
たまたま目に入った看板のお店に、フラリと誘われるように入る。そんな経験は誰にでもあることだと思う。しかしながら、看板だけを頼りにして良いものか? ハズレのお店だったらどうしよう、そんな不安は常につきまとう。
その不安をかなぐり捨てて入ってやった。東京・上野駅の浅草口から徒歩すぐのお店に。そこは「安老爺炭火蛙鍋(アンロウイエタンフオワグォ)」と書かれている。どうやら中華料理のお店らしい。
店名の読み方すらわからず、どうやら「蛙」の鍋を出しているらしい。そんなお店に入って大丈夫か? 不安を抱えたまま利用してみたら、極上の肉丼を食べることができた。
・蛙鍋の店で
その日は上野にいた。昼飯を食べようと思い、界隈をウロウロしてみたものの、ここというお店が決まらずに、もう上野を離れようとしていたところで、その看板が目に入った。「ピナクルプロパティーズ上野駅前ビル」という、声に出して読むのが難しいビル。その3階に目を引く看板があった。
「炭火蛙鍋」と読むのか? おそらくその文字から察するに中華料理のお店と思われるのだが……。
こういう飲食店のイラスト、よくあるよね。食材のはずが嬉しそうな笑顔を見せているヤツ。食べられる側なのに、グッドサイン(サムズアップ)してる場合じゃないだろ。
どうやらランチがあるらしい。ここにしてみるか、どんな店かわからないけど。この期待と不安が半々な感じは嫌いじゃない。むしろ好きな緊張感である。
さて、3階まで上がってきました。これ営業中だよね。営業時間内なので間違いなく開いてると思うんだけど、この最初の1歩が緊張するんだよな。ええ~い、入ってしまえ。
ということで入店。鍋料理をうかがわせる看板が出ているだけあって、席はすべてボックスでテーブルの中央にへこみがあり、そこに大きな鍋が収まる形になっている。
メニューを見ると、その鍋というのがごっつい代物であることがわかった。最大4段まで積み上がるとてつもない鍋料理だ。
これは湖南・四川料理で、蛙とは食用ガエル(田鶏・チエンジー)のことを指す。鍋の実物を見てみたい気持ちはあったが、到底1人で食べ切れるとは思えない。このほかにも鉄板式の肉や魚の料理もあった。これまた1人で無理そうだなあ。
さらにさらに串焼きも種類豊富。
まだあるぞ、餃子・パン・麺などに加えて前菜も充実。表の看板からは想像もつかないほどメニューの品数の多い店だった。
ランチメニューはおひとり様の私でも十分対応できる分量のものだった。これなら食い切れる。それにしてもラインナップが実にニクニクしい。こりゃもしかして、当たりの店を引き当てたんじゃないのか?
見るからに牛肉は入っていなさそうだ。鶏と豚がメインなのではないだろうか。チャーシューとか豚スペアリブとか鴨とか書いてあるからな。
私(佐藤)は1番のお店の看板メニューとやらの「三宝丼定食」(税別1480円)をお願いした。
・ニクニクしい三宝丼
しばらくして提供されたトレイには、丼ぶりとスープしか乗っていない。サラダもついてなかったっけ? と思ったら、サラダはセルフだった。千切りキャベツに干し豆腐の和え物、それからえびせん。さらにはハチノス(旨辛ハチノス)まである。サラダバーに肉類があるのはちょっと嬉しいな。
ではさっそく頂くとしましょう。ノリで入ったこの店の定食は当たりと言って差し支えないだろう。
まずはスープ、きっとアツアツのはず。警戒しつつれんげですすると……適温! どうやら私は蛙鍋のイメージから、警戒心を強く持ちすぎていたようだ。このお店は怖い店ではない、もう警戒心を解いて食事するとしよう。
辛いことも想定していたが辛くなく、酸味が強くてサッパリとしている。
続いて先ほど取ってきたサラダ。干し豆腐の和え物は大好きなので、それだけでもテンション上がる。
ハチノスはプリプリとしていて歯ざわりがよく、ほのかな辛味がアクセントになって良い。ビールのツマミにもいけそうだ。
そしてメインの三宝丼。ゆで卵・青梗菜・厚揚げが付け合わせ。
3つの宝のうちの1つ、まずは「焼き鴨」。いわゆるローストダックである。肉質はしっかりとしていて味は鶏よりも淡泊。鶏よりも脂が少なく、パサついた印象は受けるが、丼ぶり全体にかかったタレとの相性はバツグン。
続いてこれは「蜜汁叉焼」。はちみつや水飴をたっぷり塗ってあぶり焼きにした広東式のチャーシューである。カリカリの食感と、豚そのものの肉の甘さが魅力。
そして最後に「蒸し鶏」。先の2つの肉が焼きであったのに対して、鶏肉は唯一の蒸し。したがって、肉質はこれが1番柔らかく、2つの後に食べるとそれが一層際立つ。味もさっぱりとしていて、鴨・豚の合間に食べることで、それぞれの味を引き立てるのに一役買っている。これもまた骨があって、少しばかり食いづらいのが玉に瑕。
器がデカくてかなり量があることを予想していたら、やっぱり量が多かった。とはいえ、たっぷりの肉は食い甲斐があり、時折訪れる「めっちゃ肉食いてえ」欲は存分に満たされたのだった。
そんなわけで、蛙鍋の看板につられて恐る恐る入ったお店には、三宝丼なる至福の丼ぶりが待ち構えていた。皆さんも看板に誘われるようにお店に入ってみてほしい。意外な出会いがあるかもしれないぞ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 安老爺炭火蛙鍋(アンロウイエタンフオワグォ)
住所 東京都台東区上野7丁目3-2 3階
時間 11:30~23:30
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
佐藤英典




















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