~ 第三章 修羅の街 ~
亀「あの~……、佐藤さん。いつまでこの「龍が如くごっこ」に、私は付き合わなきゃなんねえんですか?」
佐藤「なにッ! 最後まで付き合えよ。それでもゲームファンか!」
亀「う~ん……、ファン心理を逆手にとって、撮影係に利用されているような~……」
佐藤「ごちゃごちゃ言うな。着いたぞ、ここが斎藤のいる「SMAPPA! HANS AXEL VON FERSEN(スマッパ・ハンス・アクセル・フォン・フェルセン)」だ。店の名前、長いな……」
佐藤「斎藤はいるか?」
スタッフ「佐藤さんですね。聞いてます、おかけになってお待ちください」
佐藤「お! すんなり入れた」
斎藤「佐藤さん、お久しぶりです」
ドンドン!
ホストクラブ「SMAPPA! HANS AXEL VON FERSEN」 副店長 斎藤工
※訳あって、加工画像です。
佐藤「お前は!? ホストの源氏名の時に話を聞いた斎藤!」
斎藤「斎藤工です。昔の歌舞伎町の話を聞きまわってるそうじゃないですか。僕もこの街で20年以上やってますので、多少はお力になれるかと」
佐藤「ぜひ、聞かせてくれ」
斎藤「いまでこそ、歌舞伎町は割と安全なイメージが定着しつつありますけど、僕が若い頃は危なそうな人があちこちにいましたよね。とくに僕らのような仕事は、目をつけられることも多かったですね」
佐藤「いつ頃から今のような雰囲気になったんだ」
斎藤「正確な時期は忘れちゃいましたけど、2012年の「新宿区暴力団排除条例」頃が境だったと思います。あの頃はまだ「ケツ持ち」とかあった時代ですから、その手の人たちも幅を利かせていました。お店でいやがらせを受けるなんてこともありましたね」
佐藤「どんないやがらせを?」
斎藤「昔いた店なんですけど、イカツイ感じの男性3人が来て、どこから持ってきたのかしらないですけど、ゴ■■リをグラスに入れたみたいなんですよ。それでケチつける訳ですよ」
佐藤「「どう落とし前をつけるんだ」と脅すと」
斎藤「そう。その時の店の代表は、強者だったんですよね、よく心得ていて「これですか? 大丈夫、飲めますよ」っていって、そのグラスを飲み干したんですよ。あれはカッコよかったなあ」
佐藤「なにッ! その人、めちゃくちゃ肝が据わってんな!」
斎藤「そこまでやられると、相手も黙るしかないですよね。それでその時は、事なきを得ました」
佐藤「脅す方も脅す方なら、脅される方も黙っていうこと聞いたりしない。まさに修羅の街だったんだな」
斎藤「そうですねえ。そうだ、こんなこともあったっけ。いつだったか忘れちゃったけど、深夜にコンビニに行こうとしたら、目の前に大型のワゴン車が止まって、覆面をして警棒を持った5人くらいの男が出てきたんですよ」
佐藤「え!!」
斎藤「それで近くのお店に入っていって、しばらく様子を見ていたら、ドカンドカンとデカい衝撃音がして人の叫び声とか聞こえてきたんですよ」
佐藤「ゴクリ……」
斎藤「少ししたら覆面のヤツらが車に乗り込んで走り去って、そのあと黒服が血を流しながら出てきてました。「警察呼べ」って言って」
佐藤「現実にあんの! そんなこと!? どっちかというと、その出来事は「龍が如く」よりも「キムタクが如く」(JUDGE EYES・LOST JUDGMENT)っぽいな」
佐藤「あんた、よく今日まで無事でいられたな」
斎藤「だいたいそういう時、自分は当事者じゃないですし。昔の話ですからね、今はそんなこと絶対ないですよ。それに、ホストも昔と違いますしね。昔のホストは元ヤンキーばっかりで、人としてヤバいヤツが多かった。営業時間も深夜1時から朝まででしたし」
佐藤「今は風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)で午前0時までの営業だったか?」
斎藤「そう、働きやすくなりました。学歴の高い子も多いし。求められるホスト像が昔と今でずいぶん違います。今のホストについては、「BOND」ってお店の代表水波さんがわかると思います。彼に話を聞くといい」
佐藤「そうか、ありがとう。昔のイカツイ話はもうお腹いっぱいだから、今の話を聞きにいくとしよう」
今の歌舞伎町・ホスト事情を知る男、水波は次のページにいる!!
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