国内外に500店舗以上を展開している、とんかつ・カツ丼専門店「かつや」。私の地元、千葉県船橋市にも店舗があるが、お店の前を何百回と通っているものの、なぜか店内に1回も入ったことがなかった。
よくよく考えたら、地元にある飲食チェーン店で入ったことがないのは「かつや」だけだ。なぜなのかは自分でもよく分からないが、せっかくの機会なので、キャッチフレーズにある「全力飯。」を体験してみることにした。
そして初めて訪問するにあたり、当編集部の「かつや者」にアドバイスを受け、万全の体制で挑んだ結果、想像の斜め上の「全力」っぷりに完全に返り討ちに遭うことになろうとは……。
・「かつや者」の助言
初めての「かつや」に入店するにあたり、せっかくなので「かつや公式」が公認している当編集部の通称 ”かつや者” あひるねこ記者に、オススメのメニューや食べ方についてアドバイスをもらおうとコンタクトを取った。
耕平「「かつや者」のあひるねこさんに、”初めてかつやに行くなら、このメニュー!” みたいなアドバイスを頂けたらと思い、連絡しました。もしよろしければ、スタンダードな「カツ丼」でもいいので、食べ方などのこだわりも含めてアドバイスいただけると助かります。」
その質問に対しての回答は、私の質問がいかに愚問だったかを思い知らされる、 ”かつや者” と呼ばれるにふさわしい、グサリと来るものだった。
あひるねこ「「かつや」に初めて行く人にオススメなのが期間限定メニューだ。その際、別に何も考えなくてもいい。正しい食べ方なんていうものも存在しない。ただただ激しい暴風にさらされ、立ち尽くし、押し寄せる濁流に飲み込まれる──。
「かつや」とは何なのかを理解するには、それがもっとも効果的で、かつもっとも手っ取り早いだろう。幸い「かつや」では今、『とんこつチキンカツ丼』という名のラーメンの皮をかぶったカオスが絶賛発売中である。
こんな不幸な幸運にはめったに出会えないので、今すぐ「かつや」に走って返り討ちにあってほしい。すべてはそれからだ。」
── なんとありがたい、師匠からのアドバイス! この回答を見たときに、私が尊敬するブルース・リーの名言が頭をよぎった。その言葉とは……
「Don’t Think. Feel!(考えるな、感じろ!)」
四の五の考えずに、まずは「全力飯」相手に全力でぶつかってこいということだろう。ということで、さっそく地元にある「かつや 京成船橋店」に足を運んだ。
・初めてのかつや
店頭には、師匠(あひるねこ記者)が言っていた「とんこつチキンカツ丼」のポスターが、デカデカと掲げられている。
「初めてのかつや」ということもあり、スタンダードなカツ丼も気になるところだ。
お店に入ってみると、揚げ物好きには魅力的なメニューがズラリ。
どれもこれも頼んでみたい衝動に駆られるが、ここは師匠の言いつけを守るべく、「とんこつチキンカツ丼」のチャーシュー増しを注文する。
・これは……
注文して約10分後、いよいよ期待していた「とんこつチキンカツ丼」のチャーシュー増しが運ばれてくる。
まず、このビジュアルに驚かされた。そして思ったより器が大きくなかったというのが、率直な感想だ。
そして「とんこつチキンカツ丼」のイカれ具合は、あひるねこ記者の記事で重々承知していたが、いざ本物を目の当たりにすると、これを商品開発から始まり重要な会議を経て販売に漕ぎつけた かつや経営陣のカブキっぷりが容易に想像できる。
だって、これどうみても「中華そば」に紅生姜とチキンカツが乗っているだけにしか見えないじゃん。
このチャーシューも、中華そばに使われてそうな感じだし……
このラインナップにチキンカツが入っていること自体、にわかに受け入れられない。
これが、あひるねこ記者が言うところの「ただただ激しい暴風にさらされ、立ち尽くし、押し寄せる濁流に飲み込まれる──。」ということなのか。ともあれ、実食じゃい!
これは……
ハッキリ言おう。これは ”丼” の名を語った「中華そば」にしか思えない。いや、味は好みの味だ。しかしながら、全体の味付けが中華そばなのに紅生姜とチキンカツが、完全に中華そばを再現した丼を思う方向に行きたい感情を完全に邪魔をする。
この汁の量も味も完全に中華そば寄りにもかかわらず……だ。
なにせ、このナルトがビジュアル的にはとどめである。これを中華そばに寄せてないと言うなら、なぜ入れたかを説明してほしいくらいだ。
いや、ここは考えるな。感じろ。師匠の教え通り、ここからは何も考えず、ただ掻き込むのみ。
そして、食べる!
食べる!!!
食べる!!!!!
そして、完食。
で、思った。
「かつや」とは、いったい何なのか……
師匠の助言もさることながら、期間限定メニューという名の洗礼を受けて、食後しばらく考えにふける。そう、今回の初チャレンジは、「かつやビギナー」にはあまりに変化球すぎて、理解が追いつかない。
そこで、スタンダードな単品だが私が好きな揚げ物でベスト3に入る「メンチカツ」を注文。
ソースをかけて……
サクッと一口。
うん、普通に美味い。
メンチカツの旨味を左右する、肉汁もいい感じで出ている。
で、メンチカツも完食。ただ美味かったが特筆すべきことはない。
と言うことで、これでようやく少しは理解できた。「かつや」を体感するには、やはり師匠が言うように「期間限定メニュー」のカブキっぷりを堪能することが1番と言うことが、実際に体験して分かった。
── 今回、初めて「かつや」に入って、そのカオスな空間を体感できたと思う。まだまだ初心者には謎な部分が多いが、ハマりそうなのは間違いない。と言うことで、まだ私のように「かつや未経験者」は、一度 ”期間限定メニュー” を中心としたカオスな空間を味わってみてはいかがだろうか? きっと脳がバグることだろう……。
参考リンク:かつや
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.