「ソース二度漬け禁止」は、大阪の串カツの鉄則である。そのルールの始まりとされるお店が「串かつだるま」である。関西を中心に店舗展開しており、関東にはほぼ店がない。が! 1軒だけある。

東京・銀座シックスにハイブランド「だるまきわ味銀座店」が存在している。ここのおまかせコースは、食べ放題ではないけどストップというまで串が出てくるそうだ。

何本食えるか試してみたら、奥深い創作串かつの世界に圧倒されてしまった! 特に驚いたのは「うなぎの茶蕎麦寿司」の串揚げがある。何なんだよ、それは!?

・ストップというまで串揚げ

だるまは1929年創業、もうすぐ100周年を迎える老舗の串かつチェーンだ。私(佐藤)も通天閣近くの総本店に行ったことがある。残念ながら、都内にお店はほとんどなく、関西に行かなければあの味を楽しむことはできない。幸い、銀座のお店は直営店であるのだが、銀座にふさわしい値段設定のお店である


今回注文するのは「おまかせコース」である。このコースは内容に含まれる創作串揚げが「6~30本」と表記されている。つまり6本まではコースに含まれているけど、それ以上食べたければストップというまで串が出続けるのである。



でも食べ放題ではないので、串数が増えるにしたがって値段も高くなる。最低の6本なら税別3620円。最大30本なら税別1万3000円だ。串揚げメニューは日替わりで30本、コースはこれが番号の順に出てくる。



創作串揚げはアラカルトでも注文可能で、そのほかにだるまの定番の串揚げメニューも揃っているぞ。


・独創的な品々

ってことでコーススタート! まずは盆に串かつ用の取り皿とソース。それから彩り野菜の盛り合わせと先付けが出てきた。野菜はキャベツ代わりだな。


この日の先付けは「マグロとアボカドの押し寿司」である。


続いて最初の串2本登場。


1本目は「鹿児島県産の車海老」。いきなり車海老の登場で先制パンチを食らった。マジ美味い!


2本目は「子持ち昆布のおかき揚げ」である。ザクっとしたおかきの衣と子持ち昆布のプチプチとした食感が楽しい。


季節の小茶碗は「かぶら(かぶ)のすり流し」


コースの脇役として登場した一品だけど、作るのに手間と時間がかかる代物だ。ピューレ状のかぶの舌触りはなめらかでほんのり甘い。


3本目「豊後牛かいのみのトリュフ添え」、口に入れるとトリュフの華やかな香りが鼻をくすぐる。


そして「牡蠣と生海苔の磯香ソース」。この辺から創作感が一層高まってきた。揚げ立ての串にとろみのあるソースをかけちゃうなんて斬新!


ここでまた串揚げは中断して、本日の一品に「和牛すじ肉のどて焼き」が出てきた。1つずつの量はそれほど多くないんだけど、それを重ねていくとちょっとずつお腹にたまっていく。じわじわと胃袋の容量を削られているみたいだ……。


続いて5本目「ダイヤモンドポークの韓国仕立て」、韓国のりが味のアクセントになっている。


最初の6本のしめくくりに「真鯛と下仁田葱のムースリーヌ」。ここまでくると、もう洋食の要素を取り入れていることを、隠そうとしないネーミングになってきたな。ムースを揚げるなんて、どれほど手間をかけてるんだか。


6本が終わったところで、口直しにもずく酢が出てきた。酸味で口の中をリフレッシュ!


この段階で腹は7割程度満たされたかな? さすがに30本完走は難しそうなので、とりあえずあと4~5本でコースを終了して、アラカルトで追加注文だな。

ってことで、コースの7本目は「生うにとゴーダチーズのグラタンソース」。うにとチーズが織りなすマリアージュ。こりゃホッピーやビールではなく、ワインを合わせて飲みたくなつヤツだな。


お次は「自家製蟹味噌クリームコロッケ」。カニクリームではなく “蟹味噌” クリームである。食べると、蟹味噌の風味がドン! と口の中に広がる。味噌好きにはたまらない逸品。


9本目に「自家製メンチカツのマッシュポテト」


私はここまで1度もソースを使っていない。というのも、どれも味がしっかりついているので、ソースの出番がなかった。しかしメンチとソースは2つで1つ。ソースなしなんてあり得ない! ってことで、2度3度と漬けて頂く。


10本目は「とうもろこしとオニオンソテー」である。とうもろこしにトビコを添えるなんて大胆な組み合わせだ。でも、食べると美味いんだよねえ。まさしく創作料理の本領発揮!


そして11本目、メニューの中で1番気になっていた「牛タンバーガー」


これはいわゆる “逆バーガー” で、パンで具材をサンドしているのではなく、具材でパンを挟んでいる。牛タンでパンをサンドしてしまっている。まるでスペインのフィンガーフード「ピンチョス」のような遊び心のある盛り付けだ。


・串揚げは自由!

とりあえずここまでの11本でコースの串かつは一旦終了。追加でこのほかに気になった3本を注文した。


まずは「サーモンといくらのこぼれ盛り」。サーモンフライにタルタルソースとたっぷりいくら。どう考えても美味いヤツです。


それから「トリュフとパルミジャーノのリゾット」。イタリアのライスコロッケの串揚げ版とでも言おうか。チーズとトリュフが芳しく香る。


そして最後の1串がコレ! これはなんと「うなぎの茶蕎麦寿司」である!! うなぎと茶蕎麦で作った海苔巻きを揚げている、衝撃的な串揚げだ。数式にすると「串揚げ(寿司(うなぎ + 茶蕎麦))」みたいな感じになるかな? 一言で表現するなら「自由」、串揚げってこんなに自由なんだな!


一見奇抜な品々ではあるけど、全部ちゃんと美味い。しっかり手間をかけているので、味にハズレがない。さすが「きわ味」と名乗るだけはある


コースのシメには玉子かけご飯。これにもこだわりが……。


大分県産の玉子かけご飯専用玉子「蘭王(らんおう) 」を使っている。色も味も濃いのに、舌触りがサラリとしていて、玉子特有の臭みや粘りがない。ご飯と一緒に食べることで、味のポテンシャルが2倍にも3倍にも上がっているように感じられる。


最後に甘味にみかんのシャーベットを頂いて、だるまのおまかせコースは終了した。私がコースで食べた串数は計11本。コース料金は税別5580円、それにアラカルトとウーロン茶をプラスして、合計税別7480円だった。昼にしてはちょっと奮発しすぎてしまった……。


でも! 創作串揚げの独創的な世界を知ることができて満足だ。なお、ランチは串揚げ6本のコースが税別2000円からあるので、まずはそれから試してみるのも良いかもしれないぞ!


・今回訪問した店舗の情報

店名 だるま きわ味 銀座店
住所 東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6階
時間 11:00~23:30(フードL.O.60分前、ドリンクL.O.30分前)
定休日 なし(施設に準ずる)

参考リンク:だるま きわ味 銀座店串かつだるま
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24