近頃、都心部を中心にもんじゃ焼きの専門店が増えている。正直私(佐藤)、もんじゃにそこまで関心が持てない。というのは、地元(島根)の食文化にもんじゃがなかったからだ。

お店が増えているということは、何か理由があるに違いない。ということで、月島発祥のもんじゃ専門店「もへじ」の渋谷スクランブルスクエア店に行ってみた。このお店はもんじゃにフレンチの要素を取り入れているそうなのだが、その味やいかに!?

・フレンチを取り入れたもんじゃ

お店の運営元は加納コーポレーション株式会社だ。同社は、築地で古くから続く水産仲卸「尾粂(おくめ)商店」の5代目が創業した企業である。外食・小売・卸売・製造など飲食にまつわる事業を展開しており、2015年には月島にもへじ本店をオープン。現在は別ブランドを含めて、全国に30店舗以上を展開するに至っている。

スクランブルスクエアの店舗は「もんじゃ × 革新」をテーマに、斬新なメニューを提供しているそうだ。ここは普段から行列の絶えない人気店だ。今日は幸い、入店待ちのお客さんの姿がなくスムーズに入ることができた。


スクランブルスクエアの公式サイトの店舗紹介にはこうある。

「日本橋魚市場より150年続く老舗魚問屋直営。月島で行列が出来る「月島もんじゃ もへじ」が、フレンチを取り入れた、今までにないもんじゃの世界を渋谷から発信


なるほど、日本の食文化とフレンチが融合して新しいもんじゃを作り出しているんだな。こりゃ食べるのが楽しみだ!


メニューを見ると、季節のおすすめに「アヒージョ」や「カルパッチョ」がある。アヒージョ(スパニッシュ)もカルパッチョ(イタリアン)もフレンチではないけど、要するに洋食の要素を取り込んでいるわけだな


お好み焼きや焼きそばもある。季節限定で「牡蠣おこ」もあるぞ。


そしてメインのもんじゃメニューがこちら、「伝統」と「革新」の2種類に分かれており、伝統には「明太子ともち」や「深川」などがある。ちなみに「素もんじゃ」を頼んで、自分好みにトッピングをアレンジすることもできるぞ。


で、革新の方は「クラムチャウダー」や「酸辣湯(サンラータン)」「リゾット」「ジェノベーゼ」「ペスカトーレ」など、さまざまな国の料理の要素が取り込まれている。なるほど、たしかに革新的だ。洋食ともんじゃがどう融合したのか気になるところ

今回は思い切って1番高い「オマール海老のビスクもんじゃ」(税込4400円)を頼んでみた。どんなのが出てくるかな?


・強いていえばあたたかいクリーム

各テーブルに鉄板が据えられている。席についた段階ですでに加熱状態だったので、すぐにでも食べることができそうだな。


少しして出てきた! これがオマールもんじゃか!! 結構量が多いように見えるけど、ひょっとして1人で食べるものじゃなかったかも……。


てっぺんに鎮座するのはオマール海老。美味そうやないの~! このまま鉄板に投下して、焼きたてを食いたい!


しかし私はもんじゃを自分で焼いたことがない。もんじゃの食べ方に関して、持ち得る知識は「こち亀」程度だ。具材で土手を作って、その中に生地を流す。そのくらいは知っているけど、完全未経験だ。

ありがたいことに、このお店ではスタッフがもんじゃを焼いてくれるとのことだった。助かる~! もんじゃは初心者にとって難易度高いんだよね。焼き方を知らないから興味を持てなかったというのが、本当のところ。

「お焼きします」といって、スタッフは慣れた手つきで瞬く間に食べられる状態まで持っていってくれた


助かったのは助かったんだけど……、オマール海老! 俺のオマール海老はどこに行ったの!! 「もんじゃ」という名の海の藻屑(もくず)と消え去ったか……。


この中に俺のオマールがいるのはたしかだ。待ってろ、今、助けてやる! この小さなコテで!


余談だが、昔から気になっていたんだけど、アツアツのもんじゃをこの小さなコテで食うのって非効率じゃない? ステンレス製だからアツくなるしね……。でも、それが流儀! 郷に入っては郷に従えである。もんじゃは小さなコテで食うべし!


こうして、こそいで食べるんだよね? 鉄板に押し付けて焦がしたりするんでしょ?


フーフーって冷まして口に入れると……。美味しい! お好み焼きと同じ粉ものなのに、全然違うよね。小麦粉と水の比率を変えるだけで、こんなに食感が異なるとは。改めてその違いに驚く。

妙な表現だけど、あたたかいクリームを食べているような気がする。ビスクがベースになっているので、オマール海老の風味が非常に濃い。強いていうなら「海老の旨味がきいたあたたかいクリーム」を食べている感覚だ。


そして俺のオマール無事発見! こんなところにいたのか! 海老の身ももちろん美味し! である。


1人で食うには量が多いかな? と思っていたけど、気づけば完食。少し物足りないくらいの気持ちで食い切っていた。食べ終えたばかりなのに、「次回は何を食べよう」と考えている自分がいる。つまりすでにもんじゃのトリコになってしまったのだった。


・体験そのものが楽しい

今まで食べた機会が少ないがゆえに、もんじゃを食べるのはとても楽しかった。1人で陣取りしてるみたいで、食べ方そのものが面白いね。日本人の私でさえそうだから、外国人観光客にはさらに新鮮な体験に違いない。また今回私は1人だったけど、友達や家族と一緒なら異なる味のもんじゃをシェアして食べることもできる。それはそれでまた楽しいはず。

古くから培われたもんじゃの伝統に、洋食の要素を取り入れることで革新的なメニューに変えている点も素晴らしい。行列のできる人気店になるのも納得である。


ということで、もんじゃを知らない人はもちろん、よく知る人も、革新もんじゃをお試しあれ。食べ慣れたはずのもんじゃに、新たな可能性を感じるかもしれないぞ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 もへじ 渋谷スクランブルスクエア
住所 東京都渋谷区渋谷2丁目24-12 12階
時間 11:00~23:00(L.O:22:00)
定休日 なし(施設に準ずる)

参考リンク:加納コーポレーション株式会社渋谷スクランブルスクエア
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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