第3新東京市があるとされる神奈川県の箱根、第3村のモデルになった静岡県の天竜二俣駅と、エヴァンゲリオンの舞台を旅してきた。
今回は「作品舞台」とは少し違うが、リアルにエヴァンゲリオンの世界が再現されているスポットへ行ってみた。東映太秦映画村にある「エヴァンゲリオン京都基地」だ。
・東映太秦映画村「エヴァンゲリオン京都基地」(©カラー)
太秦映画村といえば、実際に映画やドラマの制作に使われる撮影所の機能と、多くの人を迎え入れる観光施設としての機能を兼ね備えた稀有(けう)なテーマパーク。
江戸時代の街並みを再現したオープンセットが見どころだが、今回はそれらを横目にずんずんずんずん最奥部へ向かう。明治通りを過ぎ、芝居小屋「中村座」を過ぎ、道路を横断し……
すると……
高さ15mの初号機が登場する!
初号機といえば箱根の桃源台駅にもいたが、あちらは高さ約2m。精巧なフィギュアといった印象が強い。一方のこちらはリアルな初号機のサイズ感だ。
どれくらい大きいかというと、手の平に複数人が乗って写真撮影が可能なほか、通常身長の人なら台に上がって「あおり」で写真を撮らなければ初号機の顔が入らないほどの高さだ。
なぜ、ぼっちの筆者がこんな最高アングルの写真をゲットできたかという理由は後述する。デジタル技術を駆使して写真撮影を楽しめる仕掛けがあちこちにある。
下半身は真っ赤なL.C.L.のプールに浸かっている。母胎内の羊水ともされるが、どこか生々しい色合いである。
この初号機、眺めるだけではない。付属施設からエントリープラグの高さまで上れるのだ。
京都での使徒反応を受け、特務機関NERVは「第3新京都市支部」を設立。太秦に「エヴァンゲリオン京都基地」を建設したという設定。
筆者もいまからパイロット候補生としてエヴァに搭乗する。14歳は約3周過ぎてるけどな。
ひとり1枚ずつIDカードを受け取り、パイロットとしての適性を審査する設問に答えたりしながら4階の搭乗口まで上る。
すると実物大のエントリープラグが……! パイロットのように着座したり、エヴァとのシンクロ率を測定してくれる機能も。
人間工学というやつなのか、あるいは母胎を連想させるのか、フィット感は意外にも良好。すっぽりと包まれるような安心感がある。
眼下には映画村の風景はもちろん、京都の街が広がる。胸から下がL.C.L.に浸かっているのでこの高さだが、実際に初号機に搭乗したら倍以上あるということになる。怖……
エヴァの世界観では、おそらく木造建築は災禍で残らなかったということだろうが、日本の伝統的建造物はほとんど出てこない。けれどここでは「あったかもしれない、もうひとつの世界」を感じさせる。
搭乗体験を終えたら、忘れずに写真店「NERVフォト」に立ち寄ろう!
初号機ではエントリープラグ、手の平、ステージの計3カ所で写真撮影が可能で、先述のIDカードで個人を識別して写真を購入できる。
テーマパークやクルーズ客船なんかでもお馴染みのシステムだから、「どうせ高っかい写真を買わせるヤツでしょ」と思った人もちょっと待て。なんと1グループにつき1枚、ノベルティフォトカードがプレゼントされる!
ひとり客、かつ財布の紐が貝のごとく堅い筆者が美麗な記念写真をゲットできた理由はそれだ。ちなみにエントリープラグや手の平では、撮影スタッフがいなくてもオート撮影が可能。NERVの最新技術でセルフ撮影できるぞ。
ほかにも村内には巨大絵馬(写真は2022年のトラver.)や
コラボグッズを扱うショップ「NERV購買部」
描き下ろしイラストが飾られたコラボカフェ「NERVカフェ」などが点在する。
・感動のコラボメニュー
カレーを中心とした「NERVカフェ」もよいのだが、筆者はもうひとつのコラボフード提供店「喜らく」を利用した。
こちらの店舗はラーメンが中心。「にんにくラーメン チャーシュー抜き」や「フカヒレチャーシュー大盛り」などのメニューにもニヤリとしてしまうが、筆者のイチオシはこれだ!
「鈴原さんちの雑炊定食」(税込900円)!!
厳しい生活の中から、精一杯の夕飯として作られた鈴原家のおもてなしメニューだ。貴重な食糧なのに、ひとくちも食べないシンジはヒカリ父に叱責される。
添えられた煮物や漬物も、あえて「質素な感じ」を演出していて雰囲気抜群! 第3村ではささやかな農業と、KREDITからの支援で食糧をまかなっているからだ。
コラボカフェやコラボメニューは各地にあるが、個人的には「キャラクターや世界観をイメージしたメニュー」よりも、「作中に登場した食べ物を再現したメニュー」のほうにロマンを感じる。
前者は作品を第三者視点で俯瞰しているけれど、後者は自分が作品の世界に入り込んでいる感覚になれる。身体の芯からホッと温まるような雑炊だった。
コラボメニューを注文すると、1メニューにつき特製コースター1枚プレゼント(なくなり次第終了)。全5種で絵柄はランダム、筆者はマリだった。
・古都に登場したエヴァンゲリオン
エヴァンゲリオンと古都・京都。一見すると接点のなさそうな両者だが、エンタメ要素満載で誰しも気軽に体験できるエヴァワールドが広がっている。
しかもユニークなのが、太秦映画村では常にいくつかのイベントが同時進行していて、エヴァのコラボメニューがあるかと思えば同じ店で仮面ライダーや新選組のメニューがあったりと、パラレルワールドのように複数作品が並行存在している。
好きな作品がたくさんあったら、きっと何を買おうか、何を食べようか目移り確定。大人でもワクワクそわそわ、一日中楽しめるスポットだ。
参考リンク:東映太秦映画村「エヴァンゲリオン京都基地」
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
©カラー
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]