東ヨーロッパの国チェコは、国民1人あたりのビール消費量が世界一。これは28年連続の記録だそうで、チェコ人がいかにビールを愛し、ビールに愛されているかを示しているといえよう。
そんなビール大国ともなると、もはやビールは “ただ飲むだけ” のものではない。なんとチェコの首都・プラハには『ビール風呂』なる施設がいくつも存在しているのである。想像しただけで体がベタついてきたけど大丈夫かな?
・ただし銭湯にあらず
なお、ビール風呂などと聞けば『銭湯』をイメージする方もおられるかと思うが、チェコのソレはそういう庶民的なヤツではない。
チェコのビール風呂(ビールスパ)を1人で利用する場合、1時間の入浴料は1〜2万円ほど(大人数での利用なら割安となる)。 “ ちょっとリッチなプライベート・スパ ” 的ポジションなのだ。
この日私が訪れたのは、ネットでなんとなく目についた『ファーストビールスパ プラハ』なる店。1人利用で料金は1時間1800コルナ(約10539円)。仮に6人で利用する場合は1人あたり約6753円となる。1人旅はつらいよ……。
受付を済ませると、即座に「普通のビールと黒ビール、どっちにする?」と聞かれた。風呂を準備する待ち時間にビールを振る舞ってくれるらしい。ちなみに飲み放題。
欧米ではレストランで常温のビールを出されることも珍しくないが、ここのヤツはキンキンのヒエヒエ。入浴前の過度の飲酒は危険なので、ホドホドにしておこう。
とかやってたら「地下へどうぞ」とお声がかかった。案内係のお姉さん、歩きながら流暢な英語で色々と説明してくれるのだが、リスニング力の無さゆえロクに聞き取ることができない。案内された先には……
ワーーーーッ!!! 立派な個室!!!!
・ビール天国ここにあり
風呂桶3つに干草のベッド……他の客とシェアするのかと思いきや、どうやら私専用の部屋らしい!!! やったね!!!
もちろん風呂・シャワー別!
これで1万円なら高くない!!!
相変わらずお姉さんは早口だが、たぶん制限時間を気遣ってのことだろう。ビール酵母の匂いを嗅がせてくれるお姉さん。なんか薬みたいな不思議な匂い。
こっちはホップ。草原みたいな香り。
それらをビールと混ぜ合わせ……
風呂桶へドーン!
・そして自分自身がビールに
「じゃ、楽しんでって!」と立ち去るお姉さん。部屋が広すぎて落ち着かないが、時間がもったいないのでサッサと服を脱いでしまおう。
冷たいビールを注いだせいか、少しぬるめのお湯かげん。しかし部屋全体が岩盤浴のようにジンワリと暖かいため、風邪をひく心配はないだろう。
もちろん時間内は生ビール(白・黒)飲み放題。ビール好きならコレだけで元が取れる可能性もあるな。
ビール風呂に浸かりながら飲む生ビール……私は今、地球上で最もビールに近い人間なのかもしれない。
・干草のポテンシャル
当初はベタつきが心配されたビール風呂、実際は意外なほどサッパリしていた。家族や友達とワイワイやるのも楽しそうだが、1人ボンヤリ「宇宙とビールの共通点について」といったテーマを考えるのもオツである。
5〜6杯のジョッキを飲み干し、ますますビール化が進んだ私は干草ベッドへ移動することにした。
ビール風呂と干草ベッドの因果関係は不明だが、「干草に思い切り寝転びたい」という密かな夢がいきなり叶って嬉しい。
と、思ったら……トゲトゲして痛ぇなぁ!
想像の10倍トゲトゲしていた干草ベッド。仕方がないのでビール風呂を堪能したのち、服を着た状態で横たわってみた。草の匂いに包まれながら飲むビール……悪くない。後から気づいたことだが、実はベッド脇に “干草に敷く用のバスタオル” が置かれていたもよう。
夢のような1時間はあっという間に終了。受付で礼を言ったところ……
当然のごとくシメのビール(飲み放題)をすすめられたのでした。ビール好きですら最後は「もういい」と叫ぶチェコのビール風呂。次回はビール好きの仲間を連れて来たい。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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▼サービスのパン。素朴なお味!
▼お湯の表面はザラザラしています
▼けっこう深い風呂桶
▼このスイッチは何……?
▼照明がムーディーになるヤツでした