海鮮系の居酒屋チェーン「さくら水産」と言えばやはり500円のランチである。ワンコインでご飯、味噌汁はもちろん、生卵に漬け物まで おかわり自由。まさに庶民の味方的存在だったワケだが……。
さて、ここで一つ質問だ。あなたが最後に「さくら水産」に行ったのはいつだろうか? 私(あひるねこ)はというと……なんと今から約4年前である。そこで久しぶりに「さくら」のランチをキメに出掛けたところ、まったく予想だにしなかった衝撃の事態が起きていたためお伝えしたい。
・変化の予感
約4年ぶりに訪れた「さくら水産」は、昔から変わらない青と白の印象的な看板で私を出迎えてくれた。お昼時にもかかわらず店内は空いており、どこでも好きな席に座っていいという。快適と言えば快適だが、気になることも。
以前は入口付近に用意してあったセルフおかわり用のご飯や味噌汁の姿が、どこにも見えないのである。ま、まさか……。席に着いてメニューを手に取ると、予感は確信に変わった。いつのまにか500円ランチが終了しているではないか! 超ショーーーック!!
そして新たに登場したランチメニューが……
どれもこれも1000円超え……!
・絶望
一体いつから「さくら水産」はこんな超高級店になり果てたのか? 「さくら」と言えば安い。安いと言えば「さくら」が我々の共通認識であり、すべてのステータスを安さにのみ極振りしてしまったのが「さくら水産」という居酒屋だったはずだ。
一番人気が税込1100円の『本日の魚河岸おさしみ定食』だなんて、そんなのもう俺たちが知っている「さくら水産」じゃないだろう! こうなったら……試しに頼んでみるしかない!!
参考までに、こちらが4年前に食べた500円ランチだ。で……
こちらが1100円のお刺身ランチ。
刺身5点盛りにご飯、味噌汁、冷奴、漬け物が付いてきたぞ。はて、店を間違えたかな? 「さくら水産」の料理でテンションが上がるなんて生まれて初めてである。「さくら」らしからぬ何ともゴキゲンな定食ではないか。
・充実の内容
生マグロ、カンパチ、スズキなどなど、刺身はどれも想像以上にウマい。海鮮系の居酒屋であるにもかかわらず、ほぼ魚肉ソーセージの記憶しかない「さくら水産」とは思えないほどのクオリティーだ。もはや別人と言っていいレベル。
味噌汁には魚のアラがたっぷり入っているし……
以前は酷評されがちだったお米も、特に問題ないと私は感じた。めちゃウマい! とまでは言わないが、これをマズいと切り捨てるのはさすがに山岡士郎すぎるだろう。
ただこうなると、おかわり用のご飯や味噌汁がなくなってしまったことが悔やまれるな……と思ったらマジかよ! おかわり自由じゃん!!
・画期的
なんとご飯・味噌汁のおかわりはタブレットから注文できるシステムに変わっていたのだ。わざわざ席まで運んでくれるなんて、本当にここは「さくら水産」か!? もちろんおかわりは無料である。味噌汁2杯目にもしっかりアラが入っていたぞ。
周囲を見渡すと、やはりスーツ姿の男性客が圧倒的に多い。意外と20~30代くらいの若いサラリーマンも来ているようだ。店内の雰囲気は以前と比べるとだいぶ落ち着いており、私も静かにゆったり食事を楽しむことができた。そう、普通にいい店である。
「さくら水産」のランチに1000円以上払うなんてタチの悪い冗談のように聞こえるかもしれないが、ここはもう我々が知る激安居酒屋「さくら水産」ではない。魚料理でご飯をガッツリ食べられる、さながら男の隠れ家とでも言うべき穴場スポットになっているのだ。
逆に看板だけは昔のままなことが奇妙に感じられてしまった。500円ランチがなくなったのは寂しいが、個人的にこの路線は大いにアリなので、「さくら水産」には引き続き頑張ってもらいたい。
参考リンク:さくら水産
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼「さくら水産」の今のランチメニュー。