キャンプや登山など、趣味のアウトドアを満喫するための便利アイテム、それがバックパックだ。両手が空く機動力に加え、行動範囲が縛られない。これ1つ背負えばどこへでも行ける。

しかし巷で見かけるバックパックはどれも形状が似ている。シェラカップやライトなどのギアを付けるために表面に大量のモール(ストラップ)があしらわれた縦長のデザインが一般的。

……まぁ利便性を考えれば当然なのだが、個人的にはもう少しデザインに個性が欲しいところ。

・求めるデザイン

アウドドア用のバックパックとはいえ、欲を言えば普段使いもできそうなデザインが望ましい。例えるなら、山にも町中にも溶け込めるスナフキンが背負っているような旅人のリュックが理想である。

それでいて耐久性があり、最低でも1泊分、およそ30Lは入るデザインとなると


まぁーーー無い。見つからない。


そこで、最高のバックパックと出会うために、鎌倉にある玄人キャンパー御用達の「UPI」まで足を運んだ。

・UPIについて

「UPI」は北米を中心とした海外のアウトドア製品を扱う正規代理店である。

自然の中であたたかく生きる人々とともに歩むアウトドアライフブランドを経営理念に掲げ、流通の少ないナイフや、トナカイの毛皮など、その辺のショッピングモールではお目にかかれないアウトドアグッズを取り揃えている。



私的に1番嬉しいのは、UPIのスタッフさんはアウトドアにとても詳しいということ。仕方なくキャンプ売り場に配属されたスタッフさんではない。ソロで山を登りブッシュクラフトまでできる筋金入りのキャンパーさんに色々相談できるのが有り難い。

・一目惚れのバックパック

入店すると、そんなベテランキャンパーのスタッフさんが気さくに声をかけてくれる。

「何かお探しのものはありますか?」
「えっと……バックパックを……」

と、言いながら店内の壁に目が留まる。壁に飾ってあったリュックが私を釘付けにした。


「スナフキンや」


それは紛れもなく、探し求めていた旅人のリュックである。オイル処理されたキャンバス地革製のベルトが2本取り付けてあり、上部がパカっと開くタイプ。500mlのペットボトルをすっぽりと飲み込めるサイドポケットもある。これ以上ないスナフキン具合である。

早速、背負わせてもらった。


「欲しい……」


ツボを見事に押さえた完璧なデザインのこちらは、ヘラジカのシンボルマークが印象的なアメリカ最古のレザーバックブランド「DULUTH PACK(ダルースパック)」のワンダラーという型だと教えてもらった。お値段3万8500円。

この味のあるキャンバス地に、オイルランタンなんかぶら下げて、群衆の視線を釘付けにしたい。そう思った次の瞬間、気づいたらお会計が終わっていた。

・商品が届いた

約1週間後、UPIから荷物が届いた。

わくわくしながら開封すると、私のワンダラーちゃんが現れた。

オリーブ、ネイビー、カーキ、ブラック、ブラウン、バーガンディ(暗めの赤紫)、モッシーオーク(迷彩)があったが、スナフキンカラーのオリーブにした。

ワンダラーに即決した理由は一目惚れに他ならないのだが、バッグの細部に至るまで全て職人さんが手作業で作っているというこだわりにも強く惹かれた。全てのバックパックに職人さんのサインも入っている。

しかも驚くことに、未だに1882年創業当時の職人が作ったバックパックが修理に持ち込まれることがあるらしい。とにかく丈夫な皮革と、使い込むほど味の出そうなキャンバス地が素晴らしい。

主人が持っているイギリスのアウトドアブランド「Karrimor」と比較してみても、横広なデザインは少し柔らかい印象があって可愛らしい。普段使いできそうなところも◎である。

正直、機能性重視のバックパックと比べてみると、革の手入れオイル管理などの手間はかかるものの、その分愛着が増すというか……

時間の経過によって出てくる味も皮革ならではの魅力である。これからの時期、冬キャンプでも活躍するのがとても楽しみだ。


参考リンク:UPI公式HP、Instagram @upikamakura
執筆:こいずみゆか
Photo:RocketNews24.