照りつける日差し。もうすぐ夏がやって来る。夏と言えばビール。ビールと言えばポテトチップス。蒸し暑い夜のこのコンビほど最高なものはない。
こんなに相性が良いんだったら、もういっそ合わせてしまえばとてつもないシナジーが生まれるのではないだろうか。そこで文明の利器・炊飯器を使ってポテトチップスをビールで炊いてみることにした。
・材料
使用するポテトチップスは『ポテトチップス 夏のしあわせ濃厚バタ~』。何味でも良かったのだが、せっかくだから2023年6月5日から販売開始された期間限定味にしてみた。
「夏の」ってついてるし、よりビールに合うに違いない。1袋税込み193円でした。そして、ビールはKIRINの『のどごし生』だ。こちらは1缶税込み172円。
・試行錯誤
とは言え、ポテトチップスを炊飯器で炊くのなんて初めてなので、水分の割合はどれくらいが適切かちょっとよく分からない。まず、炊飯器にポテトチップス1袋を入れてみたところ、「夏のしあわせバタ~」は66gなので、ちょっと少ない気もするスカスカ感。そこでポテトチップス2袋を投入。結果として132gを入れた形だ。
なら、水分も132mlだろうか? だが、ビーカーで計って大体130mlのビールを入れてみたところ、ポテトチップスに散らされて底に炊けるほど溜まっていない気もする。そこであと70ml追加。こちらは結果として200ml入れた形である。
それでは炊飯スタート!
・異変
特に何もイジらずに炊飯ボタンを押したら45分炊きになった。要するに、白米炊くのと同じ設定である。しばらく様子を見ていたが、特におかしい挙動は見受けられない。良かった。泡が噴き出してくるとか怖い反応起こさなくて。と、そんな安心も束の間、炊飯完了まで20分を切った頃に異変は起きた。
芋くせェェェエエエ!
20分を切ってからの匂いの立ち込め方が半端じゃない。屋台のじゃがバターみたいな香りなので全然嫌じゃないのだが、空間そのものが芋オーラに包まれている。まさに今、炊かれているに違いない。
・炊飯完了
そんなこんなで炊飯完了。いや、ポテトチップスだから炊芋完了か。しかし、ポテトチップスって炊いたらどうなるんだろうか。パリパリではなくなるだろうが、はたしてホロホロまでいくものなのか。シナシナ止まりだったら嫌だな。そう思いながら、炊飯器を開けてみると……
しんなりしていた。おいおい、マジかよ。これひょっとしてクソマズパターンじゃないだろうな? びちょびちょになっただけ的な。不安を抱きながらも念のため混ぜてみたところ……
お?
おお!
マッシュポテトみたいになった!!
お前、ひょっとしてイケるのか? 少なくとも混ぜた感触としては悪くないぞ。そこで食べてみたところ、思っていたよりもウマイ!
・味はこんな感じでした
ポテトチップス1枚1枚にバターの風味がついているためか、じゃがとバターの味が普通より一体化している。また、しあわせバタ~味にはハチミツも入っているため甘みもあって、さつまいもみたいなコクを感じた。
さらには、そんなじゃがバター味の後にビールの苦味がほんのりやって来る。「ビール!」という感じではなく、言われてみたらという程度なのだが、このちょっとした苦味が良い。奥行を感じられるのである。食感も少し滑らかさには欠けるもののマッシュポテトの範囲。これは激ウマと言っていいのではないでしょうか。
・編集部員にご馳走してみた
こういう実験的な料理の場合、みんな嫌がるから1人で食べることにしているが、これはウマイので編集部員たちにもご馳走してみることにした。みんなー! 美味しくできたから食べてみてよー!! ブツを食べた編集部員たちの反応は以下の通り。
Yoshio「結構です。いや、本当に間に合ってます。食べなきゃダメ? お菓子っぽい……。まあ、食えなくはないね」
御花畑マリコ「なんすかコレ? う~ん、お菓子みたいな味ですね。私は苦みがない方が好き」
砂子間正貫「こんなに不味そうな見た目はなかなかない。ウマイかって? 強いて言うなら耐えられます」
和才雄一郎「うわあ……ステーキの付け合わせのマッシュポテトに肉汁染みたみたいな味だね」
あんすず「気持ち悪い。なめらかさがない」
P.K.サンジュン「味にポテトチップス感があるだけにぐにゃっとしてるのが違和感。戦時中ならご馳走だと思えそう」
──ダメだこいつら。作った人とか見た目とか素材とか、余計な先入観でしか判断してないからお前らはグルメライター格付けチェックでも雑魚なんだよォォォオオオ!
・お前ら……
そもそも見た目がヤバイ料理を嫌がって、ウマそうなものしか食わないとか、それでもロケットニュース24か。恥を知れ。こちとらカブトムシとか虫鍋食っとるんぞ。なんなら昨年の夏からベランダに放置された麦茶も飲んどるんぞ。そんな中、一風変わった感想を述べたのが佐藤英典記者であった。
佐藤英典「ドイツっぽいね」
──さすが6年前に賞味期限切れたカップヌードルも食べた佐藤パイセンである。ビビってない。しかも、ポテトとビールなんだから、ドイツという表現もドンピシャだ。モノが違え。
というわけで、結果として否の意見の方が多くなってしまったが、見た目に惑わされて味の分からないヤツらは放っておけばいい。料理のウマイかマズイかなんてほとんど宗教みたいなもんだと思ったのであった。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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