長年この仕事をしていると、発売予定の新商品を見て「あ、これは売れないんじゃないかな……」という見立てがつくようになる。たとえば「ラーメンバーガー」だ。話題づくりを狙って、パンに麺を挟んだものが度々登場して話題にはなるけど、売れ行きはそれほど……。まあ、パンと麺の食い合わせは良いとは言えないからねえ。

にもかかわらず! よせばいいのに、ウェンディーズ・ファーストキッチンは2023年6月8日、ラーメンをイメージした新商品の販売を開始してしまった

だから、麺はダメなんだよ。と思いつつ、食べに行ってみたら予想と違う見た目のものが出てきた! そして実際に食べたら返り討ちにあったでござる!! そう来たか!

・予想を超えるラーメンバーガー

「ラーメンバーガー」と名の付く商品を、過去に何度も取りあげている。私が食べたもののなかで、もっとも古いものは2011年頃に東京・代々木公園の露店で見かけたラーメンバーガーだ。これは麺を焼き固めてバンズ代わりにしていた。


その2年後の2013年、ロッテリアは麺をパンで挟んだラーメンバーガーを発売。これは当時大きな話題になった。


それからさらに2年後の2015年、東京・中野に米ニューヨーク発のラーメンバーガー専門店がオープン。後に閉店し、現在はいわゆる「ちゃん系」のラーメン屋になっている。


……とまあ、ラーメンとバーガーの融合は面白そうだけど、商売的にはあまりうまくいかないのでは? というのが私(佐藤)の印象である。とはいえ、可能性はゼロではない。すべての道が模索され尽くしたわけではないのだから。

ってことで、ウェンディーズに食べに来てみた。


ウェンディーズが新しく販売を開始したのは5種のチキンバーガーである。世界各国の味をソースでイメージしたらしい。公式サイトを見ると……、麺を挟んだものは見当たらないのだが。


商品説明を読んでみると、どうやら「ガーリック醤油チキンフィレバーガー」(単品税込600円)が目当てのもののようだ。こう記されている。


「世界に誇る日本料理「ラーメン」の中から「にんにくマシマシなラーメン」をイメージしました」


なんと! にんにくマシマシなラーメンということはつまり二郎系ってことになる。いいのか? そんなに強く出ちゃって。「二郎系」と称していないけど、味は二郎系を目指していると考えて良いよね。


商品の実物がこちらです。ガーリック醤油チキンフィレバーガーを「ポテトMセット」(ドリンクS付き、+税込470円)である。


これがラーメンをイメージしただと!?


パンをめくってみても、麺は1本もない。どこがラーメンなんだ……。


正直、私の期待は裏切られたようだ。「ラーメン」と言われたら麺が入っていると思うじゃないですか。過去のラーメンバーガーの流れを順当に踏襲(とうしゅう)していてほしかったけど、そうではなかったらしい。勝手に期待した私が悪いのだ……、とにかく食ってみるとしようか。


ガッカリとした気持ちで食ったその瞬間! 舌先にしびれるような感覚が走った!


コ、コレは!? ラーメン!


まさかと思うがにんにくマシマシラーメンの味がする! にんにくそのものは見えないけど、たしかににんにくのガツン! とした感覚がある。辛い! にんにく辛いぞ、コレは!!


写真では伝わらないと思うのだが、醤油ベースのこのソース、にんにくの成分をギュッと濃縮しているらしい。口の中は、あのにんにく独特の辛味が支配している。チキンの味がかき消されるほどにだ。

まさかこんな形でラーメンの味を再現してくるとは思ってもみなかった。麺が入っていないのはさみしいけど、それを超えてあまりあるほどラーメンしちゃっている。完全に返り討ちにあってしまった

ウェンディーズ・ファーストキッチンにしてはかなりチャレンジングなメニューだと思う。ラーメン好きにこそ食べてほしい。ひと口目のインパクトに驚嘆するはずである。


・今回訪問した店舗の情報

店名 ウェンディーズ・ファーストキッチン 池袋北口店
住所 東京都豊島区西池袋1-26-4
時間 7:30~22:00

参考リンク:ウェンディーズ・ファーストキッチン
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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