいるらしい。あくまで予想ではあるが、 “日本好きの外国人” より “本物の日本人” が多いパターンの日本人街かもしれない。
・これは住める
他にも日本語の書籍、日本製の生活用品店、日本産の生野菜、干物にお弁当などなど、日本人が生活していくうえで欠かせないものがインマーマン通りでひと通り揃う。オタクの店もあるぞ。
ちなみに長ネギが2本で5.5ユーロ(約868円)、カルビーのポテトチップスが1袋4ユーロ(約632円)。
入手困難な日本風の菓子パンが買えるのも嬉しい。お金さえあれば何不自由なく住める街である。
・ラーメン食べたい!
さて。そんな超日本的空間において、ひときわ賑わっていたのはラーメン屋だ。インマーマン通り周辺には数軒のラーメン屋があって、お昼前だというのにどこも大繁盛していた。激戦区と呼んでも過言ではないだろう。
この日私が入店したのは『麺処 匠』というお店。
テラス席も含めてほぼ満席状態である。
一番安い『醤油ラーメン』なら10.8ユーロ(約1705円)となかなかリーズナブル。世界各地のラーメン屋を訪れてきた身の上として、このメニューから感じるのはただひとつ「バックに日本人がいる」ということ。
外国人が経営する “日本風ラーメン屋” の場合、隠し切れないモグリ感がどこかしらから滲み出てしまうもの。それが『麺処 匠』は日本語の文法からフォント、センス、配色に至るまで完璧な純和風である。たぶん日本人が経営しているんだろう。
こちらが『味玉ラーメン』12.6ユーロ(約1989円)。
こっちは味噌ラーメン。
……うん。いい意味で “サービスエリアで食べるようなラーメン” だ。極限までクセを排除し、万人ウケに全振りした味付け。日本人も、外国人も、子供もお年寄りも誰もが安心して食べられる。これであと1カ月は日本食なしで生きられる気がする。
先ほど「バックに日本人がいそう」と書いたが、そもそも『匠』の店員さんは全員日本人。思い切って「バックに日本人がいますよね?」と聞いてみたところ……やはり。『匠』はもともと日本の企業で、ドイツ国内に数店舗を構えるフランチャイズらしい。
従業員さんは留学生などがメイン。私が話を聞いた方は「とにかくドイツに住みたくて、ドイツに住める仕事を探した」結果、『匠』に行き着いた……とのことだった。なるほど。現地の日本企業に就職して就労ビザを得るパターンか。
海外に住みたい人が増加している昨今。ツテもコネも語学力もない場合など、各国の日本人街周辺に職を求める作戦は結構アリかもしれない……と感じたデュッセルドルフの昼下がりであった。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.