2023年3月の満月の瞬間は、7日の午後9時40分にやってきます。ネイティブアメリカンによる呼称はワームムーン。芋虫です。
年間の月の呼称を人気順でリストにした場合、ワームムーンが覇権をとる可能性は低いでしょう。しかしその輝きは呼称に左右されません。
それに今夜のワームムーンは、この時期特有のスペシャルな装いを披露してくれる可能性があります。詳しくお伝えしましょう。
・芋虫
北米最古の暦系メディア The Old Farmer’s Almanac によると、ワームムーンの由来には諸説ありそうです。
かつては温かくなって活発化したミミズと、それを食べる鳥たちの様子に由来すると考えられていたようですが、さらなる調査の結果、ミミズではなく甲虫類の幼虫に由来している可能性も出てきたとか。ミミズか芋虫か。
そういえば日本の季節を表す言葉にも、似たような由来を持つものがあります。小学生のころに国語の授業で暗記させられたであろう二十四節気と七十二候を思い出してください。
啓蟄(けいちつ)の蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)は、まさに今の時期の虫の活動に注目しています。ミミズも立夏の蚯蚓出(みみずいずる)で登場します。
日本の七十二候の元となったのは中国のもので、ワームムーンは北アメリカのネイティブアメリカンによるもの。場所は全く違いますが、どこの土地でも同じようなものを暦の基準としているのは興味深いところ。
・花粉光環
この時期の日本人にとって、なによりも濃密な時間を過ごす隣人と言えばスギ花粉。今年も盛大に飛散しているようですが、このスギ花粉が今夜の満月の見え方を一味違ったものにしてくれる可能性があります。
浮遊する大量の花粉は、明るい光源の周辺に虹色の光環を生じさせるのです。日中であれば太陽の周辺に花粉日光環が、月の昇る夜であれば花粉月光環が期待できます。
満月は太陽ほど眩しくないため、条件が良ければ直接見ても光環を観測できるかもしれません。見づらければ満月だけをちょうどいい具合に木や建築物など何らかの障害物で隠すと、より観測しやすくなります。
花粉が控えめだと見られないため、見られるかどうかは運次第。花粉飛散情報をチェックしてみてください。お住まいの地域の花粉が濃厚そうであればチャンスです。花粉とワームムーンのコラボを楽しんでみてはいかがでしょう。
・全国的に晴れ
最後に全国の天気を見てみましょう。気象庁の予報によると、7日の天気は全国的に晴れの予報。もし曇りになったとしても、少し程度なら雲の切れ間から見ることができるかもしれません。今夜はぜひ満月の観測を楽しんでください。
参考リンク:国立天文台、気象庁、The Old Farmer’s Almanac
執筆&写真:江川資具