秋の味覚と言えば栗だが、あなたは栗を皮がついた生の状態から調理したことがあるだろうか?

栗の皮剥きは一言で言って苦行。ネットには「簡単に栗の皮が剥ける方法」の情報がたくさんある。

この企画はそれらを試してみて、栗の皮がもっとも簡単に剥ける方法を決めるというマゾ企画である。

前編では道具を使わない方法を試して地獄を見たが、今回は栗剥き器などの道具を使った後編である。

・栗の皮剥きは道具で楽になるのか?

詳しくは前編を読んでほしいのだが、栗の皮剥きは予想の10倍くらい辛い。丁寧な暮らしの中にある闇であり、調理ではなく懲罰である可能性すらある。外側の硬い鬼皮と内側の渋皮があるのだが、国産の和栗は内側にある渋皮が非常に剥きづらいのだ。

前編では専用器具などを使わない3種の方法で皮剥きを行ったところ、鬼皮まではスルッと剥けるが、渋皮で大苦戦した。そして今回は、栗の皮剥き器などの道具を使った方法でリベンジである。


・ルール

個体差を考慮し和栗をランダムで5個選び、渋皮まで完全に剥けるまでのタイムを測る。

・鬼皮が剥けるまでの中間タイム
・渋皮まで剥きおわった最終タイム
・剥き終わった栗の見た目

によって、栗の皮剥きのしやすさを競う。なお、チャレンジャーの御花畑は非常に不器用である。



①ダイソーの栗ピーラー

みんな大好き100円均一、ダイソーの便利グッズ。栗剥きなんて年に1度するかしないか……ということを考えると100円で済ませたいところである。これが使えたら万々歳なのだが……。特殊な形状のナイフだが大した説明もなく謎の多いグッズ。


・鬼皮
特に何も書かれてなかったので生栗の状態で、裏の説明書のとおり栗の筋目から鬼皮に切れ込みを入れようとするが……刃が鋭利ではないため、なかなか刺さらない。

普通だったらこの時点でゴミ箱行きだが、検証なので意地で皮を剥いた。栗を寝かせて、並行に刃を入れるとなんとか刺さったのでそこから皮を剥いていったが、めちゃくちゃ時間がかかった。


・中間タイム……12分


ありえないぐらい時間がかかった。素手でやるよりはマシ……というレベルか。玄人向きの製品という感じがする。


・渋皮
これで渋皮が剥けるとは思えないのだが……。いったん、栗をお湯につけて渋皮をふやかしてから渋皮取りにチャレンジすることにした。時間はかかるのだが、渋皮を剥くというよりはこそげ取る形で使えることが判明。

刃物が鋭利ではないのが功を奏して、あまり実を削ることなく渋皮が取れた。ただし、信じられないくらい時間がかかる。


・最終タイム……45分

スローライフここに極まれり……というくらい時間がかかった。全く勧めないが、剥き終わった栗は栗の形を綺麗に残しており、かなり綺麗である。とにかく時間が余ってしょうがない人向け。


※追記
後日、一晩冷凍したあとに茹でた栗をこの栗ピーラーで剥いてみたところ、なんと渋皮も一緒に綺麗に剥けた。

渋皮の剥きやすさには個体差があったが、実を傷つけずに剥けたので、使い方によってはイケる一品かも。

ポイントは栗の尖ったところから刃の尖った部分を差し込んで、下に向けて剥いていくこと。



②SUWADAの栗くり坊主Ⅱ

栗の皮剥き器として有名なロングセラー商品。刃物で有名な新潟県の三条市にある諏訪田製作所が作っている。なんとりんごの皮剥きのように栗の皮が剥けるというウリ文句。

定価は3190円だが、ネットやスーパーだと2000円くらいで売っている。


・鬼皮
ニッパーのような形の栗剥き器に、栗を挟んで刃物を動かしていくと……。

なんと鬼皮と渋皮ごと皮が剥けていく! 

ギザ刃を栗に食い込ませて、切刃で皮を剥いていく……という操作になれるまで時間がかかるが、2〜3個剥くと使い方に慣れた。まさにりんごの皮剥きのような状態に……。茹でて柔らかくした栗じゃなくて、生栗でも皮が剥けるのでビックリした。ただし、実も一緒に削れるので力加減に注意。


・渋皮
残った渋皮も、ハサミでカットするような感覚で剥ける。

包丁を使うよりずっと安全だ。これはすごい……。今までの苦労はいったい何だったのか。


・最終タイム……24分

使い方に慣れるまで少し時間がかかったが、途中からはスイスイ栗の皮が剥けた衝撃的な一品。これは2000円出す価値はある……。今までの苦行を思えば、安いものである。栗仕事を毎年するなら絶対買ったほうがいい。ちなみに里芋の皮なども剥けるとのこと。



③Twitterで見かけたライフハック

この企画を行っている最中にTwitter(X)で流れてきた栗が渋皮ごと剥けるというライフハック。生栗に横一直線に包丁を入れて、砂糖と油をかけたあと、栗がひたひたにかぶるぐらいの水で煮ると、パカーンと鬼皮と渋皮が剥ける……というもの。

動画の感じを見ると、渋皮が剥けやすい西洋栗か中国栗に見えたが……。国産の和栗でもイケるのだろうか?


・鬼皮
まず、栗が煮えるのに時間がかかる。煮えたあとも、動画のように栗がパカーンと開くことはない……。

油を入れているため栗がかなり高温になっており、栗を取り出して剥く作業が大変だった。布巾の上に栗を置いて、栗を剥こうとするが……綺麗に剥けない。


・最終タイム……計測不能

砂糖と油を入れるので、甘栗として食べたい人向けかもしれない。和栗はとにかく渋皮が剥がれづらいので、このライフハックはあんまり有効じゃない気がした。


・ひたすら栗の皮を剥いてわかったポイント

まとめの前に……とにかく栗を剥きまくって、剥きやすさ以外にも気づいたポイントがあるので、箇条書きで書いておこうと思う。


・栗は鮮度が大事。新しいもののほうが皮がしっとり柔らかくて剥きやすい

・栗は乾燥に弱い。買ってきたら袋に入れてすぐに冷蔵庫に保管すること

・水に入れて浮いた栗は虫食いの可能性が高いので容赦なく捨てる

・茹でた栗は、熱いうちに剥かないとどんどん剥きづらくなる。1個ずつお湯から取り出して作業したほうがいい

・渋皮を剥く前もお湯につけたほうがいい

・国産の栗は渋皮が剥きづらい。「ぽろたん」など、品種改良で皮が剥きやすくなったものを買うのも手

・ぶっちゃけ、皮が剥いてある栗を買ってきたほうがいいと思う

これではもう栗の皮剥きなんかするなと言ってるようなものだが、いろいろ試した結果、これがいいという結論を伝えさせていただきたい……。



・最終結論

まず、大前提として、ネットのライフハックは、栗の品種などによる部分も大きくアタリハズレがあることがわかった。


栗の皮剥きはSUWADAの「栗くり坊主Ⅱ 」が最強!!!!


とにかく栗の皮剥きは面倒なので、イチかバチかのライフハックの可能性にかけるくらいなら、生栗でも皮がガシガシ剥ける「栗くり坊主Ⅱ」をアマゾンで注文して翌日使ったほうが絶対いい。

というか栗の皮剥き器に2000円出したくないなら、栗の惣菜やスイーツをおとなしく買ったほうがいい。いろいろ試した結果、そういう結論になった。

まあ、栗くり坊主でなくても、似たような「ギザ刃+切り刃のニッパーのような栗剥き器」なら、皮は剥きやすいんじゃないかと思います。では、手が痛いのでこのへんで。

栗仕事に疲れたので、私はドトールのモンブランでも食べに行ってきますね……。


参考リンク:SUWADA
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.