2023年、秋──。まだまだ暑さが続く日本列島で、一大戦争が繰り広げられていることにお気付きだろうか? そう、バーガーショップ各社がこぞって展開する「月見戦争」である。

マクドナルドロッテリアウェンディーズ、そしてコメダ珈琲。各社がご自慢の月見メニューを発表する中、なぜか牛丼屋の「すき家」も月見戦争に参戦! 牛丼屋が月見とは……まさか?

・静かな立ち上がり

2023年9月12日、全国のすき家で『月見すき焼き牛丼(650円)』の販売が開始となった。マクドナルドの月見バーガーの発売日は「月見」がX(旧Twitter)でトレンド入りしていたが、残念ながら『月見すき焼き牛丼』は静かな立ち上がりとなってしまった。

理由はシンプルに「完成形がイメージしづらい」というものであろう。乱暴に言えばタマゴさえ入っていれば「月見バーガー」が成立してしまう一方で「月見牛丼」は「なんだそれ?」と正体が掴みづらいのではなかろうか?

一方で、元々「牛丼」と「生卵」は長年のタッグパートナーである。日本中、どこの牛丼屋を探して、生卵を扱っていない店舗はないハズ。そこに「紅ショウガ」を加えれば “牛丼黄金トリオ” の完成だ。

・大丈夫よね?

まさかとは思うが、すき家よ──。すき焼き牛丼とやらに生卵をのっけて『月見すき焼き牛丼』とか抜かすつもりじゃあるまいな? というか、それは「すき焼き牛丼と生卵」だぞ? わざわざ月見を名乗るまでもないんだぞ?

……が、すき家を運営するゼンショーホールディングスは日本有数の大手外食チェーン企業である。そんな小細工で月見戦争に殴り込みをかけるほど安易ではあるまい。というわけで、その正体を確かめるべく『月見すき焼き牛丼』を食べに行くことにした。



そして到着した『月見すき焼き牛丼』はというと……


すき焼き牛丼に……


自ら卵をのせて完成……!


つまり、すき焼き牛丼と生卵……!!


すき焼き牛丼と生卵……!!


すき焼き牛丼と生卵でしかない……!!


月見といえば間違いなく月見ではあるものの、牛丼に生卵をのせた丼を月見と判定していいものなのか? 破れかぶれな気がしなくもないが、ここはゼンショーホールディングスなりの茶目っ気、もしくは大胆さと解釈することにしよう。

お味の方は普通に間違いなし! だって基本は牛丼と生卵ですから。美味しくてあたり前ですから。というか、いつものヤツですから。そういう意味ではハンバーガーよりも “約束されし味” なのかもしれない。



・お味はヨロシ

また「すき焼き」に当たる甘めの割り下と白菜のシャキシャキした歯応えはなかなか好印象。すき家の「単なる牛丼と生卵とは言わせない……!」という気概が白菜に込められているような気がした。大変おいしゅうございます。

なお、すき家の発表によると『月見すき焼き牛丼』は昨年に引き続き2年目の登場とのことである。去年も月見戦争が激しかったからなぁ……すき家よ、気付いてやれなくてすまぬ。

まとめると、完全に月見ブームに乗っかっている感は否めないものの、すき家の『月見すき焼き牛丼』は完成度の高い丼であった。それはそう、牛丼と生卵の相性は抜群なんだから。ある意味で外しようのないメニューなので、興味がある方はぜひすき家へどうぞ。

参考リンク:すき家公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.