ここ数年、福岡県に移住するのが人気だとよく聞くようになった。たしかに福岡県は最高である。空港から中心地へのアクセスのよさ、家賃の安さ、それからご飯はウマいしで住みたいと思う人が多いのもうなずける。

そしてその福岡県の中でも人気上昇中なのが、西側に位置する糸島市。観光地として活性化しているだけでなく住む人も増えているが、一体どんな魅力があるのだろうか。実際に都内から移住した人に話を聞いてみることにした。

・都内から移住した理由

今回、話を聞かせてくれたのは30代後半の徳井さん(仮名)。今から2年前、妻と子とともに都内から福岡県糸島市へ移り住んだ背景にはどんな理由があったのだろう。


──まず移住するにあたり、福岡県を選んだ理由を聞かせてください。


徳井さん「ちょうど仕事の転勤で福岡県に移らなければいけなくなったからです」


──お仕事の関係なんですね。はじめから住む場所は糸島に狙いを定めてましたか?


徳井さん「いえ、実はそうじゃないんです。条件は福岡市に近くて、土地も買えそう……といった感じの漠然とした感じで探していました。でも希望していた市内に近い位置だと、なかなか値段が高くて(汗)

それこそ博多駅とか天神に近いとなると、かなりの金額でした。そこで範囲を広げたところ、東西南北にいろいろ候補が出てきたんですね。そしてそのうちの1つ、糸島にいいところがあって決めた形です」


──博多や天神といった中心地に近いとなるとやはり高いのですね。土地を探したということは一軒家ですか?


徳井さん「そうですね。賃貸にしようかと悩んでいたんですが、コロナの影響で仕事がテレワークメインになったこと、マイホームが欲しいという妻の希望があったことで一軒家にしました。市内はとてもじゃないけど手が出なかったです。もはや東京と比べても変わらないような……」


──糸島といったら人気上昇中で海も山も近くにあります。そのあたりの環境は選ぶ理由になりましたか?


徳井さん「確かに売り出し中ですが、個人的には海とか山とか興味あるわけじゃなかったです(笑)。どちらかというと、福岡市に近くて通勤圏内というのが大事でしたね。

とはいえ、人が多いのは好きじゃないので、まぁまぁ田舎というか郊外を希望していたのは後押しになりました。子どもの将来も考えて、福岡市内へ通おうと思えば通えるというのもいいなと。

あとはそうですねぇ……九大(九州大学)のキャンパスが糸島に移転したから短いスパンで廃れるなんてことはないだろうという考えもありました」


・利便性はどうか

──そんな未来予想もしていたんですね(笑)。ちなみに糸島市から福岡市内まで時間はどれくらいかかりますか?


徳井さん「車で30〜40分、1時間もかからないですね。電車の乗り継ぎとかが少し使いにくいところもありますけど、実際住んでみると環境はすごくいいです。人が多すぎないですし、ゆっくりした時間が流れているのが気に入っています」


──都内は人多すぎますもんね。


徳井さん「前に住んでいたところは道路の騒音とかうるさくて、子どもを遊ばせる場所も少なくて悩んでいました。今はかなり静かになって、子どもも安心して遊ばせることができています」


──これといって不便はない感じですか?


徳井さん「そうですね、必要なものは大体手に入りますし問題ないレベルです。ただ、郊外に出たらどこでもそうなように、車がないと厳しいかもしれません。私自身、電車生活よりも車生活がいいタイプなので不便さは感じないですね。むしろドライブでリフレッシュできています」


──車好きにはいい情報ですね。車があれば1時間で新幹線(博多駅)、福岡空港から飛行機にも乗れるだけに全国どこでも移動しやすそうです。


徳井さん「特に空港は車で1時間かからないくらいなので便利さを感じます。今はまだ時期的に難しいところもありますけど、国際線があるのも嬉しいですね」


──ちなみに今、糸島市に住んでよかったと思いますか?


徳井さん「よかったと思います。ゆっくりとした環境はもちろん、魚介類が新鮮で美味しいのも気に入っています。それこそ牡蠣とか。気軽にジョギングするのも楽しみの1つになっていますし、暖かくなったら山登りや海水浴も楽しみたいですね」


──点数をつけるなら?


徳井さん「そうですねぇ……95点とか……いや、100点で! まだ住んで日が浅いですが、いい場所だなと思いながら日々を過ごせています」


……以上が実際に移住した人に聞いた話である。家族で住める環境のよさ、交通の便のよさ、それらに対してリーズナブルさが糸島市にあったようだ。福岡県は田舎すぎず都会すぎず。中心地は栄えていて、落ち着いた郊外からも行きやすいとなれば人気が出るのも改めて納得だ。

執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.
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