空高く馬肥ゆる秋。涼しくなった風に誘われて散歩していたところ、北京ダック専門店という文字が目に飛び込んできた。上野の駅前の交差点にあるこの店。目立っているため以前から存在は知っていたが入ったことはない。
では、なぜ今気になったかと言うと行列が出来ていたから。しかも、並んでいる客はほぼ中国人っぽいのだ。中国人が行列を作る中華料理屋。気になりだすと凄く気になってくる存在である。本場の味なのだろうか? そこで店外のメニューを見てみたところ……な、なにィーーーー!?
・セットの相方が北京ダック
上野の中華料理屋と言うと、油汚れが染みついたオーラある店構えをイメージする人が多いかもしれない。が、この店の外観はカジュアルだ。壁一面がガラス張りで明るい感じはどことなくフードコートみたいな入りやすさすら漂っている。
入口付近にあるメニューポスターや看板を見るとセットもあるようだ。11時から16時のランチセットは1000円台前半で、エビチャーハンや担々麺と北京ダックがセット。普通は餃子なところに北京ダックが入るのは、さすが北京ダック専門店と名乗っているだけあるだろう。
・匂い立つ本場オーラ
しかし、思ったより高くない。北京ダックは高級というイメージがあるため北京ダック専門店の名前にビビっていたが、価格帯的には王将に毛が生えた程度だ。
むしろ、カジュアルな気が利きすぎていて本場感を感じないまである。この店はどっちだろうな? そう思いながらメニュー看板を1つ1つ眺めていたところ、あるメニューに衝撃を受けずにはいられなかった。看板にはこう書かれていたのである……
『タイムサビースお試しコース』と!
匂い立つ猛烈な本場オーラ。スカウターが爆発しそうである。いや、むしろ爆発した。「タイムサビースお試しコース」は2名からの注文なので、近所に住んでいる友人を呼んで速攻で入店。店内メニューも「タイムサビースお試しコース」になっている。
・店員さんの証言
こんなの注文するしかないだろ。ちなみに、8品にデザートがついて1人税込1980円。1皿に2人分の量が乗って出てきて、小皿に取り分けて食べるスタイルのコース料理であるようだ。
店員さんに話を聞いてみたところ、「タイムサビースお試しコース」は特に時間の制限はなく1日中やってるコースなのだとか。ヒャッホー! タイムサビースが1日中やってるなんて最高だぜ!!
・味に感じたこと
もはや「タイムサビースお試しコース」はタイムサービスではなかったことはさて置き、言うまでもなく店員さんは中国人であった。ゆえに、料理の味も日本のコクとは種類の違う旨みがある。チャーハンもパラッパラ。
それにしても食べやすい。ガチの民族料理にはちょっとキツさを覚える私だが、そういった尖りは感じられないのである。例えるなら、松屋のカレーみたいな種類のウマさがあるのだ。
それは北京ダックにしても同じで、年末の忘年会で超高級中華に行った時に食べた北京ダックほどの「カリカリじゅわ~」なガチの濃さはないが、軽く食べられてちゃんとウマかった。高級中華でもなく家庭中華料理でもない。だからってなんちゃって感もない。こういう中華料理を初めて食べた。
・チェーン的な幅広さ
店員さんいわく、中国のチェーン店とのことなので、中国流のチェーン店的な幅広い味がこれなのかもしれない。そんなお店の名前は『北京烤鴨店(ペキンカォヤーテン)』。
上野以外にも、銀座、横浜中華街にあって、グループ店も含めると赤坂、有楽町、渋谷、池袋、新宿など、日本に13店舗あるそうだ。気になる方は行ってみてくれ。
・今回紹介した店舗の情報
店名 北京烤鴨店(ペキンカォヤーテン)上野店
住所 東京都台東区上野公園1-57 UENO3153 1F
営業時間 11:00~23:00 L.O. 22:30
定休日 無休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.