あなたも1度くらいは「このまま消えてしまいたい……」なんて思ったことがあるハズ。実際に消えるハズはないのだが、スッと煙のように消えてしまえればどれだけ楽なことか? ところがどっこい、そうも上手くいかないのが人生である。

さて、私、P.K.サンジュンが “あの体験” をしてから1年が過ぎた。その体験とはまさに私が「消えてしまいたい……」と強く願った話──。これからお話しすることは純度100%の真実である。

・顔出し上等

当サイトのライターたちは “顔出し” をしているメンバーが多い。義務ではないし「顔出ししなければならない」なんてルールは一切ないものの、多くのライターが「必要ならば顔を出す」というスタンスで執筆活動に勤(いそ)しんでいる。

私も必要に応じて顔出ししており、ありがたいことに「サンジュンさんですか?」「いつもロケットニュース読んでます!」なんて声をかけていただくことも多い。佐藤パイセンのように上手に振る舞えないことは申し訳ないが「嬉しい☆」というのが率直な感想だ。

だがしかし、この記事でお話させていただく「サンジュンさんですか?」ほどキツイ「サンジュンさんですか?」はこれまで無かった。私はあの時どうすべきだったのだろうか? 時計の針を1年ちょっと前に戻してみよう。

・恵比寿にて

仕事を終えたある日のこと。時間は20時くらいだっただろうか? 知人から忘年会に誘われていた私が降り立ったのは、お洒落タウン・恵比寿。恵比寿とは縁もゆかりも無い私はただ、Googleマップを見ながら知人たちの待つ店へと歩みを進めていた。

すると、やや人気(ひとけ)の少なくなってきた路地で「サンジュンさんですか?」と女性の声が。顔を上げると30代中盤くらいの女性が目の前に立っているではないか。

「あ、そうです。アザス!」とお辞儀をすると、女性は「本当にロケットニュース好きなんです! まさかサンジュンさんと恵比寿で会えるなんて!!」といたく感激していただいている様子。「いやいやいや」などと返していると、私の後方から「だれ?」と男性の声が聞こえてきた。

・地獄の一丁目

振り返ると、そこにいたのはたぶん女性の彼氏。パリッとスーツ姿の彼氏は私のこともロケニューのこともご存じないのだろう。というか、むしろそれが普通である。私は「あ、どうも」なんて会釈しながら愛想笑いをした。すると……。

ややぞんざいな「だれ?」との問いかけにムッとしたのか、女性は声のトーンを上げ「ロケットニュースのサンジュンさんだよ! そこら辺の芸能人よりも有名なんだよ!?」とアンサー。これが地獄の始まりであった──。

「いや、しらねーし(笑)」と半笑いの彼に激昂した彼女は「知らない方がダサいから! 超有名だから!! 変態仮面とかやってる人だから!」と立て続けに応戦。彼は「変態仮面」のワードをスルーしていたが、私はこの時点で早くも消え去りたかった。

というか、どう考えても私がそこら辺の芸能人よりも有名なハズはないのだが、彼女は本人(私)の前で無礼な物言いをする彼氏のことが許せなかったのだろう。そこから彼と彼女が私のことで言い合うたった1分弱が、私には永遠ほど長く感じられたのであった。


・ウソでしょ?

……が、最終的には「まあまあまあ。知らなくて普通です。なんかすみません」と私が割って入り、何とか消火活動に成功。「では!」と、そのまま足早に立ち去ろうとした瞬間!! 彼女から驚愕の一言が発せられたのであった。


「一緒に写真撮ってもらっていいですか?」


えええぇぇぇええええ! いやいやいや、全然いいけど!! 全然いいけれども!!!! この空気で写真撮れますか? だって彼氏がシャッター押すんでしょ!? ワシャどんな顔をすればええんや!!

誤解して欲しくないのだが「写真いいですか?」と言われて断ったことは無いし、そう言っていただけることは素直に嬉しい。……が、空気ってもんがあるでしょうよ! 私は「彼女と私の2ショット」を苦々しい表情で撮影する彼氏の顔を一生忘れないことだろう。

あの日、あの時、あの場所で、修羅場になってしまった全ての理由は、私が「ロケニューのサンジュンだから」である。繰り返しになるが、お声がけいただくことは本当に嬉しい。でも、僕が原因で痴話喧嘩とかは本当にやめてくださいね。超不毛だから!

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.