どのような割引にも落とし穴がある。それはなにも店側がセコいことをしているという意味ではなく、私たち買う側の油断が原因となっていることも多い。

たとえば、マックでクーポンを使ったら安く済んだことに安心してしまい、ついついチキンナゲットを追加してしまったとか。スーパーで半額シールが貼ってある寿司を見てテンションが上がり、いつもの倍くらい買っちゃったとか。

おそらく誰もが似たような経験をしているかと思うが、「あるあるだよね」で済ませていては割引の恩恵を永遠に享受(きょうじゅ)できない。そこで──。

自らの失敗体験を公開し、その原因を分析することで、読者のみなさんに割引で確実に得をしてもらおうというのが本企画「割引の落とし穴調査」だ。


前置きが長くなってしまい申し訳ない。以前の「天下一品」「餃子の王将」「安楽亭」に続き、今回はスタバの「モーニングサイズアップ」を取り上げたい。


ご存知だろうか。スタバに午前11時までに行き、対象のドリンクとフードを同時購入することでドリンクがワンサイズアップすることを。

お値段そのままにサイズが大きくなるので実質的な割引になるのだが、この「ドリンクだけデカくなる」という点が時として自制心を破壊するトリガーになってしまう。

どういうことか詳しく説明しよう。モーニングサイズアップ対象のフードは「あらびきソーセージ&スクランブルエッグ イングリッシュマフィン」「あらびきソーセージパイ」「シュガードーナツ」の3種で、ドリンクはドリップコーヒーやスターバックスラテ……などなど。

まぁ、各自好きなものを選べばよく、その日の私はホットのドリップコーヒーとシュガードーナツを選択した。


説明するまでもないかと思うが、ブラックコーヒーと甘いシュガードーナツは無敵の組み合わせ。コーヒーの苦味がドーナツの甘みを引き立て、ドーナツの甘みがコーヒーの苦味を引き立てる。

神が選んだのかと思うほどの相性であり、モーニングサイズアップ対象メニューの中で最強タッグだと思うのだが、それはさておき。

ドリンクが自動でサイズアップになるので、ショートのコーヒーがトールサイズとなってお値段は606円。スタバではフードとドリンクを一緒に注文してちょっと贅沢したら1000円近くいくイメージがあるので、割と安く済んだ印象だ。


ただ、1つだけ問題がある。私は普段スタバでショートサイズしか頼まないので、唐突にトールサイズを渡されても困るのだ。


とくに甘いものと一緒にコーヒーを楽しむときは、ショートサイズでのペース配分が身に染み付いている。トールサイズはあまりにもトゥーマッチ。そう思いながらも、最強タッグの共演を楽しんでいたら……



やっぱりコーヒーが余ってしまった。最強タッグの崩壊。唐突にピン。甘いマスクの相方がいなくなって、渋いキャラのツッコミだけが残ってしまった。この状況、一体どうすればいいのか?

「いや、コーヒーだけ飲めや!」と思う人もいるだろうが、コーヒーだけを飲んだら もしかしたら胃が荒れるかもしれない。私はピロリ菌の治療で苦しんだ経験もあるので、自分の胃は絶対にガードしたいところ。

となると、コーヒー以外の何かを胃に入れておくべきだろう。そして、どうせ入れるならコーヒーと相性が合うものがいいに決まっている。かといって、ドーナツはさっき食ったし……。う〜ん……。


ハッ!



ハーーーーーッ!!



ハーーーーーーーッ!!!!



こうして、私の手元には新たに510円のレシートが残った。誘惑に負けなければ約600円で済んでいたのに、結局は2倍近くかかってしまった計算だ。


では一体なぜこんなことになったのか? 先に述べたように、原因としてはドリンクだけがデカくなるという仕様と、ブラックコーヒーと甘いドーナツの組み合わせが最強すぎる点が挙げられる。

また、昨今のダイエットブームによって「夜に食いすぎると太る」という認識が私の中に生まれた反面、「朝は食ってもOK」的な心理が芽生えていたことも見逃せない。

これらの要因が複雑に絡み合った結果、私に想定の2倍となる支出を強いたのだ。


最後に、私がもっとも伝えたいことを記載しておこう。以前に何度も言っているが、本記事は言い訳ではなく、失敗の原因と分析。その点だけはくれぐれも誤解なきようにしていただきたい。私からは以上だ。

参考リンク:スターバックス「サイズアップモーニング
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.