夏と言えばそうめんだ。暑い中で食べるキンキンに冷えたそうめんと辛いめんつゆのコンビネーションと言ったらもう。暑ければ暑いほどウマイ。さらに、流しちゃった日にはもうたまらん。
というわけで、流しそうめん発祥の店に行ってみよう。せっかく、高千穂峡にいるしな。
・高千穂峡とは
国の名勝、天然記念物に指定されている宮崎県の高千穂峡。火山活動と浸食によって形成された雄大な景色は絶景のひと言だが、衝撃を受けたのはその暑さだ。周囲が絶壁に囲まれているためか、本日が曇りのためか……高千穂峡、超暑い。まるで天然のサウナである。
・スッとする
そんな高千穂峡を歩いていて見つけたのが『千穂の家』という飲食店。看板には「元祖 発祥の店 流しそうめん 千穂の家」という記述がある。のぼりには「昭和三拾年創業」の文字も。
そもそも、そうめんの専門店というものが珍しいのに、厨房から席に水が流れる竹の道が設置されてるんだからガチである。店内に入ると、なんかちょっとスッとする感じがしたのは、冷房以外に流れる水の効果もあったのかもしれない。
・謎
メニューは基本的には、単品の流しそうめんか流しそうめんセットの2種類。単品の場合は1人前(税込み600円)で、セットの場合は、山女魚とおにぎりがついて税込1500円のようだ。だが、よく分からないのはシステムである。
厨房から飛び出した竹の道を囲むように設置された長机と長椅子。位置関係としては回転寿司のレーンを彷彿とさせる感じ(回らないけど)なのだが、これ、どうやって流されたそうめんが自分のものであることを見極めるのか。
・流しそうめん is コミュニケーション
ひょっとして、流しまくるので勝手に食べて方式か? 自分のそうめんとかいう概念が存在しない世界……いわゆる、食べ放題というヤツである。
だが、店員さんに聞いたところ、1人前の量は大体200gくらいらしい。え? それ前に座ってる人が取ってしまったらどうしたらいいの? もやっとしつつもスタートする流しそうめん。はたして、流されているのはそうめんなのか私なのか。しかし、そんな心配は杞憂に終わった。
我々の席の分を流す時に店員さんが「行きますよー!」と合図してくれる。で、そこからこの席の分量が終わるまでは、ずっと俺のターン。コミュニケーションって大事だなー。
・分かりやすい
とは言え、流しそうめんに特に慣れているわけでもない私。食べて取っての呼吸が合わずに箸でつかめないことも普通にある。ああ……もったいない……
と思いきや、全部流し終わったところで、取り逃したそうめんをざるに入れて持ってきてくれた。竹の水路の最後に受け皿として置かれていたようである。これが終わりの合図というわけか。分かりやすい。それにしても、凄い取り逃してるな我々。
・ととのった
高千穂峡の真名井ノ滝近くという分かりやすい立地の本店。その味は、水の美しさという高千穂峡の魅力の1つを食で味わっているようなウマさだ。高千穂峡において、オアシスのようだったこの店。天然サウナの水風呂と言えるかもしれない。ととのったー!
・今回紹介した店舗の情報
店名 千穂の家 元祖流しそうめん
住所 宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井御塩井
営業時間 平日10:00~16:00 / 土・日・祝日9:00~16:00
定休日 無休
参考リンク:千穂の家
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼セットの山女魚とおにぎり
▼日本で最初の流しそうめんの風景