“秋の味覚” の代表格といえばマツタケだが、われわれ庶民は『永谷園 松茸の味 お吸いもの』で茶をにごすのが精一杯……などと考えつつ上野・アメ横をトボトボ歩いていたところ、「お姉さん、マツタケ安くしとくよ」と声をかけられた。

聞けば「3本入り8000円のところを、お姉さんは美人だから特別に3000円でいい」とのこと!! 信じられない値引き率なうえ、非常に気をよくした私は即座に購入を決めた。 “大胆にムシャムシャとマツタケを食べたい” という長年の夢が、今日ついに実現するのだ!

・セレブの食べ方とは

ってことで、購入したマツタケがこちら。ちなみに「2つ買うなら5000円でいい」とも言われたが、初心者なので今回は遠慮させていただいた。上野のそういうとこ、嫌いじゃないです。

袋を開けた瞬間、鼻をついた濃厚なマツタケ・スメル。濃厚すぎて一瞬「くさい」と感じてしまったほどだ。マツタケといえば薄く切ってシンプルに『焼き』や『蒸し』にするのが一般的だが、今日は大胆に『肉づめ』にアレンジしてみたい。

なぜなら「もったいない」食べ方をあえて実践することで、シイタケのノリでマツタケを食べている富裕層の感覚を疑似体験できると考えたからだ。エイッ、と思い切りよくカサを切り落とす!

こうなるともはや完全にシイタケにしか見えない。表面の汚れは水洗いではなく、湿らせた布などで拭き取るべし。

身の詰まった柄(え)の部分は……

みじん切りにしてミンチ肉と混ぜちゃう! これぞ(たぶん)セレブの食べ方!

片栗粉をまぶす瞬間はさすがに動揺したものの、ここは思い切りよくいこう。

パンパンに肉ダネを詰め込んで……

フライパンで蒸し焼きにしたら……

セレブの食べ物『マツタケの肉づめ』の完成であるッ!!!!


・食べてみた結果

さっそく「最後にマツタケを食べたのは10年以上前」と語る原田記者に、特別にアツアツを試食させてあげよう。

当サイトきっての貧乏舌(びんぼうじた)の持ち主である彼は、果たしてセレブの味を理解できるのだろうか?


原田「ん…………?」



原田「なんか…………妙な味がする?」


やはりダメだったようなので、割と味にうるさいことで知られるサンジュン記者にも試してもらうことに。


サンジュン「ちょっと味が濃いから『干しシイタケの肉づめ』?」



サンジュン「え? マツタケなの? あぁ、そう……」


・大きな気づきを得る

なんとも反応が悪い男2人。らちがあかないので自分で食べてみた結果……

あぁ……なるほど。確かにコレは、言われなければ『シイタケの肉づめ』と勘違いしてしまうだろう。おまけにマツタケの味の濃さが良くない方向に作用し、『なんか妙な味のするシイタケの肉づめ』へと昇華している。

マツタケの良さが消え、あまつさえシイタケの肉づめより劣る仕上がりとなってしまった『マツタケの肉づめ』。少なくともコレを常食しているセレブはほぼ皆無に違いない。日本人がマツタケを薄切りで食べる理由、アレは別にケチケチしているワケじゃなかったんだなァ……。

ちなみに余った肉だね(マツタケのみじん切り入り)を焼いたところ、なんとも味わい深いハンバーグが完成した。「マツタケはムシャムシャと食べるものではない。少なくとも肉づめにして食べるものではない」という気づきを得ることができた今回の調査……人生経験を積みたい人は試してみてくれ!

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.